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第100回助産師国家試験

午前問題
問 31
日本の平成26年(2014年)の助産師の就業状況について正しいのはどれか。
  1. 就業者数は保健師よりも多い。
  2. 助産所での就業割合は約5%である。
  3. 就業場所は病院よりも診療所の方が多い。
  4. 就業者数は過去10年間で減少傾向にある。
  5. 就業者数は30歳代より50歳代の方が多い。
2
問 32
産科病棟で退院時の母乳栄養の割合を上げるための病棟目標を設定することになった。
目標設定について最も適切なのはどれか。
  1. 評価は質的な指標で行う。
  2. 産科外来の目標とは連動させない。
  3. 目標達成の期日は具体的に設定する。
  4. 実現性よりも理想的な目標を設定する。
  5. 個人目標をもとに病棟目標を設定する。
3
問 33
母子保健法に定められているのはどれか。2つ選べ。
  1. 妊婦健康診査
  2. 養育医療の給付
  3. 食育等推進事業
  4. 新生児聴覚検査
  5. 乳児家庭全戸訪問事業
12
問 34
トリコモナス腟炎について正しいのはどれか。2つ選べ。
  1. 原因は真菌である。
  2. 不妊症の原因になる。
  3. プールでは感染しない。
  4. 泡沫状の帯下が増加する。
  5. 子宮頸部の点状出血が特徴である。
45
問 35
妊娠期のプロゲステロンについて正しいのはどれか。2つ選べ。
  1. 子宮筋の収縮に抑制的に働く。
  2. 血中濃度は妊娠12週で最大となる。
  3. 前駆体は胎児のコレステロールである。
  4. 胎児の肝臓で代謝され母体尿中に排泄される。
  5. 産生部位は妊娠8週以降に妊娠黄体から胎盤に移行する。
15
問 36
妊婦の喫煙によって胎児や胎盤の低酸素状態をもたらす有害物質はどれか。2つ選べ。
  1. ニコチン
  2. フッ化水素
  3. 一酸化炭素
  4. ダイオキシン
  5. シアン化合物
13
問 37
Aさん(22歳)。神経性食欲不振症の治療中に妊娠が判明した。現在、妊娠7週3日、身長160cm、体重40kgである。Aさんは数日前から悪心を訴えている。
今後注意すべき合併症はどれか。2つ選べ。
  1. 周産期心筋症
  2. 高カリウム血症
  3. 甲状腺クリーゼ
  4. 胎児神経管閉鎖障害
  5. 胎児発育不全〈FGR〉
45
問 38
正常分娩にて児が出生した。臍帯切断後、陰裂近くの臍帯を止めたコッヘル鉗子が下降し、恥骨結合上の腹部を圧迫すると臍帯が下降し胎盤が娩出した。
この場合の胎盤剝離徴候はどれか。2つ選べ。
  1. Küstner〈キュストナー〉徴候
  2. Schröder〈シュレーダー〉徴候
  3. Ahlfeld〈アールフェルド〉徴候
  4. Strassmann〈ストラスマン〉徴候
  5. Mikulicz-Radecki〈ミクリッツ・ラデッキィ〉徴候
13
問 39
生後3日の新生児にみられる状態で正常なのはどれか。2つ選べ。
  1. 側弯反射
  2. 15%の体重減少
  3. 静脈管の機能的閉鎖
  4. 動脈管の器質的閉鎖
  5. Landau〈ランドー〉反射
13
問 40
第1前方後頭位における左側臥位での分娩介助で適切なのはどれか。2つ選べ。
  1. 産婦の右下肢を補助者が抱えて開脚させる。
  2. 後頭結節が恥骨弓下を滑脱するまで児頭を会陰の方向に引き下げる。
  3. 母体右側の大陰唇の裂傷に注意して娩出させる。
  4. 第4回旋は児の右肩が母体の恥骨側に向かうように娩出させる。
  5. 児の体幹は母体の殿部に向かうように娩出させる。
12
次の文を読み41~43の問いに答えよ。
 助産師Aさんは、母校の女子高校の依頼を受けて1年生130人を対象に、女性としての自分の身体を理解し、セルフケア意識を持たせることを目的として健康教育を行うことになった。健康教育の実施にあたり事前に高校と打ち合わせを行った。1年生の入学時の身体計測値の平均は全国平均と同等であった。
問 41
この集団の身体的特徴で正しいのはどれか。
  1. 骨量のピークを迎えている。
  2. 月経の持続日数は成人より短い。
  3. 身長の年間増加量のピークを迎えている。
  4. 性成熟期と比べて無排卵性周期の頻度が高い。
  5. 血中の卵胞刺激ホルモン〈FSH〉値は一生を通じて最大となる。
4
問 42
1年生への健康教育の内容を決めるにあたり、学年主任の教員から生徒の生活習慣に関する情報収集を行った。高学年になるにつれて、休日にアルバイトをしている生徒やボーイフレンドのいる生徒が多くなるという。
健康教育で扱う内容として優先度が高いのはどれか。
  1. 性感染症〈STD〉予防
  2. 女性の健康とキャリア形成
  3. 妊娠に向けた健康な身体づくり
  4. 第二次性徴がもたらす身体の変化
  5. ベビー人形を用いた抱っこの演習
1
問 43
健康教育を実施した当日、Aさんが後片付けをしていると、1人残っていた生徒が「自分は幼稚園のころからスカートをはくのが嫌いで、男の子と遊んでいるほうが楽しかった。胸が膨らんできて、生理がある自分の体が嫌で違和感がある」と真剣な表情で話しかけてきた。
この生徒へかける言葉として適切なのはどれか。
  1. 「今は勉強に集中しましょう」
  2. 「誰にも言わないでおきましょう」
  3. 「自分の気持ちを否定する必要はありませんよ」
  4. 「ボーイフレンドができれば気持ちは変わりますよ」
  5. 「サポートチームを作るよう先生にお願いしてみましょう」
3
次の文を読み44~46の問いに答えよ。
 Aさん(38歳、1回経産婦)。妊娠28週3日。これまでの妊娠経過に異常はなかった。突然、自宅で性器出血があり、かかりつけの産婦人科診療所を受診した。診察時、腟内に約100mLの血液貯留を認め、子宮口から少量の出血が持続していた。子宮に痛みの自覚はなかった。直ちに総合周産期母子医療センターに救急搬送され入院した。
既往歴:24歳のときにクラミジア頸管炎のため抗菌薬治療を受けた。35歳のときに骨盤位のため妊娠38週で予定帝王切開術によって出産した。
生活歴:喫煙20本/日、妊娠後は5本/日まで減らしている。
家族歴:実父が糖尿病および高血圧症の治療中である。
身体所見:身長150cm、体重70kg(非妊時体重60kg)。脈拍70/分、血圧132/80mmHg。子宮口は閉鎖。腟内に凝血塊を認めるが、取り除くと出血は止まっていた。NSTでは胎児心拍数に異常はなく、15分に1回程度の弱い子宮収縮を認める。
検査所見:血液検査の結果、感染徴候はなく、凝固系に異常を認めない。
問 44
入院後に撮影されたAさんの骨盤MRI(別冊No.3)を別に示す。
最も疑われるのはどれか。
問44の画像
  1. 副胎盤
  2. 前置胎盤
  3. 部分胞状奇胎
  4. 不全子宮破裂
  5. 慢性胎盤剝離羊水過少症候群
2
問 45
入院後、リトドリン塩酸塩の点滴静脈内注射によって子宮の収縮は消失し、性器出血も見られなくなった。Aさんは動悸とc怠感を訴えている。Aさんにベタメタゾンの筋肉内注射を行うことになった。
ベタメタゾンの投与にあたり医師と助産師がAさんに行う説明で適切なのはどれか。
  1. 「子宮内の感染を予防します」
  2. 「動悸を軽くする効果があります」
  3. 「赤ちゃんの肺の成熟を促します」
  4. 「この薬が胎盤を通過することはありません」
  5. 「リトドリン塩酸塩に対するアレルギー反応を防ぎます」
3
問 46
妊娠32週0日、再度500mLを超える性器出血があり、Aさんは緊急帝王切開術によって体重2,030gの男児を分娩した。手術中の出血が多量となり、腟上部切断術によって子宮体部が摘出され、輸血が行われた。出血量は4,500mLであった。手術後のAさんの経過は良好であり、産褥8日に退院することとなった。Aさんは助産師に「子宮を取ることになったのは残念ですが、何とか無事に退院でき、ほっとしています。今後はどんなことに気を付ければいいでしょうか」と話した。
助産師が情報提供を行う内容として最も適切なのはどれか。
  1. 「尿漏れが起きやすくなります」
  2. 「エストロゲンを補充する必要があります」
  3. 「輸血後の感染症の抗体検査は必要ありません」
  4. 「今後も子宮頸がん検診を受ける必要があります」
4
次の文を読み47~49の問いに答えよ。
 30歳の初産婦。妊娠41週3日に陣痛が発来したため入院した。妊婦健康診査で、HBs抗原陽性、HBe抗原陰性。その他の異常は指摘されていなかった。入院時、子宮口8cm開大。直ちに分娩監視装置を装着したところ軽度の変動一過性徐脈が認められた。入院から1時間後に児を娩出した。娩出時に血性羊水が認められた。出生直後、児の啼泣は弱く、筋緊張が低下していたため、インファントラジアントウォーマー下で児の足底を刺激した。出生から30秒後には、あえぎ呼吸で心拍数は6秒間に8回であった。体重は3,000g前後、外表奇形は認められない。
問 47
このときの児に対する処置(別冊No.4 ①~④)を別に示す。
最も優先されるのはどれか。
問47の画像
4
問 48
出生後の適切な処置によって児の全身状態は改善した。
B型肝炎の母子感染を予防するために行う出生直後の対応として正しいのはどれか。
  1. 児への抗HBsヒト免疫グロブリンの皮下注射
  2. 児へのB型肝炎ワクチンの皮下注射
  3. 臍帯血のHBs抗原の測定
  4. 児のHBs抗原の測定
2
問 49
生後時間に経口哺乳を開始した。生後1日にビタミンK2シロップを投与し、人工乳による補足を開始した。生後3日に血便がみられ、アプト試験で変色なし、血便の検査で好酸球の集積が認められた。呼吸状態や哺乳力に異常はなかった。この児の血便の原因として最も考えられるのはどれか。
  1. 新生児メレナ
  2. 母体血の嚥下
  3. ミルクアレルギー
  4. 胎便関連性腸閉塞
  5. 新生児壊死性腸炎
3
次の文を読み50、51の問いに答えよ。
 Aさん(38歳、1回経産婦)。妊娠36週5日。これまでの妊娠経過に異常はなかった。家事をしていたとき、少量の出血があり総合病院の産婦人科に来院した。Aさんは「出血と同時に水が流れる感じもあったが、最近は尿漏れが少しあり、破水かどうかはっきりしない」と言う。前回は正期産の経腟分娩であった。腟鏡診で後腟円蓋に少量の淡血性の貯留液を認めたが、視診では破水の有無は明らかではなかった。子宮口1.5cm開大、展退度30%、Station-2、子宮頸管の硬度は中、子宮口の位置は後方であった。児は頭位であり、卵膜を触知する。
問 50
破水を確認するために行う検査として最も適切なのはどれか。
  1. 腟分泌物のインスリン様成長因子結合蛋白1型定性
  2. 頸管内顆粒球エラスターゼ定量
  3. 超音波によるAFI測定
  4. 腟分泌物のグラム染色
  5. 胎便中トリプシン定量
1
問 51
Aさんは前期破水と診断され、入院した。破水後12時間が経過し、羊水の流出感が増したため助産師が診察すると、卵膜を触れず、児頭を直接触知した。破水後21時間には、母体の発熱がみられ、内診で子宮口2cm開大、展退度40%、Station-2、子宮頸管の硬度は中、子宮口の位置は後方であった。黄色透明の羊水が流出しており、悪臭はない。子宮に圧痛はない。体温38.1℃、脈拍80/分、血圧120/80mmHg。血液検査の結果は、白血球15,500/µL、Hb9.5g/dL、血小板17万/µL、CRP1.0mg/dLであった。このときの胎児心拍数陣痛図(別冊No.5)を別に示す。
現在のAさんの状態のアセスメントとして正しいのはどれか。
問51の画像
  1. 臨床的絨毛膜羊膜炎
  2. 胎児機能不全
  3. 母体敗血症
  4. 遷延分娩
1
次の文を読み52、53の問いに答えよ。
 Aさん(41歳、初産婦)。人工授精にて妊娠。予定帝王切開術にて男児を出産した。産褥8日、母子ともに出産後の経過は順調で、児の体重2,800gで退院した。夫は単身赴任で、現在子どもと2人暮らし。実父母は県外で暮らしている。退院後3週間は実母が手伝いに来ていた。1か月健康診査では母子ともに健康であり、児の体重は3,800gであった。
問 52
産後6週0日。Aさんは、地域の助産所の母乳相談を訪れ「子どもが先週から夜に寝てくれなくて体が休まらない。疲れて家事も思うようにならない。母が帰ってから相談できる人がいない。母乳が足りないのかな」と訴えた。助産師がAさんの全身状態を観察した結果、褐色の悪露が少量あり、子宮底は恥骨上に硬く触れた。バイタルサインは正常であった。乳房は柔らかく、両乳房の乳管開口数10本程度で射乳あり。1日の授乳回数は7、8回程度。児の体重は現在4,250gであり、皮膚のトラブルはなかった。
Aさんと児の状態のアセスメントで適切なのはどれか。
  1. 児に健康問題がある。
  2. 育児技術が未熟である。
  3. 子宮復古不全が疑われる。
  4. 母乳分泌が不足している。
  5. 育児のサポートが不足している。
3 または 5
採点除外等の扱いをした問題
1)採点上の取り扱い
複数の選択肢を正解として採点する。
2)理由
複数の正解があるため。
問 53
Aさんは、2週後に母乳相談の予約をしていたが来所しなかった。翌日助産師は連絡を取り自宅を訪問した。家の中は物が散乱しており、Aさんは疲弊した表情で「もう疲れました。泣いている子どもを見ると、私も涙が止まらない。何もする気が起こらず、自分のことはどうでもよくなってしまう」と話した。助産師はAさんの気持ちをしばらく傾聴した。児の健康状態は良好であった。
その後の助産師の対応で適切なのはどれか。
  1. 地域の育児サークルを紹介する。
  2. 母乳相談に来所するよう勧める。
  3. 児を乳児院に一時的に預ける。
  4. 地域の保健師と連携する。
4
次の文を読み54、55の問いに答えよ。
 在胎29週0日、体重1,400gで出生した男児。NICUに入院後に呼吸窮迫症候群〈RDS〉のため気管挿管、人工サーファクタントの投与を受けた。生後2日、人工呼吸管理によって呼吸状態は安定していたが、強い啼泣直後に心拍数80/分に低下し、経皮的動脈血酸素飽和度SpO2が98%から70%に急激に低下した。
問 54
このときに撮影した胸部エックス線写真(別冊No.6)を別に示す。
突然の呼吸状態の悪化の原因として最も考えられるのはどれか。
問54の画像
  1. 急性肺炎
  2. 緊張性気胸
  3. 動脈管開存症
  4. 胎便吸引症候群
  5. 未熟児無呼吸発作
2
問 55
生後2週に頭部超音波検査を施行したところ、両側の脳室周囲にエコー輝度の低い領域が認められた。頭部超音波像(別冊No.7)を別に示す。
この所見について正しいのはどれか。
問55の画像
  1. 児の高炭酸ガス血症との関連がある。
  2. アテトーゼ型の脳性麻痺の原因となる。
  3. 子宮内感染の早産児では発症しやすい。
  4. 自閉症スペクトラム障害の原因となる。
3
1-30
31-55