第103回助産師国家試験
午後問題
問 1
妊婦の摂取量が過量な場合に、有機水銀による胎児の健康障害が最も懸念される魚介はどれか。
- アジ
- サケ
- イワシ
- キンメダイ
4
問 2
骨盤内臓器で正しいのはどれか。
- 基靱帯は子宮支持組織の一つである。
- 子宮動脈は総腸骨動脈から分岐する。
- 性成熟期女性の正常な子宮は鵞卵大である。
- 卵巣動脈は卵巣固有靱帯(固有卵巣索)内を通る。
1
問 3
子宮頸がん検診で適切なのはどれか。
- NILMでは精密検査を勧める。
- 子宮頸部細胞診の検体採取は吸引法で行う。
- ベセスダシステムに基づいた分類で報告される。
- 日本における対象者の受検率は70%を超えている。
3
問 4
受精卵の着床で正しいのはどれか。
- 着床するのは胞胚期である。
- 子宮内膜の増殖期に着床する。
- 受精卵は受精後10日目に着床する。
- 子宮内膜に接着してから透明帯が消失する。
1
問 5
胚葉由来と組織との組合せで正しいのはどれか。
1. | 内胚葉 | 中枢神経 | |
2. | 外胚葉 | 平滑筋 | |
3. | 中胚葉 | 甲状腺 | |
4. | 中胚葉 | 心臓 |
4
問 6
Aさん(39歳、初産婦)。妊婦健康診査で来院した。妊娠16週、単胎。身長160cm、体重56kg(非妊時体重55kg)。妊娠経過は順調である。Aさんは助産師に「今まで運動習慣はなかったのですが、マタニティビクスを始めたいと思っています。注意することはありますか」と質問した。
助産師の対応で適切なのはどれか。
助産師の対応で適切なのはどれか。
- 「1分間の脈拍が145回を超えないようにしましょう」
- 「妊娠28週以降に始めましょう」
- 「午後3時以降に行いましょう」
- 「毎日運動しましょう」
1
問 7
乳幼児のアタッチメント〈愛着〉で正しいのはどれか。
- 不特定の他者と結ばれる関係である。
- 他者を遠ざけるために信号行動を行う。
- 愛着対象を安全基地として探索活動を行う。
- アタッチメントの形成で人見知りは消失する。
3
問 8
在胎38週0日、2,800gで出生した日齢12の新生児。母乳栄養のみである。
人工乳の補足の検討が必要な児の状況はどれか。
人工乳の補足の検討が必要な児の状況はどれか。
- 頻回の溢乳
- 体重2,750g
- 授乳回数10回/日
- 排便回数5~6回/日
2
問 9
生後4か月の女児。外傷を主訴に、母親に連れられて救急外来を受診した。2歳の兄も一緒に来院した。母親は「2歳の兄が一緒に遊ぼうと腕を引っ張っていた。また、寝返りをしてソファから落ちたようだ」と話す。女児は不機嫌でぐずっている。医師が女児を診察した結果、左上腕内側と右前額部の出血斑、左鎖骨骨折、右肋骨骨折を認めた。
女児の受傷原因で最も考えられるのはどれか。
女児の受傷原因で最も考えられるのはどれか。
- 養育過誤
- 本人の転落
- 兄との遊びでの事故
- 保護者の身体的虐待
4
問 10
NICU入院中の早産児の足底採血を行う際、児の感じる痛みのケアのために行うのはどれか。
- 経腸栄養投与後に採血する。
- 23G注射針を用いて採血する。
- 採血前に口腔内に白湯を投与する。
- 採血前に児の身体をタオルでくるむ。
4
問 11
日本における生殖補助医療による出生児数の推移のグラフを示す。

Aはどれか。
- 顕微授精出生児
- 体外受精出生児
- 凍結融解胚移植出生児
- 提供配偶子による出生児
3
問 12
助産所における胎盤の取扱いで適切なのはどれか。
- 助産所の敷地内に埋める。
- 廃棄数を自治体へ報告する。
- 産婦の自宅への持ち帰りを許可する。
- 市町村長の許可を受けた廃棄物収集運搬業者に委託する。
2
問 13
Aさん(36歳、初産婦)。産後1か月。体重53kgで、非妊時から2kg減少している。母乳のみで授乳している。Aさんの平均摂取カロリー量は1,950kcal/日であった。
授乳期に推奨される1日当たりの摂取カロリー量にするために、Aさんが増量する必要があるカロリー量で正しいのはどれか。
授乳期に推奨される1日当たりの摂取カロリー量にするために、Aさんが増量する必要があるカロリー量で正しいのはどれか。
- 100kcal
- 200kcal
- 400kcal
- 600kcal
3
問 14
Aさん(17歳、高校生)。母親とともに月経前症候群の相談で産婦人科を受診した。月経周期は30日型で規則的で、月経痛がある時は市販の痛み止めを時々服用している。医師の診察では子宮、卵巣に形態的異常はなかった。Aさんは「月経前の数日間は、いつもイライラして憂鬱な感じがある。授業に集中できず、担任の先生にしばしば注意を受けてしまい、困っている」と助産師に話した。
Aさんへの助産師の助言で適切なのはどれか。
Aさんへの助産師の助言で適切なのはどれか。
- 「低用量ピルによる治療の選択肢があります」
- 「月経開始前から痛み止めを使いましょう」
- 「月経前は学校を休むようにしましょう」
- 「月経前の症状は自然に治ります」
1
問 15
Aさん(32歳、経産婦)。夫と長女(2歳半)との3人暮らし。妊娠24週2日の妊婦健康診査に実母および長女と3人で来院した。待合室にいるAさんの左腕には、肘を中心に広範囲に包帯が巻かれており、助産師はドメスティック・バイオレンス〈DV〉を疑った。
助産師の最初の対応で適切なのはどれか。
助産師の最初の対応で適切なのはどれか。
- 警察に通報する。
- Aさんに包帯を巻いている理由を尋ねる。
- Aさんと1対1で話ができる場所を確保する。
- Aさんの実母に包帯を巻いている理由を尋ねる。
- AさんにDVスクリーニングの自記式調査票の記入について説明する。
3
問 16
定期予防接種で生後3か月から接種が可能になるのはどれか。
- 肺炎球菌ワクチン
- ロタウイルスワクチン
- 四種混合〈DPT-IPV〉ワクチン
- 麻しん風しん混合〈MR〉ワクチン
- インフルエンザ菌b型〈Hib〉ワクチン
3
問 17
Aさん(75歳)。性器脱と診断され、ペッサリーの挿入により症状が改善していた。最近、帯下に少量の出血が混じるため産婦人科を受診した。ペッサリーと接する腟壁に浅いびらんがあり、少量出血を認める。超音波検査では子宮、付属器は正常で、子宮頸部の細胞診では異常はない。
出血の改善に有効な腟錠の成分はどれか。
出血の改善に有効な腟錠の成分はどれか。
- イソコナゾール
- エストリオール
- プロゲステロン
- メトロニダゾール
- クロラムフェニコール
2
問 18
Aさん(32歳、初妊婦)。妊娠6週に、四肢と体幹に軽度の隆起を伴う紅色の皮疹が多発しているのが確認された。妊娠前に外陰部の腫瘤を自覚していたが、自然に消失したという。産婦人科で梅毒血清反応と梅毒トレポネーマ抗体血清検査〈TPHA〉を行ったところ、いずれも陽性であった。
Aさんへの治療で正しいのはどれか。
Aさんへの治療で正しいのはどれか。
- γ-グロブリンの投与を行う。
- ペニシリン系抗菌薬を投与する。
- 妊娠12週以降に治療を開始する。
- 陰圧室に隔離して治療を行う必要がある。
- 梅毒トレポネーマ抗体血清検査〈TPHA〉が陰性となるまで治療を継続する。
2
問 19
Aさん(19歳、初妊婦、飲食店勤務)。20歳の会社員Bさんと同居している。Bさんとの間での妊娠が判明して産婦人科で妊婦健康診査を受けていた。Bさんは妊娠を喜んでいて出産を楽しみにしているが、AさんはBさんの家族との関係が悪く、入籍の予定はないと言う。Aさんは産後に1年の育児休業を予定している。
出産に向けた準備を進める上で、助産師が確認する情報で最も重要なのはどれか。
出産に向けた準備を進める上で、助産師が確認する情報で最も重要なのはどれか。
- 自宅の広さ
- Aさんの通勤時間
- Aさんの家族関係
- 分娩費用の準備状態
- Aさんの母乳育児の希望
3
問 20
29歳の1回経産婦。妊娠40週1日。陣痛発来で入院となり、その後破水した。破水時の内診所見は子宮口4cm開大、展退度70%、Station-2で、羊水流出が持続的に認められた。胎児心拍数陣痛図の所見で軽度の変動一過性徐脈が認められ、連続モニタリングを行っていたが、破水から2時間後、突然遷延一過性徐脈が出現し、臍帯脱出が疑われた。
助産師が産婦に対して最初に行うのはどれか。
助産師が産婦に対して最初に行うのはどれか。
- 側臥位への体位変換
- 羊水流出量の確認
- 深呼吸の促し
- 血圧測定
- 内診
5
問 21
分娩進行中の子宮口全開大後の経時的な内診所見を図に示す。
この場合の児頭回旋で正しいのはどれか。
この場合の児頭回旋で正しいのはどれか。

- 第1前方後頭位
- 第2前方前頭位
- 低在横定位
- 高在縦定位
- 不正軸進入
2
問 22
Aさん(34歳、初産婦)。陣痛発来して、産婦人科に入院した。Aさんは無痛分娩を希望し、硬膜外カテーテルから局所麻酔薬が投与された。その3分後に、Aさんは手のしびれと気分不快を訴えた。頸部に氷を当てたところAさんはあまり冷たくないという。
この時点で直ちに準備するもので優先度が高いのはどれか。
この時点で直ちに準備するもので優先度が高いのはどれか。
- 降圧薬
- 輸血用器材
- 吸入ステロイド薬
- 気管挿管のための器材
- 自動体外式除細動器〈AED〉
4
問 23
42歳の経産婦。既往歴、家族歴に特記すべきことはない。前置胎盤に伴う出血があり、2週間の安静入院後、妊娠37週で帝王切開術となった。手術翌日の子宮底の高さは臍下1横指で、収縮は良好である。術後の初回歩行前に左下腿に浮腫と発赤を認め、その部位に痛みを訴えている。バイタルサインは体温37.0℃、脈拍80/分、血圧120/75mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉98%(room air)。
優先的に行うのはどれか。
優先的に行うのはどれか。
- 心電図検査
- 尿定性検査
- 凝固機能検査
- 呼吸機能検査
- 造影CT検査
5
問 24
日齢3の正期産児。出生体重3,100g。混合栄養で哺乳は良好だが、哺乳後の非胆汁性嘔吐を1日4、5回認めている。排尿、排便は良好である。本日の体重は2,850gで腹部膨満を認め、医師の診察の結果、胃軸捻転の疑いと診断されている。
児の日常のケアの際の助産師の対応で適切なのはどれか。
児の日常のケアの際の助産師の対応で適切なのはどれか。
- 上体の挙上
- 糖水の投与
- 人工乳の増量
- 腹部マッサージ
- おしゃぶりの使用
1
問 25
正期産児に発症した胎便吸引症候群の合併症で注意するのはどれか。
- 壊死性腸炎
- 動脈管開存症
- 気管支肺異形成
- 胎便関連性腸閉塞
- 新生児遷延性肺高血圧症
5
問 26
生後12時間の新生児。在胎32週1日、出生体重1,700gで出生した。保育器内で経鼻的持続気道陽圧呼吸療法〈CPAP〉(吸入酸素濃度25%)を開始し、輸液管理中である。バイタルサインは、体温(腋窩温)36.5℃、呼吸数65/分、心拍数160/分、血圧50/32mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉94%であった。また、血糖値は60mg/dLであった。
現在の児の状態の評価で正しいのはどれか。
現在の児の状態の評価で正しいのはどれか。
- 頻脈
- 多呼吸
- 低血圧
- 低体温
- 低酸素血症
2
問 27
機能性月経困難症で正しいのはどれか。2つ選べ。
- 周期性の痛みがある。
- 30歳以降の発症が多い。
- 子宮内膜症が関与している。
- 月経が始まると症状が消失する。
- レボノルゲストレル放出子宮内システム〈LNG-IUS〉で症状が緩和する。
15
問 28
胎児期における男性化の性分化で正しいのはどれか。2つ選べ。
- ウォルフ管が退縮する。
- SRY遺伝子の発現が必要である。
- アンドロゲン作用が抑制されている。
- 抗ミューラー管ホルモンが作用する。
- 外性器の形成は胎生2か月で完了する。
24
問 29
33歳の女性。卵管因子による不妊のため1年前から治療を開始し、今回初めて体外受精―胚移植〈IVF-ET〉を受けることになった。
女性への治療方法の説明で適切なのはどれか。2つ選べ。
女性への治療方法の説明で適切なのはどれか。2つ選べ。
- 「移植する胚は1個です」
- 「胚は卵管内に移植します」
- 「卵子の採取には腹腔鏡を使用します」
- 「成熟卵胞を穿刺して卵子を採取します」
- 「顕微鏡下で精子を卵子に注入し受精させます」
14
問 30
妊娠による母体の生理学的変化で正しいのはどれか。2つ選べ。
- 血清アルブミン値は上昇する。
- 血中尿素窒素は低下する。
- 凝固機能が抑制される。
- 心拍出量が増える。
- 腹式呼吸になる。
24
1-30
31-55