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第96回保健師国家試験

午前問題
問 31
52歳の女性。3年間で体重が8kg増加した。糖尿病の合併症で失明した知人から「自分も家族も大変だ。あなたも気をつけなさい」と言われ、糖尿病を心配している。「減量するのは大変だが、近所のウォーキングサークルに入ろうと思っている」と言う。
ヘルスビリーフモデルで考えるときの組合せで正しいのはどれか。2つ選べ。
1.
減量は大変だ。
知覚された疾病の感受性
2.
ウォーキングを始めよう。
保健行動をとる可能性
3.
糖尿病になると合併症が怖い。
予防的行動の負担と利益
4.
自分も糖尿病になるかもしれない。
知覚された疾病の重大性
5.
利用できるサークルが近所にある。
予防的行動の負担と利益
25
問 32
介護保険制度における介護予防事業の対象はどれか。2つ選べ。
  1. 40~64歳の成人
  2. 一般高齢者
  3. 特定高齢者
  4. 要支援者
  5. 要介護者
23
問 33
都道府県の「難病相談・支援センター」の機能はどれか。2つ選べ。
  1. 就労支援
  2. 訪問指導
  3. 認定の適正化
  4. 日常生活用具等の給付
  5. 地域での交流活動の促進
15
問 34
近年の感染症対策で適切なのはどれか。2つ選べ。
  1. 入院勧告にあたっては人権に配慮する。
  2. 動物由来感染症は対策の優先順位が低い。
  3. 国際化が進み、国内での発生動向調査の意義は低い。
  4. 重大な感染症発生時は個人情報を含めた詳細な情報を公表する。
  5. 感染症の発生・拡大を防止するための事前対応型行政を強化する。
15
問 35
市全域の地域診断で適切なのはどれか。2つ選べ。
  1. 健康指標のデータは経年的な傾向を評価する。
  2. 同程度の人口規模の他市のデータと比較をする。
  3. 市外の社会資源については情報収集を対象としない。
  4. エイズ検査の来所者に健康観に関するアンケート調査を行う。
  5. 全国と市の健康指標データの比較では市の傾向を評価できない。
12
問 36
都道府県産業保健推進センターの相談員の役割はどれか。2つ選べ。
  1. 産業保健関係者に研修を実施する。
  2. 従業員に健康診断結果の見方を指導する。
  3. メタボリックシンドロームの従業員に保健指導を行う。
  4. 小規模事業場の従業員を対象に健康相談窓口を開設する。
  5. 職場のメンタルヘルス対策の進め方について衛生管理者に助言する。
15
問 37
小学校の養護教諭から「6年生の児童の体にあざがある。児童の母親から、同居している伯父が酒に酔うと乱暴になると相談があり、身体的虐待が疑われる。この家族へ関わってほしい」と保健所保健師に相談があった。
保健師の対応で適切なのはどれか。2つ選べ。
  1. 学校から伯父の入院を警察に相談するよう勧める。
  2. 保護者でない伯父は虐待者にあたらないと説明する。
  3. 学校から福祉事務所へ児童虐待の通報をすることを勧める。
  4. 養護教諭と保健師とが同席して母親の相談を受けることを提案する。
  5. 保健所は伯父に、児童相談所と学校は児童にと、分かれて対応することを提案する。
34
問 38
人口1万人の町。10年後を目標年として数値目標を設定した健康日本21の町計画を策定後、5年が経過し中間評価を行うこととなった。
成果の評価に適した項目はどれか。2つ選べ。
  1. 心疾患年齢調整死亡率
  2. 計画推進に要した予算額
  3. 生活習慣病予防教室の参加者数
  4. 全飲食店のうち栄養成分表示店の割合
  5. 1回30分以上で週2回以上の運動を1年以上持続している者の割合
15
問 39
我が国の平成19年1年間におけるヒト免疫不全ウイルス〈HIV〉感染者と後天性免疫不全症候群〈AIDS〉患者の発生動向について正しいのはどれか。2つ選べ。
  1. HIV感染者数は3,000人を超えた。
  2. AIDS患者の年齢階級別報告数は20歳代が最も多い。
  3. HIV感染者の感染経路は同性間性的接触が最も多い。
  4. HIV感染者の推定感染地域は約6割が日本国内である。
  5. AIDS患者数は東京都を含む関東甲信越ブロックが最も多い。
35
問 40
感染症発生動向調査のうち全数把握対象疾患はどれか。2つ選べ。
  1. 麻疹
  2. 水痘
  3. 急性灰白髄炎
  4. 感染性胃腸炎
  5. インフルエンザ
13
次の文を読み41~43の問いに答えよ。
 民生委員から担当地区に住む親子のことで町の保健師に相談があった。「2歳の女の子と両親との3人家族と聞いているが、子どもは元気がなく痩せており、何日も同じ服を着ていて身なりも汚れている。母親は疲れきった様子なので、心配で時々声をかけている」と言う。
問 41
最初に確認する情報として適切なのはどれか。
  1. 保育担当課への相談状況
  2. 傷害福祉担当課への相談状況
  3. 子どもの健康診査の受診状況
  4. 近所に住む役場職員のもつ親子の生活状況の情報
3
問 42
情報収集の結果、子育ての大変さや母親自身の体調不良、不眠を訴えているという。母親はうつ病で通院していることが判明した。保健師は民生委員を通じて連絡をとり、家庭訪問を行うこととした。
初回の家庭訪問の内容として適切でないのはどれか。
  1. 家庭内の生活状況を観察する。
  2. 子どもと一緒によく遊ぶよう伝える。
  3. 子どもの身体・発達の状況を観察する。
  4. 母親の困っていることを聞き、支援できることを伝える。
2
問 43
家庭訪問によって、父親は県外に単身赴任中で1か月に数回しか帰宅できず子どもとずっと一緒にいてつらいこと、母親自身が疲れてしまい寝ていることが多いこと、母親自身に食欲がないため子どもにはお菓子を食べさせていることがわかった。
支援するための連携機関で適切なのはどれか。2つ選べ。
  1. 警察署
  2. 保育所
  3. 児童相談所
  4. 通院中の医療機関
  5. 生活保護担当部署
34
次の文を読み44~46の問いに答えよ。
 人口8万人の市。出生率は9.5(人口千対)。転出入は少ない。2年前から乳児家庭全戸訪問事業(こんにちは赤ちゃん事業)を6名の母子担当保健師で開始した。しかし、事業目的に合った即時的な訪問に困難が生じているため、子育て経験のある市民6名を育児支援訪問員として訪問者に加えることとした。この周知は、母子健康手帳交付時に行い、また開始月の市の広報に掲載した。市の母親学級参加率は30%、両親学級参加率は10%、4か月児健康診査受診率は95%である。市内には子育て相談窓口として子育て支援センターが3か所ある。市内には産婦人科をもつ病院は1か所で市内の妊婦の約8割がこの病院で出産する。小児科をもつ病院は3か所ある。
問 44
育児支援訪問員による訪問を開始するにあたり、事前研修を実施することとした。
研修プログラムの内容で適切なのはどれか。2つ選べ。
  1. 保健指導
  2. 訪問結果の評価
  3. 個人情報の保護
  4. 医療機関との連携
  5. 訪問結果の報告内容
35
問 45
保健師と育児支援訪問員とが対象を分担する際に特に考慮すべき項目はどれか。
  1. 対象の居住地
  2. 両親学級参加の有無
  3. 4か月児健康診査結果
  4. 母子健康手帳交付時の把握内容
4
問 46
育児支援訪問員による訪問開始後、訪問を断られることもあり、周知が不十分であることがわかった。そこで、保健師は周知方法を見直すこととした。
最も効果が期待できる周知方法はどれか。
  1. 婚姻届の提出時に案内文の配布
  2. 子育て支援センターにポスターの掲示
  3. 市内の小児科をもつ病院にポスターの掲示
  4. 市内の産婦人科をもつ病院にポスターの掲示
4
次の文を読み47~49の問いに答えよ。
37歳の女性。男性500人、女性150人の製造業の総務部門の係長。3か月前に部下が1名退職したが、補充されないためこの間の月平均残業時間が80時間を超え、強い疲労感を感じている。2名の係員も月40時間の残業を行っている。また、4か月前に異動してきた直属の課長が、女性社員を「○○ちゃん」と名前で呼ぶなど、男性社員と女性社員への対応が異なるため、部下の相談に乗ることも多く、ストレスに感じている。
問 47
女性は頭痛を訴えて事業場内の健康管理室に来室した。1時間休養し軽快した。残業時間が長く、疲労が蓄積していることを訴えたため、保健師はまず頑張りをねぎらった。
その他の援助で最も適切なのはどれか。
  1. 部長に相談することを勧める。
  2. 効率的に仕事をするように助言する。
  3. 医療機関を受診し、健康相談するよう指導する。
  4. 過重労働について医師の面接制度を活用するよう勧める。
4
問 48
3か月後、新たな人員も補充され、残業時間も月30時間程度になったころ、女性は妊娠をした。妊娠11週。「つわりが強く、時差通勤をしたい。課長に説明するのに良い方法はないか」と相談があった。
保健師が提供する情報で適切なのはどれか。
  1. 症状を申し出るだけで可能である。
  2. 母子健康手帳を提出すれば可能である。
  3. 診断書の提出が義務付けられているので準備しておく。
  4. 主治医が記入した母性健康管理指導事項連絡カードを提示する。
4
問 49
女性は出産後、育児休暇を半年間取得した後に、子どもを保育所に預け復職した。「育児時間を取得していることに対して、課長が嫌味を言うので、ストレスがたまる」と相談に来た。相談に対しては傾聴し、これまでの頑張りを認め、ハラスメント相談部門への相談を勧めたので女性は「だいぶ、気が晴れた」と言っている。
今後、保健師が行う対応で適切なのはどれか。
  1. 安全衛生委員会で事例を検討する。
  2. 復職委員会に相談事例として報告する。
  3. 管理職に対するハラスメント研修の開催を人事部門に提案する。
  4. 育児時間取得経験者に上司の対応について聞き取り調査をする。
3
次の文を読み50~52の問いに答えよ。
 特別養護老人ホームの看護師から「昨日の朝から入所者と職員とが嘔吐と下痢を発症している」と保健所に相談があった。発症者の内訳は入所者が80名のうち9名、職員が25名のうち4名である。この施設はデイサービスを別棟に併設しているが、デイサービス利用者に症状のある者はいない。2週前にデイサービス棟でピアノコンサートがあり、各フロアから数名の入所者が参加した。職員は各フロアで固定しており、デイサービス棟との行き来はない。
問 50
保健師と食品衛生監視員とが訪問し、症状がある者の発症経過を調査した。
調査項目で優先度が高いのはどれか。
  1. 既往歴
  2. 喫食状況
  3. 面会家族の交流状況
  4. ピアノコンサートへの参加状況
2
問 51
訪問調査の結果、施設内の給食施設は1か所で、入所者と職員とに食事を提供していることがわかった。入所スペースは1階から3階まで、発症者は2階フロアのみであった。
施設への指導内容で適切なのはどれか。2つ選べ。
  1. 給食の中止
  2. 面会者全員の検便
  3. デイサービスの休止
  4. 職員の手洗いの徹底
  5. 汚物・嘔吐物の処理の方法
45
問 52
発症者の便からノロウイルスが検出された。その後も2階の入所者および職員以外から発症者はない。時系列の発症者分布を示す。
問52の画像
集団感染となった感染経路の推定として適切なのはどれか。
  1. 給食による食中毒
  2. ピアノコンサートでの感染
  3. 入所者および職員による二次感染
  4. 初発患者から入所者および職員への単一曝露感染
3
次の文を読み53~55の問いに答えよ。
 A市では大腸がん検診の評価のために、B市のデータと比較した。A市とB市の大腸がん検診の実施状況を表に示す。
状況設定問題の画像
問 53
B市と比べたA市の状況で正しいのはどれか。
  1. がん発見率が高い。
  2. 陽性反応適中度が高い。
  3. 偽陽性者の割合が高い。
  4. 偽陰性者の割合が低い。
3
問 54
両市の大腸癌の発見率の違いの原因として考えられるのはどれか。2つ選べ。
  1. 受診者の年齢
  2. 地域の平均余命
  3. 精密検査受診率
  4. 受診者の栄養状態
  5. 検診受診者で入院している者の人数
13
問 55
A市では精密検査の未受診者を減少させる取り組みを検討した。
取り組みの内容で適切なのはどれか。2つ選べ。
  1. 一次検診の結果を迅速に受診者に知らせる。
  2. 一次検診時に精密検査の重要性を説明する。
  3. 精密検査が必要な者に対して末期がんの悲惨さを伝える。
  4. 精密検査が必要なものに便潜血測定簡易キットを郵送する。
  5. 一次検診の結果を地域の保健推進員に報告し、受診勧奨を依頼する。
12
1-30
31-55