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第104回助産師国家試験

午後問題
問 31
妊娠末期の妊婦へのLeopold〈レオポルド〉触診法で骨盤位と疑われるのはどれか。2つ選べ。
  1. 第1段で凹凸のない硬い球形の塊に触れる。
  2. 第2段で母体側方に均等な板状の抵抗が触れる。
  3. 第3段で球形の塊が触れる。
  4. 第3段で最も大きな部分に触れる。
  5. 第4段は第2段で触れた部分に続く凹凸のある部分に触れる。
13
問 32
胎児のwell-beingの評価で異常と判断される所見はどれか。2つ選べ。
  1. 羊水ポケット4cm
  2. 30分間で胎動1回
  3. 胎児心拍数基線140bpm
  4. 拡張期の臍帯動脈血流の逆流
  5. 15bpm以上かつ15秒以上の一過性頻脈が30分間に3回
24
問 33
重症妊娠悪阻の妊婦の注意すべき主な合併症はどれか。2つ選べ。
  1. 悪性高熱症
  2. 高蛋白血症
  3. 静脈血栓塞栓症
  4. 高ナトリウム血症
  5. Wernicke〈ウェルニッケ〉脳症
35
問 34
サイトメガロウイルス感染症で正しいのはどれか。2つ選べ。
  1. 母体感染では不顕性感染が多い。
  2. 胎内感染により児に難聴が生じる。
  3. 母子感染予防のために帝王切開が有効である。
  4. 生殖年齢女性の抗体保有率が近年上昇している。
  5. 妊娠中の初感染時に胎児感染に至る可能性は1%以下である。
12
問 35
産後うつ病の特徴はどれか。2つ選べ。
  1. 希死念慮を抱く。
  2. 児との愛着形成に影響する。
  3. 産後早期に幻覚が出現する。
  4. 産後2週ころまでに消失する。
  5. 症状の本質は予期せぬ気分の変化である。
12
次の文を読み36~38の問いに答えよ。
 Aさん(36歳、会社員)。妊娠歴なし。夫(40歳、会社員)と2年前に結婚した。結婚後なかなか妊娠しないため、不妊専門クリニックを初回受診した。Aさんの月経周期は30日型で規則的、持続期間6~7日である。半年ほど前から月経時の下腹部痛が強くなっているのを自覚している。次の月経は1週後の予定であるという。夫婦ともに既往歴と家族歴に特記すべきことはない。
問 36
初回受診時に行う検査で適切なのはどれか。
  1. Huhner〈フーナー〉試験
  2. 経腟超音波検査
  3. 抗精子抗体検査
  4. 卵管通色素検査
  5. Aさんの染色体検査
2
問 37
初回受診後に、まず不妊原因についてのAさんのスクリーニング検査が開始された。その結果、血清クラミジア抗体検査が陽性であった。クラミジアの治療を行ったことはないという。子宮頸管分泌物の核酸増幅法検査では陰性である。抗菌薬の内服治療後に実施した子宮卵管造影検査の結果、左右卵管の通過性には問題がなかった。
クリニックの助産師のAさんへの説明で正しいのはどれか。
  1. 「クラミジアの検査結果は夫に話す必要はありません」
  2. 「クラミジア感染が不妊の原因です」
  3. 「妊娠しても流産しやすい状態です」
  4. 「治療しても抗体は陽性のままです」
4
問 38
その後、夫の精液検査が行われて、重度の乏精子症であることが確認された。夫婦で夫の検査結果の説明を受けた後、2人ともできるだけ早く効果が期待できる治療に臨みたいと希望している。
今後の不妊治療で優先されるのはどれか。
  1. 漢方療法
  2. タイミング法
  3. 顕微授精〈ICSI〉-胚移植
  4. 提供精子を用いた人工授精
3
次の文を読み39~41の問いに答えよ。
 Aさん(36歳、初産婦)。祖父と母親が2型糖尿病の治療を受けている。自然妊娠して妊娠初期に、妊娠中の明らかな糖尿病〈overt diabetes in pregnancy〉の診断を受けた。妊娠中は、自己血糖測定の値に応じてインスリン自己注射を行い、食事は6回の分割食で血糖コントロールは良好であった。3,400gの児を正常分娩にて出産し母児同室中である。
問 39
産褥2日。血糖値は朝食前85mg/dLで予定通りの量のインスリンを自己注射してから朝食を摂取した。朝食後2時間、助産師が訪室するとAさんは授乳中であったが、気分不快を訴えて冷汗が認められた。授乳を一時中断して、自己血糖測定器で血糖値を測定したところ70mg/dLであった。
このときのAさんへの対応で適切なのはどれか。
  1. 授乳を再開して様子を見る。
  2. 追加のインスリン投与の準備をする。
  3. 仰臥位で両下肢を挙上した体位とする。
  4. ブドウ糖含有の飴をなめるように促す。
4
問 40
産褥6日。インスリン量の調整が行われて、Aさんの血糖値も適切なコントロールとなった。母乳分泌は良好で、授乳は母乳のみで行い、児の体重は3,450gである。1日の摂取エネルギーは1,800kcalで3分食とし、食事直前にインスリンの自己注射を継続することとなった。
退院指導の内容で適切なのはどれか。
  1. 「母乳分泌量が増えたら、食事カロリー量を再度検討しましょう」
  2. 「授乳は30分程度で切り上げて血糖値の変動を抑えましょう」
  3. 「母乳育児をすると、糖尿病が悪化しやすくなります」
  4. 「授乳前には軽い間食を摂るといいですよ」
1
問 41
出産後6か月、糖尿病の定期検査のため来院した。血糖コントロールは良好である。Aさんは「退院後は自分の糖尿病の治療と初めての育児で毎日が大変でした。でも、最近は自分なりの育児ができるようになり、自信がついてきました。近い将来、もう1人子どもが欲しいです」と言う。
Aさんへの説明として適切なのはどれか。
  1. 「次回の妊娠に向けて、引き続き血糖をコントロールしていきましょう」
  2. 「糖尿病が治ってから妊娠をするようにしましょう」
  3. 「月経が再開したらインスリンは終了できます」
  4. 「お子さんは糖尿病になる心配はないでしょう」
1
次の文を読み42~44の問いに答えよ。
 Aさん(21歳、初産婦、未婚)。高校卒業後、友人を頼りに上京したが、定職がなく不定期のアルバイトで収入を得て生活をしている。元来、月経周期が不規則であり、最近は長期間無月経であったが気にせず過ごしていた。3日ほど前から下腹部に時々痛みを感じ、腫れた感じがするため、産婦人科医院を受診した。
 診察前の尿検査で妊娠反応陽性、超音波検査で子宮内に胎児が確認され、児頭大横径55mm。子宮底長20cm、腹囲66cm。最終月経の開始日は6か月前である。現在交際中のパートナーはなく、3か月前までは複数の男性との交際歴があり胎児の父親は不明であるという。
問 42
妊娠週数の正確な推定のために最も有用な情報はどれか。
  1. 腹囲
  2. 子宮底長
  3. 児頭大横径
  4. 最終月経の開始日
  5. 尿中ヒト絨毛性ゴナドトロピン値
3
問 43
Aさんは、初診時には妊娠に困惑した様子で「お金もないし、相手も分からないので育てる自信がない。両親にも伝えていない」と話した。助産師はAさんにまず両親に連絡を取ることを勧めた。2回目の受診時、Aさんは「お父さんもお母さんも怒っていたけど、生まれたら実家で一緒に育てようと言ってくれた。産みたいと思う」と明るい表情で話した。Aさんは助産師と相談の上、現在の産婦人科医院で分娩してから、児とともに退院後すぐに実家に帰って生活することを予定した。
助産師がAさんのサポートのために分娩前から連絡をとる関係機関で適切なのはどれか。
  1. 保育所
  2. 警察署
  3. 児童相談所
  4. ハローワーク
  5. 市町村保健センター
5
問 44
その後、Aさんは定期的に妊婦健康診査を受診し、経過は順調であった。妊娠31週頃より左鼠径部に限局して痛みが強い水疱を伴う複数の皮疹が出現した。妊娠32週に血清抗体検査が行われ、検査結果では単純ヘルペス抗体検査はIgGとIgMいずれも陰性、水痘・帯状疱疹ウイルス抗体IgG陽性、IgM陰性であった。妊娠34週に受診の際には皮疹は痂皮化していた。
この時点で助産師のAさんへの説明で正しいのはどれか。
  1. 「母乳での育児はできません」
  2. 「痛みが残ることはありません」
  3. 「胎児への感染の心配はありません」
  4. 「分娩後はワクチンを接種しましょう」
  5. 「原因ウイルスの初回の感染で生じた症状です」
3
次の文を読み45~47の問いに答えよ。
 Aさん(32歳、初産婦)。妊娠36週0日、胎児機能不全のため緊急帝王切開を受け、男児を出産した。児は出生時、自発呼吸・体動を認めず、生後30秒で心拍数が30/分のためバッグ・マスク換気を開始し、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉モニターを装着した。その後のモニター値と児の状態を以下に示す。
状況設定問題の画像
問 45
バッグ・マスク換気の中止を検討すべきなのはいつか。
  1. 生後1分
  2. 生後1分30秒
  3. 生後2分
  4. 生後2分30秒
  5. 生後3分
4
問 46
児は蘇生終了後、NICUへ入院し、保育器に収容され、経鼻胃管が挿入され、輸液が開始された。生後、低血糖は認めず、胃内容物は透明であった。生後12時間、呼吸数55/分、心拍数180/分、血圧62/45mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉98%(room air)。覚醒した状態が続いており、少しの刺激で泣し、不穏である。
児に認められる神経症状で最も可能性が高いのはどれか。
  1. 筋緊張低下
  2. 吸啜反射の減弱
  3. 伸展反射の減弱
  4. Moro〈モロー〉反射の減弱
2
問 47
生後24時間、児の全身状態は改善傾向である。初回授乳前に経鼻胃管より血性の内容物が吸引された。吸引物はApt〈アプト〉試験で新生児血液と診断された。
児への初期処置として最も適切なのはどれか。
  1. 経管栄養の開始
  2. 新鮮凍結血漿の投与
  3. 上部消化管内視鏡検査
  4. ビタミンK2製剤の静脈内注射
4
次の文を読み48~50の問いに答えよ。
 Aさん(30歳、初産婦)。既往歴や生活歴に特記すべき事なく、妊娠経過中、母子ともに異常の指摘はなかった。妊娠39週1日、頭位経腟分娩で男児を出生した。児のApgar〈アプガー〉スコアは1分後8点、5分後9点、初期蘇生は行わずルーチンケアのみ行って終了したが蘇生の際の診察で左の口唇裂を認めた。出生体重2,950g。生後10分の児のバイタルサインは、体温37.2℃、呼吸数50/分、心拍数160/分、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉92%(room air)であった。
問 48
Aさんは以前より早期母子接触を希望していた。
早期母子接触前の児への対応として適切なのはどれか。
  1. 経鼻胃管の挿入
  2. 酸素投与の開始
  3. 閉鎖式保育器への収容
  4. 胸部エックス線写真の撮影
  5. 経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉モニターの継続
5
問 49
生後4か月0日、約1か月前に手術を受け、児は元気に自宅で生活している。Aさんは児の発育発達の経過観察を目的に児を連れて外来を受診した。来院時の身体計測値は身長60.0cm、体重5,400g、頭囲42.5cmであった。あやすと声を出して笑い、人見知りをする様子はない。定頸はしているが寝返りはまだである。また、おもちゃを目の前に出しても手を伸ばすことができない。
現時点での児の評価で適切なのはどれか。
  1. 運動発達遅滞
  2. 精神発達遅滞
  3. 体重増加不良
  4. 発育発達順調
3
問 50
今回の外来受診の最後にAさんから「子どもの手術の都合もあって、まだ予防接種を何も受けることができていません」と相談があったため、1週後に初回予防接種の実施を検討した。周囲では感染症流行の情報はない。
初回予防接種として適切なのはどれか。2つ選べ。
  1. 水痘ワクチン
  2. 肺炎球菌ワクチン
  3. おたふくかぜワクチン
  4. 四種混合〈DPT-IPV〉ワクチン
  5. 麻しん風しん混合〈MR〉ワクチン
24
次の文を読み51~53の問いに答えよ。
 Aさん(22歳、初産婦、外国籍)。妊娠10週。夫(30歳、外国籍、会社員)と2人暮らし。1年前に夫の仕事のため来日した。母子健康手帳の受け取りのため、夫婦でB市の保健センターに来所した。
問 51
Aさんへの支援にあたっての情報収集で最も優先されるのはどれか。
  1. Aさんの母国の母子保健サービス
  2. Aさん夫婦の日本語能力
  3. 在留資格の有無
  4. 夫の仕事の状況
2
問 52
保健センターの助産師は、子育て世代包括支援センター業務ガイドラインの考え方を参考に、Aさんの支援プランを検討することとなった。Aさんは、母国ではなく日本で出産する予定である。
支援プランの検討で適切なのはどれか。
  1. 出産予定の病院の助産師と連携して作成する。
  2. 日本の産育習俗に基づき計画する。
  3. Aさんの意見は最後に確認する。
  4. 初回の評価は出産後に行う。
1
問 53
Aさんは妊娠34週に、産後の生活や育児の相談のため、夫と共に保健センターに来所した。助産師に、異国での初めての育児に不安があると話した。育児は夫婦2人で行うこと、産後のサポートが不足していることがわかった。
Aさんに説明する母子保健サービスで適切なのはどれか。2つ選べ。
  1. 新生児・褥婦訪問指導
  2. 乳幼児健康診査
  3. 一時預かり事業
  4. 産後ケア事業
  5. 入院助産
14
次の文を読み54、55の問いに答えよ。
 Aさん(39歳、初産婦)。身長154cm、体重60kg(非妊時50kg)。体外受精で妊娠し、妊娠経過は順調であった。妊娠40週3日、規則的な子宮収縮がありパートナーと一緒に午前11時に来院した。入院時の所見は、体温37.0℃、脈拍84/分、血圧110/74mmHg。頭位、第2胎向、児の推定体重2,760gであった。内診所見は子宮口開大2cm、展退度60%、Station-1であった。Aさんの入院後の陣痛間欠時間と陣痛持続時間は表のとおりである。
状況設定問題の画像
問 54
分娩開始と考えられる時刻はどれか。
  1. 午前11時
  2. 午後1時
  3. 午後3時
  4. 午後5時
  5. 午後7時
4
問 55
陣痛発来から11時間経過した。体温37.3℃、脈拍88/分、血圧118/76mmHg。陣痛間欠時間3分、陣痛持続時間50秒。胎児心拍数基線140bpm、胎児心拍数基線細変動中等度、胎動時に心拍が20bpm増加し30秒後基線に戻る波形があり、徐脈はない。内診所見は子宮口開大5cm、展退度80%、Station±0、恥骨後面1/2触知可、小泉門は11時方向に触れる。Aさんは「入院してから随分時間が経ちますが、まだお産にならないですか。赤ちゃんは大丈夫ですか」と不安気な表情で話す。
このときの助産診断で正しいのはどれか。
  1. 遷延分娩である。
  2. 第一胎向である。
  3. reassuring fetal statusである。
  4. 児頭の最大周囲径は骨盤濶部である。
3
1-30
31-55