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第102回助産師国家試験

午前問題
問 31
性周期で正しいのはどれか。2つ選べ。
  1. エストロゲンが一定の濃度を超えるとポジティブフィードバックが起こる。
  2. インヒビンの作用によって排卵に至る卵胞が一つになる。
  3. LHサージ開始から48時間後に排卵がおこる。
  4. 子宮内膜は増殖期に脱落膜様変化となる。
  5. 乳房の容積は排卵時に最大となる。
12
問 32
子宮内黄体ホルモン放出システム〈IUS〉で正しいのはどれか。2つ選べ。
  1. 月経量が減少する。
  2. 授乳中では乳汁分泌量が減少する。
  3. 人工妊娠中絶後直ちに挿入できる。
  4. 5年間の避妊失敗率は約10%である。
  5. 出血や腹痛がなければ10年間挿入できる。
13
問 33
造精機能障害の原因となるのはどれか。2つ選べ。
  1. 射精障害
  2. 精索静脈瘤
  3. 精管欠損症
  4. 両側精巣上体炎
  5. Klinefelter〈クラインフェルター〉症候群
25
問 34
Aさん(47歳、女性)。市町村の子宮がん検診の結果から精密検査を勧められ、産婦人科外来を受診した。持参した子宮頸部細胞診の結果は、ASC-US(意義不明な異型扁平上皮細胞)であった。Aさんは、助産師に「どんな検査が必要になるのですか、教えてください」と質問した。
Aさんに勧められる検査はどれか。2つ選べ。
  1. 直腸診
  2. 骨盤MRI検査
  3. コルポスコピー
  4. ハイリスクHPV検査
  5. 円錐切除術による組織診
34
問 35
妊娠41週3日の経産婦。前期破水のため入院し、子宮収縮薬で分娩誘発を行い、2時間経過後に陣痛が開始した。陣痛開始から30分後、子宮口開大4cm、Station-1、陣痛間欠1分30秒、陣痛発作30秒であった。胎児心拍数基線は120bpmで経過し、基線細変動は中等度から減少している。胎児心拍数陣痛図上に最下点が70bpm未満で持続時間が30秒以上の変動一過性徐脈がみられた。陣痛発作時に強く産痛を訴え、仰臥位で苦悶様表情を示している。
この時の対応で正しいのはどれか。2つ選べ。
  1. 浣腸を行う。
  2. 産婦を側臥位にする。
  3. 子宮収縮薬を中止する。
  4. 間欠的胎児心拍数聴取に切り替える。
  5. 100%酸素3L/分で酸素投与を開始する。
23
問 36
28歳の初産婦。入院時、陣痛間欠7分、陣痛発作30秒で、内診所見は、子宮口2cm開大、展退度40%、Station-2、子宮頸管の硬度は中、子宮口の位置は中央であった。入院後6時間経過し、陣痛間欠3分、陣痛発作50秒となった。産婦は陣痛発作時に自ら深くゆっくりと呼吸し、間欠時には少し眠ることもあった。
この時の産婦のアセスメントで正しいのはどれか。2つ選べ。
  1. 微弱陣痛である。
  2. 母体疲労が著しい。
  3. 活動期に至っている。
  4. 血中β-エンドルフィンが高まっている。
  5. 逃避型のコーピングを用いて分娩に適応している。
34
問 37
第2前方後頭位の仰臥位分娩介助(側面介助法)で正しいのはどれか。2つ選べ。
  1. 排臨の時点で肛門保護を会陰保護に切り替える。
  2. 小泉門が恥骨弓下を滑脱するまで児頭を屈位に保つ。
  3. 会陰保護は児頭が娩出した時点で終了する。
  4. 前在肩甲娩出時は児の側頭部を会陰側に押し下げる。
  5. 後在肩甲娩出後に児の体幹を両手で把持し骨盤軸に沿って娩出させる。
45
問 38
産科危機的出血への対応ガイドラインに示されている産科危機的出血の定義に当てはまるのはどれか。2つ選べ。
  1. 経腟分娩後24時間以内の出血量500mL
  2. ショックインデックス1.5
  3. 産科DICスコア6点
  4. Hb値7.0g/dL
  5. 出血の持続
25
問 39
妊婦の検査所見で、出産後、母乳栄養の中止によって母子感染を減らすことができるのはどれか。2つ選べ。
  1. HBs抗原陽性
  2. HCV抗体陽性
  3. HIV抗体陽性
  4. HTLV-1抗体陽性
  5. トキソプラズマIgG抗体陽性
34
問 40
産科病棟で提供している乳房ケアの成果を評価するための指標で適切なのはどれか。2つ選べ。
  1. 助産師1人あたりの褥婦の数
  2. 乳房ケアの判断過程の適切性
  3. 乳房トラブルの件数
  4. 褥婦のケア満足度
  5. ケア計画の内容
34
次の文を読み41~43の問いに答えよ。
 Aさん(21歳、専門学校生)。月経不順であった。性器出血と腹部膨満感を主訴に産婦人科を初めて受診した。「突然に出血して、止まったと思ったらまた出血した。これまでこんな出血はなかった」と言う。出血は鮮血で、強い腹痛の自覚はない。身長155cm、体重57.5kg(非妊時体重50kg)。体温36.5℃、脈拍78/分、血圧128/82mmHg。尿蛋白(±)、尿糖(-)。血液検査ではHb10.8g/dL、白血球8,500/µL、血小板24万/µL。超音波検査にて子宮内に胎児が確認された。子宮底長27cm、腹囲88cm、胎児推定体重1,550g。超音波検査所見から妊娠30週2日と判断した。子宮口は閉鎖、展退度30%以下である。
問 41
経腟超音波検査の写真(別冊No.2)を別に示す。
この時点で、考えられるのはどれか。
問41の画像
  1. 切迫早産
  2. 前置胎盤
  3. 羊水過多症
  4. 妊娠高血圧症侯群
  5. 臨床的絨毛膜羊膜炎
2
問 42
Aさんは入院となった。入院後2日、再度性器出血が生じ、30分間で200mLに達して持続している。胎児心拍数陣痛図は、基線細変動が減少していた。その後の20分間の観察で、一過性頻脈は認めない。超音波検査で、羊水ポケットは35mm、胎動は乏しい。
この時点のアセスメントで正しいのはどれか。
  1. 内診による子宮口開大の確認が必要である。
  2. 臍帯動脈からの出血がある。
  3. 前期破水の可能性が高い。
  4. 胎児機能不全が疑われる。
4
問 43
Aさんは緊急帝王切開術となった。術中出血量2,300mL(羊水込み)、出生体重1,750gの女児、Apgar〈アプガー〉スコア1分後1点、5分後5点。児は呼吸窮迫症候群のためNICU入院となった。Aさんの術後経過は良好であった。Aさんの両親にはAさんから連絡を入れるということであった。
産褥2日。「彼とは連絡が取れない。怒られるのが怖くて、まだ親に話せていない。今は親からの仕送りで生活している。NICUに入院するような子どもを育てる自信がない」と児の面会に行こうとしない。
Aさんに対する助産師の対応で最も優先されるのはどれか。
  1. 地域の育児サポート情報を提供する。
  2. 養子縁組の手続きを勧める。
  3. 両親へ連絡をとるよう促す。
  4. 避妊指導を行う。
3
次の文を読み44~46の問いに答えよ。
 Aさん(32歳、初産婦)。これまでの妊娠経過に異常はなかった。妊娠35週5日。「2、3日前から歩くと時々水が流れるような感じがあったが、尿漏れかと思って様子をみていた。今日になり、量が増えた」との訴えで、夫とともに外来受診した。パットには透明な水様性の帯下があり、悪臭なし。体温38.1℃、脈拍88/分、血圧128/76mmHg。子宮の圧痛はない。胎児心拍数は180bpmであった。胎児は頭位で胎児推定体重2,400g、AFI1.5。腟鏡診では少量の出血が混じった帯下を認めたが、腟円蓋の液体貯留は明らかでなかった。子宮口は閉鎖であった。
問 44
破水の診断のため追加して行う検査はどれか。
  1. 血中CRPの測定
  2. マイクロバブルテスト
  3. 腟内分泌物顕微鏡検査
  4. 癌胎児性フィブロネクチンの測定
4
問 45
Aさんは前期破水と診断され、抗菌薬の点滴静脈内注射が開始された。直ちに分娩監視装置が装着された。分娩監視装置装着後20分間の胎児心拍数陣痛図(別冊No.3)を別に示す。
胎児心拍数陣痛図のアセスメントで正しいのはどれか。
問45の画像
  1. 基線細変動は増加している。
  2. 遷延一過性徐脈がみられる。
  3. 胎児心拍数の基線は頻脈である。
  4. 胎児のwell-beingに問題はない。
  5. サイナソイダルパターンがみられる。
3
問 46
Aさんは入院となり、この時の血液検査データはHb11.5g/dL、白血球23,000/µL、血小板35万/µL、CRP24.5mg/dLであった。絨毛膜羊膜炎の診断で、緊急帝王切開術による分娩となり2,400gの女児を出産した。児はApgar〈アプガー〉スコア1分後2点、5分後3点、気管内挿管され、NICUに入院となった。児は敗血症の診断で治療が開始されたが、急速に多臓器不全が進行し、出生後4日に死亡した。Aさんは「赤ちゃんが死んだなんて信じられない。私が破水に早く気づいて病院に来ていたら、こんなことにはならなかった」と涙を流しながら夫に話している。
助産師のAさんへの対応で最も適切なのはどれか。
  1. 早期の退院を勧める。
  2. 夫と一緒にAさんの話を聞く。
  3. 次の妊娠について考えるよう勧める。
  4. 赤ちゃんのことは考えないように話す。
  5. 睡眠導入薬の処方について医師に相談するよう勧める。
2
次の文を読み47、48の問いに答えよ。
 Aさん(30歳、初妊婦)。妊娠33週0日に帯下に少量の出血が混じり軽度の下腹部痛があることを主訴に受診した。体温36.8℃、脈拍60/分、血圧110/65mmHg。内診所見は子宮口2cm開大、展退度50%。超音波断層法で子宮頸管長23mm、胎位は骨盤位であった。後腟円蓋の腟分泌物でBTB試験紙は青変せず、悪臭はしない。血液検査で白血球の増加やCRPの上昇を認めない。Aさんは入院となり、NSTでは胎児心拍数は正常であるが、12分ごとに弱い子宮収縮が認められる。
問 47
この時点のアセスメントで正しいのはどれか。
  1. 切迫早産
  2. 高位破水
  3. 子宮内感染
  4. 子宮頸管無力症
1
問 48
Aさんは安静臥床を指示され、点滴治療が継続された。妊娠36週5日、痛みを伴う規則的な子宮収縮が生じ、子宮口が6cmまで開大した。骨盤位であったため緊急帝王切開術による分娩となった。手術翌日、脈拍72/分、血圧118/56mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉98%。子宮底は臍下1横指で収縮は良好であり、外陰部にあてたパッドに少量の血液が付着している。採血の結果は、Hb10.2g/dL、血小板25万/µL、生化学検査は異常を認めなかった。手術後初めてトイレまで歩行した際、Aさんは胸痛を訴えてうずくまった。Aさんの左下肢には、軽度の発赤と腫脹が認められた。
Aさんに生じた疾患で最も考えられるのはどれか。
  1. 肺水腫
  2. 周産期心筋症
  3. 肺血栓塞栓症
  4. HELLP症侯群
3
次の文を読み49、50の問いに答えよ。
 Aさん(34歳、初産婦)。妊娠40週2日。陣痛開始から3時間が経過し、入院した。胎児推定体重は2,650g、入院時の内診所見は、子宮口4cm開大、展退度70%、Station-2、子宮頸管の硬度は軟であった。入院から4時間後、羊水流出を認めた。陣痛間欠4~5分、陣痛発作40~50秒、内診所見は子宮口5cm開大、展退度80%、Station-1、子宮頸管の硬度は軟である。先進部は小泉門で11時方向に触れる。
問 49
分娩経過の判断で正しいのはどれか。
  1. 児頭は嵌入している。
  2. 分娩第1期遷延である。
  3. 第1前方後頭位である。
  4. Friedman〈フリードマン〉曲線の活動期である。
4
問 50
入院から8時間後、陣痛間欠2~3分、陣痛発作50秒、内診所見は子宮口7cm開大、展退度100%、Station+3、矢状縫合は骨盤横径に一致し、大泉門が触れ小泉門と同じ高さだった。Aさんは呼吸が乱れ「痛くて我慢できない」と訴えた。
分娩進行の判断で正しいのはどれか。
  1. 過強陣痛である。
  2. 第2回旋の異常である。
  3. 子宮頸管は熟化していない。
  4. 分娩は正常に経過している。
2
次の文を読み51、52の問いに答えよ。
 Aさん(23歳、女性、未婚)。妊娠歴なし。コンビニエンスストアでパート勤務をしている。勤務中に突然の腹痛と腟からの中等量の出血があり、早退して職場近くの婦人科クリニックを受診した。半年以上前から月経がないことを自覚していたが、医療機関は受診していなかった。意識は清明で、腹部は膨隆し、心窩部と下腹部に痛みを訴えている。下肢の浮腫著明。身長155cm、体重80kg(非妊時体重60kg)、体温36.5℃、脈拍90/分、血圧178/100mmHg。婦人科の医師が診察すると子宮内から少量の流血があり、経腹超音波検査で妊娠後期と思われる胎児を認めた。胎盤の辺縁に血腫を疑う像があり、子宮収縮に一致して胎児徐脈がみられた。婦人科クリニックの医師は、直ちに産婦人科とNICUのある高次医療施設に救急搬送受け入れを依頼した。
問 51
搬送依頼を受けた高次医療施設の助産師が、母体救命の観点において搬送元からさらに聞き出す情報で、最も重要なのはどれか。
  1. 子宮底長
  2. 最終飲食時間
  3. パートナーの連絡先
  4. 出血中の凝血塊の有無
4
問 52
高次医療施設に搬入された直後に、産科医師がAさんを診察すると、腟分泌物は血性少量、子宮口は1cm開大、経腹超音波検査で約80bpmの胎児徐脈を認め、回復の徴候が認められなかった。救急処置室から直ちに手術室に移送され、全身麻酔下の緊急帝王切開術で2,830gの女児を出産した。Apgar〈アプガー〉スコアは1分後3点、5分後7点、臍帯動脈血pH値7.02であった。NICU医師によって蘇生処置が行われた。出血量は羊水を含めて800mLであった。Aさんは術後、ICUに収容された。娩出されたAさんの胎盤の写真(別冊No.4)を別に示す。
Aさんの術後に最も注意すべきなのはどれか。
問52の画像
  1. 肺血栓塞栓症
  2. 術後出血
  3. 肺水腫
  4. 敗血症
  5. 心不全
2
次の文を読み53の問いに答えよ。
 Aさん(31歳、女性、会社員)。28歳で結婚した。2年前に月経困難症のため婦人科を受診し、子宮内膜症と診断された。1年前から基礎体温表をつけて排卵期に性交渉を持つようにしていたが、妊娠しないため婦人科診療所を受診した。Aさんは何度か通院するうちに、助産師に「実は、性交のときに痛くて、性交渉を持つ日を指定されたりすると、とてもストレスになります。自分の仕事が忙しく、休んで病院に来るのも大変だし、不妊治療は受けたくないのです。夫は子どもを欲しがっているので、悪くて言えません。でも、一度きちんと話そうと思っています」と訴えた。
問 53
助産師の対応で適切なのはどれか。
  1. 不妊治療を受けないという本人の意思決定を支持する。
  2. 不妊治療によって痛みは軽減することが多いと伝える。
  3. 夫には性交痛のことは話さない方がよいと説明する。
  4. 妊娠すれば痛みの問題は解決すると説明する。
  5. 心療内科の治療が必要であると伝える。
1
次の文を読み54の問いに答えよ。
 開業助産師が、市の乳児家庭全戸訪問事業の委託を受けて、産後3か月のAさん(30歳、初産婦)宅を訪問した。Aさんには訪問に戸惑う様子がみられた。部屋は整理整頓されている。児は体温37.1℃、呼吸数32/分、心拍数110/分。定頸している。オムツかぶれはない。助産師は児の計測時、上腕内側に皮下出血があるのを認めた。児の表情は乏しく、あやしても笑わない。Aさんは落ち着きがなく、計測が終わるとすぐに助産師から児を取り上げた。児の出生体重は2,600g、1か月児健康診査時の体重は3,500gと母子健康手帳に記載があり、本日の児の体重は5,000gであった。助産師が皮下出血の原因をAさんに確認すると、「虫に刺された」と答えた。Aさん夫婦は1年前に転入してきて周囲に知り合いはいない。助産師は継続的な支援が必要だと感じた。児の4か月児健康診査は3週後である。
問 54
今後の対応で適切なのはどれか。
  1. 育児グループを紹介する。
  2. 1週後に助産師が再訪問する。
  3. 早急に地区担当保健師に連絡する。
  4. 4か月児健康診査でフォローアップする。
3
次の文を読み55の問いに答えよ。
 自然災害発生後3日。助産師Aは被災地に派遣され、避難所に到着した。産褥2週の褥婦Bさんから「母乳の出が悪くなった気がする。母乳だけで赤ちゃんは大丈夫でしょうか」と相談を受けた。Bさんは妊娠40週0日で3,200gの児を出産し、完全母乳育児をしている。乳房トラブルはない。授乳回数は10~12回/日。児は体重3,600g、尿8~10回/日、便3、4回/日で、皮膚の色つやはよい。
問 55
現時点での助産師の対応で適切なのはどれか。
  1. 混合栄養を勧める。
  2. 児をあまり泣かさないよう伝える。
  3. 現在は母乳で足りていると伝える。
  4. 授乳回数を1日10回未満にすることを提案する。
3
1-30
31-55