第103回保健師国家試験
午前問題
問 31
Aさん(65歳、女性)。1人暮らし。要支援2。認知症はあるが、他に治療をしている疾患はない。介護保険で介護予防訪問介護を週2回、介護予防通所介護を週1回利用している。介護予防通所介護以外に外出の機会はない。最近、空腹になると夜中でも満腹になるまで、家にある食べ物を何でも口に入れてしまうようになった。Aさんは自宅で生活することを希望していることから、地域包括支援センターの保健師はサービス担当者会議を開催することにした。
サービス担当者会議の参加者として適切なのはどれか。2つ選べ。
サービス担当者会議の参加者として適切なのはどれか。2つ選べ。
- 訪問看護ステーションの理学療法士
- 訪問看護ステーションの訪問看護師
- 介護予防通所介護事業所の介護職員
- 介護予防訪問介護事業所の訪問介護員
- 認知症対応型共同生活介護〈認知症高齢者グループホーム〉の相談員
34
問 32
ノーマライゼーションに基づいた障害者のケアの考え方で正しいのはどれか。2つ選べ。
- 国際生活機能分類〈ICF〉では障害の程度によって必要なケアが規定される。
- 支援がないことで社会参加が制約されている場合は対象に含む。
- 環境と個人との特性が加わって健康状態が決定される。
- 障害者に対する医療の確保を第一の目的とする。
- 援助者がリーダーシップを発揮して進める。
23
問 33
学校保健活動で正しいのはどれか。2つ選べ。
- BCG接種を行う。
- 食育推進計画を策定する。
- 児童生徒の保護者に助言を行う。
- 学校生活管理指導表は養護教諭が記載する。
- 学校保健委員会は地域の関係機関の代表も含めて構成する。
35
問 34
感染症発生動向調査において全数把握の対象となるのはどれか。2つ選べ。
- 風疹
- 百日咳
- 日本脳炎
- マイコプラズマ肺炎
- 性器クラミジア感染症
13
問 35
放射線の災害による影響で正しいのはどれか。2つ選べ。
- 胸膜中皮腫の原因となる。
- クラッシュ症候群を起こす。
- 胎児は成人より感受性が低い。
- 呼吸によって内部被ばくを起こす。
- 晩発症状に甲状腺機能低下症がある。
45
問 36
A市の2地区でデータを収集した。各項目について地区間に差があるかどうかを統計学的に検定する。
x2〈カイ2乗〉検定が適している項目はどれか。2つ選べ。
x2〈カイ2乗〉検定が適している項目はどれか。2つ選べ。
- 年齢
- 通院の有無
- 高血圧症の有病率
- 1日当たり飲酒量
- 1日当たり喫煙本数
23
問 37
日本の政府開発援助〈ODA〉について正しいのはどれか。2つ選べ。
- 技術協力が含まれる。
- 国際協力機構〈JICA〉が援助を担っている。
- 援助開始以降、予算額は増加し続けている。
- 平成26年(2014年)の援助実績は援助国で最大である。
- 国連開発計画〈UNDP〉からの要請に基づき有償資金協力を行っている。
12
問 38
平成27年(2015年)に策定された認知症施策推進総合戦略〈新オレンジプラン〉の特徴について正しいのはどれか。2つ選べ。
- 対象期間は20年間である。
- 目的は認知症高齢者の早期発見・早期治療である。
- 関係省庁で連携して取り組むことが示されている。
- 認知症施策を加速させるための戦略としてつの柱がある。
- 施策のアウトカム指標は定量的に評価することを目指している。
35
問 39
がん対策推進基本計画の目標項目で正しいのはどれか。2つ選べ。
- がんの罹患率
- 緩和ケア病棟数
- がんによる死亡者数
- がん患者の支援団体数
- 院内がん登録実施医療機関数
35
問 40
介護者のグループを育成するにあたり、初期段階における保健師の役割で適切なのはどれか。2つ選べ。
- 活動計画の作成を支援する。
- 地域社会との関わりを強化する。
- グループ外からの支援を受けないよう助言する。
- 気の合うメンバー同士が活動を進められるよう配慮する。
- メンバーの発言を尊重して活動内容に取り入れるよう促す。
15
次の文を読み41~43の問いに答えよ。
人口約1万人のA町は、後期高齢者が約3割を占める。町内に集落が点在しており、集落ごとに自治会の活動が活発である。休日の昼間、A町を震源とする震度6強の大規模な地震が発生した。建物の倒壊が見られ、下敷きになっている住民もいるとの情報があった。役場から約5kmの距離にある小学校に救護所が設置された。
人口約1万人のA町は、後期高齢者が約3割を占める。町内に集落が点在しており、集落ごとに自治会の活動が活発である。休日の昼間、A町を震源とする震度6強の大規模な地震が発生した。建物の倒壊が見られ、下敷きになっている住民もいるとの情報があった。役場から約5kmの距離にある小学校に救護所が設置された。
問 41
地震発生30分後に、町の防災マニュアルに基づき、A町の保健師のうち1人が救護所となっている小学校に駆けつけることができた。
この保健師の対応で最も適切なのはどれか。
この保健師の対応で最も適切なのはどれか。
- 近隣住民へのボランティアの依頼
- 小学校の養護教諭への連絡
- 必要な医療物品の準備
- 県保健師への応援要請
3
問 42
地震発生当日に町内に避難所が設置された。1週後、町民の半数が避難所で生活を送っている。県外から派遣された医療チームが避難所での健康管理を行っている。
このときのA町保健師の活動で優先度が高いのはどれか。
このときのA町保健師の活動で優先度が高いのはどれか。
- 避難所で傷病者の処置を行う。
- 町外への避難者の安否確認を行う。
- 避難所の高齢者の介護予防を行う。
- 避難所の要援護者の搬送先を検討する。
4
問 43
地震発生から2か月が経過した。小学校の近くに仮設住宅が設置され、避難者の大半が移った。住民の5割は自宅、4割は仮設住宅、1割は避難所で生活している。
このときのA町保健師の活動で最も適切なのはどれか。
このときのA町保健師の活動で最も適切なのはどれか。
- 町外施設に移った要介護者を訪問する。
- 避難所の住民の自治組織の立ち上げを支援する。
- 各集落の自治会長から住民の生活状況の情報を得る。
- 仮設住宅の住民に対して役場で運動教室を開催する。
3
次の文を読み44、45の問いに答えよ。
人口5万人の市。市の人口は平成20年度以降は変化はない。市はA、B及びCの3つの地区からなり、肺がん対策として検診の受診率の向上に取り組んでいる。市の肺がん検診は、平成26年度まではA地区の保健センターで行う集団検診のみであったが、平成27年度からはB地区にある病院でも検診を行っている。各地区の肺がん検診の受診者数および対象者数を表に示す。
人口5万人の市。市の人口は平成20年度以降は変化はない。市はA、B及びCの3つの地区からなり、肺がん対策として検診の受診率の向上に取り組んでいる。市の肺がん検診は、平成26年度まではA地区の保健センターで行う集団検診のみであったが、平成27年度からはB地区にある病院でも検診を行っている。各地区の肺がん検診の受診者数および対象者数を表に示す。
問 44
市内の肺がん検診の状況について正しいのはどれか。
- 検診実施施設が増えた後、市全体の検診受診率は増加した。
- 検診を実施している病院がある地区の対象者数に変化はない。
- 平成27年度の市全体の人口に占める検診対象者の割合は50%以上である。
- 市全体の検診受診率は平成24年(2012年)のがん対策推進基本計画の目標値を上回っている。
正答なし
採点除外等の扱いをした問題
1)採点上の取り扱い
採点対象から除外する。
2)理由
設問の状況設定が不十分で正解が得られないため。
採点除外等の扱いをした問題
1)採点上の取り扱い
採点対象から除外する。
2)理由
設問の状況設定が不十分で正解が得られないため。
問 45
C地区の地域診断を行ったところ、胃がん検診と大腸がん検診は肺がん検診より受診率が高く他の地区とも差がないことや、他の地区より喫煙率が高いことが分かった。また、過去10年間の肺がんによる死亡者18人のうち、肺がん検診の受診歴のない者が6人であった。
C地区の肺がん検診の受診率向上を目指して取り組む事業として優先度が高いのはどれか。
C地区の肺がん検診の受診率向上を目指して取り組む事業として優先度が高いのはどれか。
- 胃がん検診と同日での肺がん検診の実施
- がんの緩和ケアに関する講演会の開催
- がん登録事業の協力病院の拡大
- 肺がん検診の追加開催
- 禁煙教室の実施
1
次の文を読み46、47の問いに答えよ。
A市内にある、特別養護老人ホームを併設する病院から「特別養護老人ホームの入所者から消化器症状を訴える者が多発し、検便した結果、腸管出血性大腸菌が検出された」と1月24日に保健所に報告があった。保健師が調査したところ、週に1回、病院の医師が特別養護老人ホームの入所者の健康状態を確認していたことが分かった。看護・介護職員および調理従事者は、特別養護老人ホームと病院とでそれぞれ別の職員を雇用しており、施設間での行き来はなかった。給食は同じ食材を用い同じ方法で調理していたが、給食施設はそれぞれ独立していた。1月の発症日別の発症者数を表に示す。
A市内にある、特別養護老人ホームを併設する病院から「特別養護老人ホームの入所者から消化器症状を訴える者が多発し、検便した結果、腸管出血性大腸菌が検出された」と1月24日に保健所に報告があった。保健師が調査したところ、週に1回、病院の医師が特別養護老人ホームの入所者の健康状態を確認していたことが分かった。看護・介護職員および調理従事者は、特別養護老人ホームと病院とでそれぞれ別の職員を雇用しており、施設間での行き来はなかった。給食は同じ食材を用い同じ方法で調理していたが、給食施設はそれぞれ独立していた。1月の発症日別の発症者数を表に示す。
問 46
感染が拡大した理由として最も可能性が高いのはどれか。
- 不適切な調理方法
- 病院の入院患者による媒介
- 原因菌による給食食材の汚染
- 特別養護老人ホームの看護・介護職員による媒介
4
問 47
今後の感染拡大を防止するために必要な措置のうち、検便の対象者として優先度が低いのはどれか。
- 病院の医師
- 病院の入院患者
- 特別養護老人ホームの入所者
- 特別養護老人ホームの調理従事者
- 特別養護老人ホームの入所者への面会者
2
次の文を読み48、49の問いに答えよ。
Aさん(50歳、女性、未婚)。28歳のときに統合失調症と診断され、43歳から7年間精神科病院に入院していた。両親は7年前に相次いで他界し、家族は姉(55歳、未婚)のみである。Aさんの病状が安定したため、Aさん姉妹は一緒に暮らすことを希望した。退院前に、病院内で地域の支援関係者を集めた会議が開かれ、Aさん姉妹も参加した。その際、姉が「妹と離れて暮らしていた期間が長いので不安はありますが、一緒に暮らせるのはうれしいです」と語っていた。退院後は市の保健師が家庭訪問することになった。
Aさん(50歳、女性、未婚)。28歳のときに統合失調症と診断され、43歳から7年間精神科病院に入院していた。両親は7年前に相次いで他界し、家族は姉(55歳、未婚)のみである。Aさんの病状が安定したため、Aさん姉妹は一緒に暮らすことを希望した。退院前に、病院内で地域の支援関係者を集めた会議が開かれ、Aさん姉妹も参加した。その際、姉が「妹と離れて暮らしていた期間が長いので不安はありますが、一緒に暮らせるのはうれしいです」と語っていた。退院後は市の保健師が家庭訪問することになった。
問 48
Aさんは姉との2人暮らしを開始した。
退院から7日後の初回の家庭訪問の目的として適切なのはどれか。
退院から7日後の初回の家庭訪問の目的として適切なのはどれか。
- 病院での退院指導内容の確認
- 就労移行支援サービス利用の勧奨
- 自宅での生活への適応状況の把握
- Aさん宅周辺の住民同士の交流状況の把握
3
問 49
初回訪問日の2週後に2回目の訪問を予定していたが、訪問予定日の3日前に、Aさんの姉から保健師に電話があった。姉は「一緒にしようと促しても妹は家事をしたがらず、何でも私に頼ってきます。私はイライラして、妹と口論になることが増えてきました。私自身、3、4日前から食欲がなく、体がだるいため家事をするのも大変です。このまま妹との生活を続けることに自信がなくなりました」と話した。
このときの姉への助言として適切なのはどれか。
このときの姉への助言として適切なのはどれか。
- 「Aさんの再入院を考えてみましょう」
- 「Aさんの主治医に対応を相談してみましょう」
- 「食欲不振などの症状は一時的なものなので心配はいりませんよ」
- 「Aさんとの口論を近所の人たちに聞かれないように注意しましょう」
2
次の文を読み50、51の問いに答えよ。
Aさん(59歳、女性)。夫(66歳、無職)と2人暮らし。市の健康相談に参加したAさんは、ふらつきがあり歩行が不安定であった。相談に対応した保健師に対して「歩き出しがうまくできないし、思うように体が動かず困っています」とAさんは話した。保健師はAさんの訴えなどから神経変性疾患を想定し、Aさんの他の症状について確認することにした。
Aさん(59歳、女性)。夫(66歳、無職)と2人暮らし。市の健康相談に参加したAさんは、ふらつきがあり歩行が不安定であった。相談に対応した保健師に対して「歩き出しがうまくできないし、思うように体が動かず困っています」とAさんは話した。保健師はAさんの訴えなどから神経変性疾患を想定し、Aさんの他の症状について確認することにした。
問 50
確認する症状として優先度が高いのはどれか。
- 耳鳴の有無
- 振戦の有無
- 視野欠損の有無
- 手足の浮腫の有無
2
問 51
その後、Aさんは指定難病と診断され、隣市の専門医療機関での月1回の通院治療を開始した。2年後、Aさんは要介護4に認定され、通所介護を週2回利用している。Aさんの介護と家事は夫が担っている。夫は糖尿病で半年ほど前から血糖コントロールが不良であり、血糖管理および指導の目的で5日間の入院を勧められている。
夫の入院中にAさんが利用する事業で最も適切なのはどれか。
夫の入院中にAさんが利用する事業で最も適切なのはどれか。
- 夜間対応型訪問介護
- 短期入所療養介護
- 訪問入浴介護
- 訪問看護
2
次の文を読み52、53の問いに答えよ。
A市では保育所を利用している家庭が増加しており、対応困難な児に関する保育士からの市保健師への相談が増えてきている。A市では子育て支援を強化するため、次年度の母子保健計画の策定にあたって、市内の15か所の保育所との連携システムをどのように構築していくかを検討することになった。
A市では保育所を利用している家庭が増加しており、対応困難な児に関する保育士からの市保健師への相談が増えてきている。A市では子育て支援を強化するため、次年度の母子保健計画の策定にあたって、市内の15か所の保育所との連携システムをどのように構築していくかを検討することになった。
問 52
保健師が最初に取り組むこととして適切なのはどれか。
- 対応困難な児の保護者に保育所でインタビュー調査を行う。
- 市のホームページでパブリックコメントを募集する。
- 対応困難な事例の検討会を保育所と行う。
- 対応困難な児の家庭訪問をする。
3
問 53
保育所との連携システムの構築に取り組んでから3か月が経過した。その評価から母子保健担当の保健師は、保育所を定期的に巡回し、個別相談が必要な児に対して健康相談を行う巡回健康相談事業を検討している。
事業を計画するにあたり最初に検討するのはどれか。
事業を計画するにあたり最初に検討するのはどれか。
- 事業評価の時期
- 事業担当者の確保
- 巡回健康相談の実施回数
- 保育所利用者に対する事業の広報
- 母子保健計画における事業の位置付け
5
次の文を読み54、55の問いに答えよ。
Aさん(80歳、女性)。1人暮らし。高血圧症で50歳から近くの医療機関を受診しており、降圧薬を内服し、自己管理をしながら自立して生活していた。長女(55歳)は他県に住み、月1回Aさんの様子をみに来ている。長女は、地域包括支援センターに来所し「母が物を探すことが多くなったと感じていたが、隣人から母が近所で道に迷っているのを見かけたと聞き、心配になった」と保健師に相談した。
Aさん(80歳、女性)。1人暮らし。高血圧症で50歳から近くの医療機関を受診しており、降圧薬を内服し、自己管理をしながら自立して生活していた。長女(55歳)は他県に住み、月1回Aさんの様子をみに来ている。長女は、地域包括支援センターに来所し「母が物を探すことが多くなったと感じていたが、隣人から母が近所で道に迷っているのを見かけたと聞き、心配になった」と保健師に相談した。
問 54
このときに保健師が長女に勧める内容で最も適切なのはどれか。
- 保健所への相談
- かかりつけ医への相談
- 介護療養型医療施設の見学
- 認知症サポーター講座の受講
2
問 55
その後、Aさんは要支援1と認定された。長女は電話で「最近母が、病院でお金を支払うことや、ATMでお金をおろすことができなくなった」と地域包括支援センターの保健師に相談した。
保健師が勧める社会資源として優先度が高いのはどれか。
保健師が勧める社会資源として優先度が高いのはどれか。
- 成年後見制度
- 消費者生活センター
- 訪問看護ステーション
- 介護予防・日常生活支援総合事業
- 認知症対応型共同生活介護〈認知症高齢者グループホーム〉
4
1-30
31-55