nurture.jp

平成15年助産師出題基準 助産診断・技術学Ⅱ

目標1.妊娠・分娩・産褥各期における女性の身体的、心理社会的状態について、正常経過とその逸脱を独自に判断でき、対象によりよい健康レベルへの援助を提供するために必要な基礎的実践能力を問う。
大項目中項目小項目
1. 助産診断A. 助産診断の特徴
B. 全身状態の変化と経過の観察に必要な技術a. 問診
b. 視診
c. 触診
d. 聴診
e. 内診
f. 計測診
C. 妊産褥婦の心理社会的側面に関するアセスメントa. 妊娠の受容・情緒の変化
b. 身体の生理的変化からの影響
c. 母性性の発達、母性行動、母親役割行動
d. 性意識・性行動
e. 生活環境・生活習慣
f. 社会資源の活用
g. 家族関係
h. 就労による影響
i. ハイリスク因子(未婚・若年妊娠・喫煙・飲酒)、危機、喪失
2. 妊娠期の診断A. 妊娠経過に必要な技術a. 全身状態の変化の診察
B. 妊娠の診断法a. 基礎体温表
b. 月経歴の問診
c. 妊娠週数算出
d. 分娩予定日算出と予定日修正
e. 免疫学的妊娠反応
f. ME危機による診断
g. 子宮の変化
h. 乳房・外陰部の変化
C. 胎児の発育・健康状態の診断a. 子宮底長・腹囲
b. 児の胎位・胎向・胎勢
c. 超音波断層法
d. 胎児心拍モニタリング
e. 胎児胎盤機能検査
D. 母体の健康状態の診断a. 全身所見(血圧、体重、腹囲、浮腫、静脈瘤)
b. 血液検査
c. 尿検査
E. 妊婦の心理社会的側面の診断a. 妊娠の受容
b. 日常生活の遂行能力
c. 母性行動
d. 性意識・性行動
e. 生活環境・生活習慣
f. 家族関係
g. 社会資源の活用
h. 就労による影響
3. 正常経過にある妊婦への援助A. 日常生活適応へのケアa. 栄養摂取と食生活行動
b. 排泄、排泄習慣行動
c. 睡眠、休息
d. 清潔習慣行動
e. マイナートラブル
B. 親になる準備へのケアa. 母親役割
b. 父親役割
c. 家族の役割変化
d. 出産準備教育(育児準備教育)
e. 母乳栄養
C. 心理社会的ケアa. 定期健康診査受診への支援
b. 社会資源の活用
c. 就労への支援
d. 予期的悲嘆・悲嘆過程への支援
4. 健康逸脱・異常状態およびハイリスク状態にある妊婦-アセスメントと援助A. 身体的ハイリスク因子のアセスメントa. 全身状態の観察・バイタルサイン
b. 産科歴
B. 心理社会的ハイリスク因子のアセスメントa. 妊娠の受容
b. 出産体験
c. 家族関係
d. 婚姻
e. 経済的状況
C. 援助の基本a. 薬物療法
b. セルフケア能力
c. 家族関係の調整
d. 社会資源の活用
e. カウンセリング
f. 保健医療職種間のチームワーク
D. 合併症をもつ妊婦へのケアa. 妊娠悪阻
b. 切迫流産・早産
c. 妊娠中毒症
d. 妊娠貧血
e. 妊娠糖尿病
f. 前置胎盤
g. 常位胎盤早期剥離
E. 心理的問題をもつ妊婦へのケアa. 妊娠の受け入れ困難
b. 出産に対する不安
c. 胎児への愛着形成困難
F. 特殊な状況にある妊婦へのケアa. 多胎妊娠
b. 不妊治療後の妊娠
c. 子宮内胎児死亡
d. 若年妊娠
e. 虐待
5. 分娩期の診断A. 分娩経過の診断に必要な技術a. 全身状態の変化と分娩進行状況の診察
b. 胎児心拍陣痛図
c. 超音波断層法
B. 分娩開始の診断a. 分娩の前兆
b. 分娩開始
C. 娩出力a. 陣痛測定
b. 後会陰触診法
D. 胎児a. 胎児の下降状況
b. 児頭の回旋
c. レオポルド触診法
d. ザイツ法
e. 超音波断層法による胎児の予測体重
E. 産道a. 子宮頸管
b. 会陰・膣
c. 直腸・膀胱<排泄物の貯留>
F. 分娩経過a. 産婦の自覚症状や産痛の変化
b. 分娩の三要素
c. フリードマン陣痛曲線
d. 血性分泌物
e. パルトグラム
f. 胎児娩出時期の予測
g. 胎盤剥離徴候
G. 胎児の健康状態の診断a. 胎児心拍陣痛図
b. 羊水の性状
c. 血液ガス分析
H. 産婦の分娩への適応状態の診断a. 全身状態(バイタルサイン、身体的疲労、表情、眠け、食、水分)
b. 産痛への対処行動(呼吸法・リラグゼーション・産痛緩和法、体位選択)
c. 家族の支援
d. 家族の分娩への適応
I. 母児の早期接触に向けての診断a. 出生児の健康状態
b. 児の受容
6. 正常経過にある産婦へのケア-アセスメントと援助A. 援助の基本a. 産婦の意思・主体性の尊重
b. 産婦と家族との協働
c. 心身の苦痛の緩和
d. ドゥーラ効果
e. 胎児へのストレスの軽減
B. 入院時のケア
C. 分娩第1期のケアa. 分娩経過の観察
b. 基本的欲求(食、排泄、体位、睡眠・休息、清潔)の充足
c. 出産環境への配慮
d. 家族とのコミュニケーション
e. 産痛緩和・安楽(呼吸法、リラグゼーション、マッサージ、圧迫、罨法、温浴、足浴)
f. 分娩経過見通しの提供
g. 体位の選択
h. 家族への援助
D. 分娩第2期のケアa. 分娩経過の観察
b. 基本的欲求の充足
c. 快適さへの援助(リラグゼーション)
d. 娩出力に応じた呼吸、努責の指導
E. 分娩第3期のケアa. 胎児付属物の娩出経過の観察
b. 出血および全身状態の観察
c. 基本的欲求の充足
F. 分娩後2時間までのケアa. 出血・子宮復古状態の観察
b. 基本的欲求の充足
c. 母児の早期接触
d. 母児と父・家族との対面
e. 産婦と家族の分娩体験の想起
7. 正常分娩の介助A. 分娩介助の意義
B. 分娩介助の原理
C. 正常分娩介助法の原理a. 仰臥位分娩
b. 側臥位、四つばい、坐位
D. 分娩介助時の技術a. 浣腸
b. 導尿
c. 努責の誘導
d. 肛門圧迫・保護
e. 会陰保護
f. 児頭娩出
g. 軀幹娩出
h. 胎盤娩出(剥離徴候を含む)
E. 胎盤の検査a. 観察項目・観察方法
b. 胎内環境の評価
F. 出生直後の新生児のケアa. 呼吸の助成
b. アプガースコアの判定
c. 保温
d. 全身の観察
e. 臍帯切断、臍処置
f. 点眼
g. 成熟度の判定
h. 身体計測
8. 健康逸脱・異常状態、ハイリスク状態にある産婦-アセスメントと援助A. 身体的ハイリスク因子のアセスメントa. 全身状態の観察・バイタルサイン
b. 産科歴
c. 娩出力
d. 産道
e. 胎児と胎児付属物
f. 分娩三要素の関係
B. 心理的ハイリスク因子のアセスメントa. 妊娠の受容
b. 出産体験
c. 出産に関する知識不足
C. 援助の基本a. 正常経過逸脱の評価
b. 分娩時に必要な検査結果の評価
c. 緊急事態の予測と予防的対応
9. 異常分娩A. 異常分娩時の産婦へのケアa. 娩出力の異常
b. 産道の異常
c. 胎位(骨盤位、横位)の異常
d. 回旋の異常
e. 多胎分娩
f. 奇形児分娩
g. 胎児仮死
h. 胎児付属物の異常
i. 異常出血
j. 子癇発作
k. 分娩損傷
B. 産科手術および産科的医療処置a. 産科手術の必要性と意義
b. 産科手術の準備
c. 分娩誘発・促進法
d. クリステレル胎児圧出法
e. 会陰切開術
f. 骨盤位牽出術
g. 吸引遂娩術
h. 鉗子遂娩術
i. 腹式帝王切開術
j. 産科麻酔(硬膜外麻酔)
k. 胎盤圧出法、用手剥離
l. 会陰縫合術
C. 緊急時の対応a. 緊急時使用物品と薬剤
b. 双手圧迫法
c. 静脈路の確保
d. 輸血
e. 母児の蘇生技術
f. 子癇発作時の処置
g. 産婦への心理的援助
D. 心理的問題をもつ産婦へのケアa. パニック障害
E. 母児搬送システムa. 他の医療チーム員との協働
b. 他施設との連携
10. 産褥期の診断A. 産褥経過の診断に必要な技術a. 全身状態の診察
b. 子宮復古状態の診察
c. 乳房の診察
d. 膣・外陰部・肛門の診察
B. 産褥経過の診断a. 全身状態
b. 子宮復古状態
c. 膣・外陰部・肛門
d. 血液検査
e. 尿検査
f. 不快症状
C. 母乳栄養確立の診断a. 乳房
b. 乳汁分泌
c. 児の呼吸
D. 褥婦の心理社会的側面の診断a. 生活の変化が心身に及ぼす影響
b. 出産体験の受容
c. セルフケア能力
d. 母親意識・父親意識の発達
e. 家族関係
f. 居住地域の育児環境
g. 生活状況
h. 性意識、性行動
E. 育児能力の診断a. 児の受容
b. 児への愛着行動
c. 育児技術の習得
d. 育児不安と対処行動
e. 母親役割・父親役割の取得
f. 上子の役割取得
11. 正常経過にある褥婦-アセスメントと援助A. 日常生活の適応ならびに退行性変化促進へのケアa. 栄養摂取と食生活行動
b. 排泄、排泄行動
c. 睡眠、休息
d. 清潔行動
e. 日常生活の行動拡大
f. 子宮底輪状マッサージ法
g. 産褥体操
B. 母乳栄養確立へのケアa. 母乳栄養に関する母親の意識
b. 乳房の観察
c. 母乳分泌促進法・抑制法
d. 乳房トラブルの予防
e. 乳房自己管理法
f. 母乳量の評価
g. 母乳哺育と社会資源
C. 心理社会的側面へのケアa. 生活の調整
b. 家族関係の調整
c. 育児グループ
d. 社会資源の活用
e. マタニティブルーズ
D. 家庭生活へ向けてのケアa. 家族計画、性生活指導
b. 退院にむけての保健指導(個人・集団)
c. 出生にかかわる届出の指導
d. 家庭訪問指導
e. 職場復帰への指導
E. 育児行動取得に対するケアa. 育児技術の指導
b. 授乳指導
c. 母親役割・父親役割の取得
d. 育児環境の調整
12. 健康逸脱・異常状態およびハイリスク状態にある褥婦-アセスメントと援助A. 身体的ハイリスク因子のアセスメントa. 全身状態・バイタルサイン
b. 産科歴
c. 生殖器の状態
B. 心理的ハイリスク因子のアセスメント
C. 援助の基本a. 薬物療法
b. セルフケア能力
c. 家族の支援態勢と調整
d. 社会資源の活用
e. 母子分離
f. 保健医療職種間のチームワーク
D. 不快症状へのケアとセルフケア指導a. 後陣痛の緩和
b. 会陰部疼痛の緩和
c. 筋肉痛の対処法
d. 自律神経緊張の緩和
e. 脱肛・痔核の対処法
f. 排尿障害の対処法
E. 異常状態・合併症の予防とケアa. 産褥早期出血
b. 産褥晩期出血
c. 子宮復古不全
d. 産褥熱
e. 恥骨結合離開
f. 静脈瘤および血栓性静脈炎
g. 感染症
h. 妊娠中毒症
i. 糖尿病、妊娠糖尿病
j. 母子感染症
k. 乳頭損傷
l. 乳腺炎
F. 心理的異常をもつ褥婦へのケアa. 産褥期精神障害
G. 特殊な状況にある褥婦へのケアa. 帝王切開術による出産
b. 多胎出産
c. 外国人
d. 不妊治療後の出産
e. 低出生体重児の出産
f. 流産、早産、死産
g. 障害をもつ児
h. 予後不良児
i. 母乳哺育を行えない/行わない褥婦
13. 合併症をもつ妊産褥婦-アセスメントと援助A. 援助の基本a. 疾患の理解と受容
b. 妊娠・分娩・産褥経過が及ぼす影響
c. 日常生活の援助
d. 食事療法
e. 安静療法
f. 薬物療法
g. 精神的援助
B. 合併症をもつ妊産褥婦のケアa. 心疾患
b. 腎疾患
c. 甲状腺疾患
d. 糖尿病
e. 子宮奇形・子宮筋腫
f. 感染症
g. 精神疾患
14. 新生児の診断A. 早期新生児の経過に関する診断a. 身体各部および全身状態の診察方法(視診・触診・聴診・計測診)
b. 妊娠分娩経過による影響
c. 意識レベル<state>
d. 母体外生活適応過程
e. 成熟度の判定(doubowitz法)
f. 原始反射
g. 母親・家族への問診
h. 臨床検査の結果
i. 健康診査の結果と今後の予測
15. 正常新生児への援助A. 新生児の基本的ケアa. 生理的特徴の観察
b. 栄養(哺乳・授乳・調乳・体重の増減・栄養摂取量)
c. 保温(衣類管理・環境温調整)
d. 清潔
e. 排泄
f. 感染防止(眼・臍処置、リネン交換、手洗い、隔離)
g. 環境の整備
B. 発育・発達を促進するケア
C. 母子・親子関係を促進するケア
D. 発症の予防・早期発見とケアa. K2シロップの与薬
b. 先天性代謝異常検査
16. 正常経過逸脱、治療を要する新生児およびハイリスク新生児-アセスメントと援助A. ハイリスク因子のアセスメントa. 妊娠・分娩による要因
b. 母体側要因
c. 胎児側要因
B. 援助の基本a. 重篤な症状の予知
b. 継続的観察
c. 母子分離
d. 授乳への援助
e. 退院への援助
C. 治療時のケアa. 光線療法
b. 保育器での観察
c. 新生児集中治療室入院中の児
d. 経管栄養法
e. 輸液
f. 手術
g. 奇形
D. 家族へのケアa. 他機関、他職種との連携
b. 医療対策事業の活用
c. 社会資源の活用
d. 親への心理的援助
e. 児への愛着形成
f. 悲嘆への援助
17. 乳幼児の健康診査A. 乳幼児の健康診査に必要な技術a. 一般理学的診察(計測診、視診、触診、聴診)
b. 発達診断学的診察(神経発達、精神運動発達)
B. 新生児期(1か月)、乳児期、幼児期の発育・発達評価・保健指導の要点a. 身体
b. 精神
c. 運動
d. 栄養
e. 生活習慣・行動
f. 予防接種
g. 健康診査で発見されやすい異常
h. 育児相談
18. 正常経過にある乳幼児への援助A. 発達を促進するケアa. 発育時期に即した栄養方法
b. 遊び
c. 生活習慣の確立
d. 生活リズムの確立
e. 情緒の発達
B. 社会性を助長するケアa. 家庭環境との関連
b. 生活のマナー、エチケット
c. 自立を促す支援
d. 円滑な母子分離
e. 乳幼児期の人間関係形成
C. おこりやすい事故の予防と対策a. 窒息
b. 溺水
c. 誤飲
d. 交通事故
e. 転落
D. おこりやすい疾病の予防的ケアa. 感染症予防(予防接種)
b. 歯・口腔の衛生
E. 家族へのケアa. 育児不安
b. 母子相互関係の成立
c. 親子・家族関係の促進
19. ハイリスク乳幼児への援助A. 援助の基本a. 児の成長・発達促進
b. 家族の児受容
c. 家族への精神的援助
d. 医療対策事業の活用
e. 社会資源の活用
f. 他機関、他職種との連携
B. 発達障害がある児へのケアa. 発達の促進
b. 合併症の予防と治療
C. 先天奇形・先天異常がある児へのケアa. 発達の促進
b. 外科的治療への援助
D. 低体重で出生した児へのケアa. 発育・発達評価
E. 特殊な状況にある児へのケアa. 独り親家庭
b. 在日外国人家庭
c. 在宅医療
d. 虐待を受けている/受けると推測される児