第94回助産師国家試験
午後問題
問 31
分娩第1期の産婦に付き添っている夫。産婦は夫が一緒にいることを心強いと感じている。次第に陣痛が強くなり顔をしかめ、口数が少なくなっている産婦に、夫は戸惑いの表情を浮かべている。
夫への援助で適切なのはどれか。2つ選べ。
夫への援助で適切なのはどれか。2つ選べ。
- 陣痛室から退室してもらう。
- 分娩経過に伴う産婦の変化を説明する。
- 積極的に産婦と会話をするように促す。
- 2人で出産を乗り切れるように助産師は席を外す。
- 夫が居てくれて心強いと感じている産婦の気持ちを代弁する。
25
問 32
化膿性乳腺炎で正しいのはどれか。2つ選べ。
- 初産婦に好発する。
- 片側性には発症しない。
- 産褥1週以内に発症する。
- 乳房の熱感はあるが全身の発熱はない。
- 起炎菌の大部分は黄色ブドウ球菌とレンサ球菌である。
15
問 33
母性健康管理指導事項連絡カードで標準措置が「休業」とされるのはどれか。2つ選べ。
- 妊娠悪阻
- Hb9.7g/dL
- 重症の膀胱炎
- 軽症の妊娠浮腫
- 尿蛋白<1,000mg/日
13
問 34
35歳の初産婦。産褥3日。「抱っこにも慣れ、赤ちゃんは上手におっぱいを吸ってくれるけど、母乳が出るか不安です。そのせいでしょうか、出産後、涙もろくなった気がします」と話す。不眠、疲労の訴えはない。
褥婦への対応で適切なのはどれか。2つ選べ。
褥婦への対応で適切なのはどれか。2つ選べ。
- 「授乳が上手になりましたね」
- 「精神科を受診してみてはどうですか」
- 「新生児室でお子さんを預かりましょう」
- 「楽しいことだけを考えるようにしましょう」
- 「産後には一時的に涙もろくなることがありますよ」
15
問 35
出産育児一時金で正しいのはどれか。2つ選べ。
- 支給には所得制限がある。
- 妊娠12週以降の死産は支給される。
- 単胎・多胎にかかわらず同額支給される。
- 出産費用にかかわらず定額で支給される。
- 出産前42日から出産後56日の間で支給される。
24
次の文を読み36~38の問いに答えよ。
32歳の経産婦。妊娠28週3日。1時間に3、4回の子宮収縮を訴えて入院した。入院時内診所見は子宮口3cm開大、展退度30%、Station-3以上、胎胞が膨隆している。膣分泌物でBTBは青変せず、胎児性フィブロネクチン陰性。白血球8,000/µL。CRP0.3mg/dL。
32歳の経産婦。妊娠28週3日。1時間に3、4回の子宮収縮を訴えて入院した。入院時内診所見は子宮口3cm開大、展退度30%、Station-3以上、胎胞が膨隆している。膣分泌物でBTBは青変せず、胎児性フィブロネクチン陰性。白血球8,000/µL。CRP0.3mg/dL。
問 36
40分間床上安静にしたが、子宮収縮が治まらないため、リトドリン塩酸塩点滴静脈内注射を開始することとなった。
開始時の投与速度で正しいのはどれか。
開始時の投与速度で正しいのはどれか。
- 0.5µg/分
- 5µg/分
- 50µg/分
- 500µg/分
3
問 37
妊娠28週6日。「心臓がドキドキしてつらい」と訴える。母体の脈拍数は124/分。胎胞は膨隆したままで、子宮収縮は完全には消失していない。子宮口4cm開大、展退度40%、Station-3以上。白血球7,800/µL。CRP0.2mg/dL。
この時点で選択されるべき治療法はどれか。2つ選べ。
この時点で選択されるべき治療法はどれか。2つ選べ。
- β遮断薬経口内服
- カルシウム拮抗薬内服
- グルココルチコイド筋肉内注射
- 硫酸マグネシウム点滴静脈内注射
- プロスタグランジンF2α点滴静脈内注射
34
問 38
妊娠29週3日。38℃台の発熱を認め、抗菌薬を投与したが解熱せず、翌日に破水した。内診所見は子宮口3cm開大、展退度40%、Station-3。白血球15,000/µL。CRP8.2mg/dL
この時点で選択されるべき治療法はどれか。
この時点で選択されるべき治療法はどれか。
- 帝王切開
- 子宮頸管縫縮術
- メトロイリンテル挿入
- オキシトシン点滴静脈内注射
1
次の文を読み39~41の問いに答えよ。
36歳の初産婦。妊娠32週3日の妊婦健康診査までは血圧、尿検査ともに異常を認めなかった。妊娠34週3日。妊婦健康診査時に下肢のむくみを訴えた。血圧164/98mmHg。尿蛋白2+、尿糖(-)。下腿浮腫2+。
36歳の初産婦。妊娠32週3日の妊婦健康診査までは血圧、尿検査ともに異常を認めなかった。妊娠34週3日。妊婦健康診査時に下肢のむくみを訴えた。血圧164/98mmHg。尿蛋白2+、尿糖(-)。下腿浮腫2+。
問 39
翌日、血圧管理を目的に入院し、安静によって血圧は142/88mmHgまで低下した。尿蛋白2.5g/日。
診断名はどれか。
診断名はどれか。
- 妊娠高血圧
- 妊娠蛋白尿
- 妊娠高血圧腎症
- 加重型妊娠高血圧腎症
3
問 40
その後も血圧は安定していたので入院のまま経過を観察した。妊娠37週2日。突然、全身性のけいれん発作をきたし、血圧は182/116mmHgまで上昇した。
まず行うべき処置はどれか。
まず行うべき処置はどれか。
- 気道確保
- 酸素投与
- ジアゼパム静脈内注射
- 硫酸マグネシウム静脈内注射
1
問 41
3分ほどでけいれん発作は治まったが、昏睡状態である。
ケアで正しいのはどれか。2つ選べ。
ケアで正しいのはどれか。2つ選べ。
- 口腔内吸引は避ける。
- ベッド柵を高くする。
- 部屋はできるだけ明るくしておく。
- 舌圧子を口腔内の奥まで挿入しておく。
- 留置カテーテルを挿入して尿量を測定する。
25
次の文を読み42~44の問いに答えよ。
35歳の初産婦。妊娠37週2日。身長160cm、体重65kg(非妊時60kg)。妊娠24週時の50g経口ブドウ糖負荷試験で1時間値が145mg/dLであった。その後の75g経口ブドウ糖負荷試験の結果、妊娠糖尿病と診断された。妊娠中は自己血糖測定と食事療法の指導を受け、空腹時血糖は100mg/dL以下で維持できていた。妊娠36週時のNSTはreactiveであった。
35歳の初産婦。妊娠37週2日。身長160cm、体重65kg(非妊時60kg)。妊娠24週時の50g経口ブドウ糖負荷試験で1時間値が145mg/dLであった。その後の75g経口ブドウ糖負荷試験の結果、妊娠糖尿病と診断された。妊娠中は自己血糖測定と食事療法の指導を受け、空腹時血糖は100mg/dL以下で維持できていた。妊娠36週時のNSTはreactiveであった。
問 42
本日朝7時、陣痛発来にて入院した。「朝5時から10分間隔で陣痛が来ました。朝食は食べてきました」と言う。子宮口2cm開大、展退度60%、位置中、硬度中、Station-2。陣痛間欠は5分、発作30秒である。子宮底長は33cm、推定児体重は3,200gである。5%ブドウ糖での輸液が開始された。
この時期の管理で正しいのはどれか。
この時期の管理で正しいのはどれか。
- 間食を制限する。
- インスリンで血糖管理を行う。
- 胎児心拍モニタリングを間欠的に行う。
- 小児科医に胎児の状態を適宜報告する。
4
問 43
午前12時、子宮口3cm開大、Station-1.陣痛間欠4分、発作30秒。陣痛発作時に嘔吐している。「気持ち悪い」と、顔をしかめ体をこわばらせている。血圧120/70mmHg。血糖130mg/dL。
この時点で適切な対応はどれか。
この時点で適切な対応はどれか。
- インスリン静脈内注射を行う。
- ゼリーやプリンの摂取を促す。
- 制吐剤の投与を医師に相談する。
- 陣痛増強に伴う嘔吐なので心配はないと話す。
4
問 44
午後11時、子宮口全開大となり分娩室に入室した。小泉門は12時の方向に触れる。Station+5であり努責を誘導した。2時間経過したが児の下降状態に変化が認められない。胎児心拍モニタリングでは基線130bpmで細変動を認め、最低値70bpm、持続60~70秒の一過性徐脈が出現している。
この状況で適切な援助はどれか。
この状況で適切な援助はどれか。
- 帝王切開の準備をする。
- 吸引分娩の準備をする。
- 陣痛促進剤の準備をする。
- 努責を中止し側臥位をとる。
2
次の文を読み45~47の問いに答えよ。
32歳の2回経産婦。突然「お産になりそうです」と産科外来を受診した。持参した母子健康手帳には1週後が分娩予定日であると記載されている。妊娠初期に2回他院へ行っただけだという。子宮口7cm開大。直ちに分娩監視装置を装着したところ軽度の変動一過性徐脈がみられた。入院から1時間後に児を娩出した。羊水混濁はない。児は啼泣が弱く、多呼吸、陥没呼吸およびチアノーゼを認める。腹部は陥凹している。気道吸引後に100%酸素でマスク換気を行ったところ、児の呼吸状態はさらに悪化した。体重は3,000g前後、顔貌は正常で外表奇形はみられない。
32歳の2回経産婦。突然「お産になりそうです」と産科外来を受診した。持参した母子健康手帳には1週後が分娩予定日であると記載されている。妊娠初期に2回他院へ行っただけだという。子宮口7cm開大。直ちに分娩監視装置を装着したところ軽度の変動一過性徐脈がみられた。入院から1時間後に児を娩出した。羊水混濁はない。児は啼泣が弱く、多呼吸、陥没呼吸およびチアノーゼを認める。腹部は陥凹している。気道吸引後に100%酸素でマスク換気を行ったところ、児の呼吸状態はさらに悪化した。体重は3,000g前後、顔貌は正常で外表奇形はみられない。
問 45
この時点で優先される児に対する処置はどれか。
- 気管挿管
- アドレナリン投与
- 末梢静脈路の確保
- 心マッサージ〈胸骨圧迫〉
1
問 46
児の疾患として最も考えられるのはどれか。
- 胎便吸引症候群〈MAS〉
- 呼吸窮迫症候群〈RDS〉
- 先天性横隔膜ヘルニア
- 先天性チアノーゼ性心疾患
3
問 47
産褥2日。児はNICUに入室している。褥婦は小児科医師から「赤ちゃんの状態は安定せず予断を許されない」と説明され、「心配でじっとしていられません」と訴えてきた。
この時点での助産師の褥婦への対応で適切なのはどれか。
この時点での助産師の褥婦への対応で適切なのはどれか。
- 心配はいらないと話す。
- 難しい病状だが希望を捨てないように話す。
- 赤ちゃんのことは小児科医師に聞いてほしいと話す。
- 妊婦検診を受けていれば、この病気は防げたと話す。
- 上の子ども達を新生児に直接面会させるよう勧める。
2
次の文を読み48~50の問いに答えよ。
37歳の女性。妊娠16週。助産所での分娩を希望し来院した。夫と1歳の男児と3人暮らし。助産所では初診時に、質問紙でDV〈ドメスティック・バイオレンス〉のスクリーニングを実施している。
37歳の女性。妊娠16週。助産所での分娩を希望し来院した。夫と1歳の男児と3人暮らし。助産所では初診時に、質問紙でDV〈ドメスティック・バイオレンス〉のスクリーニングを実施している。
問 48
スクリーニングによってDVが疑われたため、話を聞いた。妊婦は「1か月前に私の帰宅が遅かったときに夫が怒って物を投げつけたり怒鳴ったりしました。そのときは私も子どもも怖くなりましたが、後で夫は『自分が悪かった』と謝り、私にも子どもにもやさしくしてくれました」と話す。
この時点の対応で適切なのはどれか。
この時点の対応で適切なのはどれか。
- 「あなたはDV被害者ですよ」
- 「彼はこのままやさしくなっていきますよ」
- 「あなたが遅くに帰ったことに原因があるとは思いませんか」
- 「彼が怒鳴った後、やさしくなることがこれまでもありましたか」
4
問 49
この助産所では、出産希望者全員が出産準備クラスに参加することになっている。助産師が参加を呼びかけたところ、妊婦は「夫は私にできるだけ外出するなと言うので、妊婦健診以外に外出するのは難しい」と話した。
助産師の対応として適切なのはどれか。
助産師の対応として適切なのはどれか。
- 夫に言わずに出産準備クラスに参加するよう促す。
- 夫を説得して出産準備クラスに参加するよう促す。
- 2週後に妊婦健康診査を設定して出産準備クラスの内容を話す。
- 出産準備クラスに参加しなければこの助産所では出産できないと話す。
3
問 50
妊婦健康診査が終了した。帰り際、妊婦は助産師に「実は、1回だけではなく、大声で怒鳴ったり物を投げつけたりすることが続いています。子どもも怯えるようになってきました。でも、子どもには父親が必要だし、夫には私が必要だと思う」と話す。
助産師の対応で適切なのはどれか。2つ選べ。
助産師の対応で適切なのはどれか。2つ選べ。
- 夫に連絡して暴力をやめるよう話す。
- 子どもが生まれるまでの我慢であると伝える。
- すぐにDVシェルターへ避難するよう指示する。
- 配偶者暴力相談支援センターへの相談を勧める。
- 地域の保健師に児童虐待の可能性があることを伝える。
45
1-30
31-50