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第103回保健師国家試験

午後問題
問 31
特殊災害に分類されるのはどれか。2つ選べ。
  1. 原子力発電所の事故による放射線の漏えい
  2. 石油タンカーの座礁による海水の汚染
  3. 列車の脱線による交通網の障害
  4. 大雨による河川の氾濫
  5. 地震による橋の崩落
12
問 32
国民健康・栄養調査で把握できるのはどれか。2つ選べ。
  1. 健康寿命
  2. BMIの平均値
  3. 蛋白質の必要量
  4. 喫煙習慣者の割合
  5. 支出に占める食料費の割合
24
問 33
平成25年(2013年)に「地域における保健師の保健活動に関する指針」が改正された背景について正しいのはどれか。2つ選べ。
  1. 健康日本21の策定
  2. 特定健康診査の導入
  3. 障害者の支援費制度の導入
  4. 地域包括支援センターの設置
  5. 感染症から生活習慣病への疾病構造の変化
24
問 34
因果関係を推測することができる研究デザインはどれか。2つ選べ。
  1. 横断研究
  2. 記述疫学
  3. 生態学的研究
  4. コホート研究
  5. 症例対照研究
45
問 35
心筋梗塞発症者100人と性・年齢をマッチングした心筋梗塞非発症者100人の5年前の健康診査の結果を調査し、糖尿病の有無を確認した。その結果、心筋梗塞発症者で20人、心筋梗塞非発症者で15人が糖尿病であった。
糖尿病であることの心筋梗塞発症に対するオッズ比を求めよ。
ただし、小数点以下第2位を四捨五入すること。

解答:.
00
11
22
33
44
55
66
77
88
99
14
次の文を読み36~38の問いに答えよ。
 Aさん(70歳、男性)。1人暮らし。近所に住む友人のBさん(60歳、男性)からAさんについて地域包括支援センターの保健師に相談があった。Aさんは3年間介護していた妻が半年前に亡くなってから痩せ、最近は外であまり見かけなくなったという。翌日、保健師が民生委員に状況確認の連絡をしたところ、Aさんの現在の状況を把握していなかった。保健師はAさんの状況を把握するため、来週Bさんと一緒に家庭訪問を行うことにした。
問 36
家庭訪問時に収集すべき情報として最も優先度が高いのはどれか。
  1. 既往歴
  2. 毎日の食事内容
  3. 友人との交流状況
  4. 直近の健康診査の結果
  5. 自治会活動への参加状況
2
問 37
保健師がBさんとともに家庭訪問したところ、Aさんは訪問に戸惑っていたが、玄関先で話をしてくれた。Aさんの服装に乱れはなかった。室内にはごみ袋がいくつか置いてあり、捨てられていないようであった。Aさんは、少しずつ自分のことを話し始め「妻が亡くなってから楽しいことはなく、外に出かけたくない」と言い、表情は暗かった。Bさんが何か手伝うことがないか尋ねるとAさんは「心配してくれてありがとう。でも今は1人でいたいです」と言った。保健師は3日後に1人で訪問することを伝え、この日は訪問を終了した。
保健師の次回の訪問計画で適切なのはどれか。
  1. 外出の重要性を説明する。
  2. ごみを片付けるよう促す。
  3. 精神科への受診を勧める。
  4. 妻との別れを一緒に振り返る。
  5. ホームヘルプサービスの利用を勧める。
4
問 38
保健師は2週に1回の家庭訪問を続け、Aさんとの信頼関係が構築されてきた。Aさんは家の中を少しずつ整理し、散歩にも出かけるようになった。保健師の初回訪問から3か月後、Aさんから「亡くなった妻のためにも、自分が少しでも長生きしなければと思うようになったが、何をしたらよいのか分からない。少しずつ外に出てみようと思うが、人付き合いにはあまり自信がない」と相談があった。
Aさんに勧めることとして最も適切なのはどれか。
  1. 地域包括支援センター主催の介護予防教室への参加
  2. 老人福祉センターでのサークル活動への参加
  3. 高齢者サロンのボランティアへの登録
  4. シルバー人材センターへの登録
1
次の文を読み39~41の問いに答えよ。
 Aさん(40歳、男性)。妻と2人暮らし。Aさんは3年前に転職し、従業員数30人のコンピュータ関連の事業所に勤務している。6か月前から軽い咳が続いていたが、メンバー数5人の新規プロジェクトチームの責任者として忙しく、そのままにしていた。妻に痩せてきたことを指摘され、自宅近くの診療所を受診したところ、胸部エックス線写真で異常陰影があり病院を紹介され受診した。喀痰塗抹菌検査陽性、結核菌PCR陽性となり、肺結核と診断され入院した。診断した医師から保健所に結核発生の届出があった。
問 39
保健所の保健師がAさんに初回面接で確認する内容で適切なのはどれか。2つ選べ。
  1. 出勤状況
  2. 転職前の職場
  3. 運動習慣の有無
  4. 結核に対する認識
  5. 特定健康診査の結果
14
問 40
接触者健康診断を実施したところ、妻が感染し、プロジェクトチームのうち1人が発病し、2人が感染していることが分かった。
保健所が次に行う対策として最も適切なのはどれか。
  1. 事業所の消毒
  2. 健康相談窓口の設置
  3. 接触者健康診断の拡大実施
  4. 地域の医師会への結核発生報告
3
問 41
保健所の保健師は、今回の事例を踏まえ、管内の事業所を対象に結核に関する正しい知識を啓発するためにリーフレットを作成することにした。
リーフレットに掲載する内容で適切なのはどれか。2つ選べ。
  1. 「従業員のBCG接種を推奨します」
  2. 「定期的に作業場の換気をしましょう」
  3. 「結核は治療をすれば3か月で治ります」
  4. 「健康診断は6か月ごとに受診しましょう」
  5. 「咳が2週間以上続くときは医療機関を受診しましょう」
25
次の文を読み42~44の問いに答えよ。
 Aちゃん(9歳、女児)。4か月前から母親と親しくなった男性との3人暮らしを始めている。Aちゃんは「新しいお父さんができた」と喜んでいたが、1か月前から忘れ物が多くなり、この1か月に4日欠席をしている。担任が連絡をしたところ、母親から「家庭内のことに関わらないで欲しい」と激しい口調の拒絶を受けた。保健室で休むことも多くなったため、養護教諭がAちゃんに確認したところ、母親と男性が出掛けて戻らない日が多く、Aちゃんは菓子パンなどを買って食べているとのことであった。
問 42
養護教諭や担任などが集まって対応を協議した。
対応を協議する根拠となったAちゃんの状況はどれか。
  1. 低栄養
  2. 不登校
  3. ネグレクト
  4. 引きこもり
3
問 43
3日後、専門機関によるAちゃんへの支援が開始された。その後のAちゃんの出欠状況や家庭環境の変化などについて、専門機関から学校に定期的な情報提供の依頼があった。
窓口となった養護教諭の対応として適切なのはどれか。
  1. 情報提供は保護者の同意がなければ行わない。
  2. Aちゃんから情報収集するよう伝える。
  3. 3か月に1回情報提供を行う。
  4. 情報提供は書面で行う。
4
問 44
養護教諭は、Aちゃんのような児童が他にもいるのではないかと考え、これまでの発育および欠席状況による確認に加え、新たな対策を立てることとした。
緊急に対応する必要性の高い児童を抽出するための方法で最も適切なのはどれか。
  1. 学校教職員を対象にした研修会の実施
  2. 忘れ物の多い児童の把握
  3. 担任による親子面談
  4. 児童への食生活調査
4
次の文を読み45~47の問いに答えよ。
 運動習慣の死亡率に対する影響の調査のために1万人を対象とした10年間のコホート研究を行った。本研究では、年齢、食習慣および経済状況など参加者の基礎的背景も併せて調査した。脱落者を除いた結果を表に示す。
状況設定問題の画像
問 45
運動習慣があることに対して、運動習慣がないことの疾患Aによる死亡に関する1万人対の寄与危険はどれか。
  1. 0.4
  2. 0.7
  3. 1.4
  4. 10
  5. 40
4
問 46
運動習慣と死亡との関連が最も強いのはどれか。
  1. 疾患A
  2. 疾患B
  3. 疾患C
  4. その他の疾患
2
問 47
参加者の基礎的背景を補正しても、「運動習慣あり」の方が死亡率は有意に低かった。しかし、この結果からは「運動すれば長生きできる」という結論を導くことはできない。
その理由はどれか。
  1. 介入研究ではない。
  2. 情報バイアスがある。
  3. 二重盲検がされていない。
  4. 平均余命で比較していない。
1
次の文を読み48、49の問いに答えよ。
 Aちゃん(生後5か月、女児)。父親(37歳)、母親(35歳)は病院の近くの市に2人で暮らしており、Aちゃんの祖父母は遠方に住んでいる。AちゃんはGCUに入院中である。
現病歴:在胎32週で羊水過多、胎児発育不全、心臓奇形および小脳低形成のため羊水の染色体検査を受け、18トリソミーと診断された。在胎週数37週0日、体重1,780gで出生し、NICUに入院した。食道閉鎖のため出生当日に胃瘻造設術を、気管軟化症のため生後3か月に気管切開術を受けた。気管切開下で24時間人工呼吸器管理、30分に1回程度の気管内吸引を実施している。
家族歴:特記すべきことはない。
身体所見:体重2,900g。体温37.0℃、脈拍130/分、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉94~96%。定頸していない。
問 48
両親ともにAちゃんの退院を心待ちにしている。2か月以内の自宅への退院を目指すため、病院から保健所に退院調整カンファレンスへの参加依頼があり、地区担当保健師は事前に自宅を訪問することとした。
このときの訪問で保健師が両親から収集する情報で適切なのはどれか。
  1. 今後の治療方針
  2. 療育手帳の申請の有無
  3. 今後の予防接種の計画
  4. 自宅の療養環境の準備
4
問 49
家庭訪問から1週後、両親、主治医、病棟看護師、理学療法士、退院調整看護師、社会福祉士、訪問看護師および地区担当保健師が出席して、初回の退院調整カンファレンスが行われた。両親は退院後の生活に不安はあるものの、Aちゃんの面倒は自分達がみるべきであると考え、できるだけ他者の手を借りずに育てたいと思っているということであった。今後の方針として、小児科の一般病棟に転棟し、在宅療養に向けた医療的ケアの手技や育児の練習を行い、その後に自宅への外泊訓練を実施することが決まった。次回のカンファレンスは、院内で在宅療養に向けたシミュレーションを行った後、医療的ケアの手技などの習得状況の評価と外泊訓練に向けた準備について話し合う予定である。
次回のカンファレンスに参加を依頼する機関として優先度が高いのはどれか。
  1. 医療型児童発達支援センター
  2. 訪問診療を実施している診療所
  3. 医療型短期入所を実施している療育施設
  4. 訪問リハビリテーションを実施している事業所
2
次の文を読み50、51の問いに答えよ。
 A県では50歳代の男性の自殺が増加傾向にあり、自殺予防対策の必要性が検討された。自殺者数が多いB市において、県と市が共催で自殺予防事業を実施することになった。
問 50
A県から事業実施の打診を受けたB市では、保健師を中心にプロジェクトチームを立ち上げることになった。
プロジェクトチームの参加機関として優先度が高いのはどれか。
  1. 精神保健福祉センター
  2. 労働基準監督署
  3. ハローワーク
  4. 県医師会
1
問 51
プロジェクトチームで検討した結果、地域における自殺予防の意識を高め、支援者を増やすため、ゲートキーパー養成の事業を実施することになった。まずは、市職員を対象に養成講座を実施し、民生委員やボランティアなどへ対象を段階的に広げてゲートキーパーを増やしていくこととした。講座の受講者からは「自殺予防の必要性を強く感じた」、「自殺予防のために自分にもできることがあることが分かった」などの意見が多く聞かれ、受講者数も増え続けたため、B市ではこの事業を継続することにした。
B市での事業の結果を受けて、A県で検討する内容として適切なのはどれか。
  1. 自死遺族の相談事業
  2. 他市町村への事業の展開
  3. ハイリスク者への家庭訪問
  4. 50歳代男性への質問紙調査
2
次の文を読み52、53の問いに答えよ。
 Aさん(45歳、女性、会社員)。夫と2人暮らし。Aさんが勤務する会社では保健師が職員の健康管理のために面接による相談事業を実施している。Aさんは定期健康診断を受診し、結果は身長160cm、体重55kg、BMI21、血圧118/70mmHg。トリグリセリド90mg/dL、HDLコレステロール70mg/dL、LDLコレステロール139mg/dL、HbA1c5.0%、AST〈GOT〉20IU/L、ALT〈GPT〉15IU/L、γ-GTP20IU/Lであった。既往歴に特記すべきことはなく、現在治療中の疾患はない。飲酒はビール350mL/日を週5日、喫煙はしていない。
問 52
健康診断の結果から控えるよう指導するのはどれか。
  1. 食物繊維
  2. 飽和脂肪酸
  3. アルコール
  4. 総エネルギー量
2
問 53
保健師はAさんの健康診断の結果を受け、行動変容に向けて面接を行った。Aさんは「管理的な立場で仕事をしているため、帰宅は遅く21時くらいになってしまいます。家事もあり毎日が忙しいので、体調を崩したら困るなと思ってはいますが、具合が悪いところもないので具体的には何もしていません」と話した。
行動変容のステージから判断してAさんへの保健師の対応で最も適切なのはどれか。
  1. 生活パターンの問題を指摘する。
  2. 健康診断の結果の理解度を確認する。
  3. 生活習慣の改善に向けた目標を一緒に立てる。
  4. 生活習慣の改善に向けて夫の協力を得るように伝える。
2
次の文を読み54の問いに答えよ。
 Aさん(39歳、女性、教員)。夫(40歳、会社員)と長男(7歳)との3人暮らし。Aさんは小学校で6年生の担任をしている。夫は仕事で土日も不在のことが多い。長男は放課後に学童保育に通っている。Aさんは2か月間月経がみられないため、自宅近くの産婦人科を受診したところ妊娠11週と診断され、妊娠届を提出するよう指導された。妊娠16週に妊娠届を提出するため保健センターに来所した。保健センターでは、妊娠届の提出に来所した妊婦全員に保健師による面接を実施している。保健師は現在の健康状態、妊娠経過および分娩予定施設についてAさんに確認した。
問 54
今後のAさんへの支援を計画するために最も優先して確認するのはどれか。
  1. つわりの有無
  2. 育児用品の準備状況
  3. 妊娠届が遅れた理由
  4. 子宮がん検診の受診歴
  5. 不妊治療の経験の有無
3
次の文を読み55の問いに答えよ。
 Aさん(66歳、女性)。夫(70歳)が早期の直腸癌と診断され、手術を受けた直後に死亡した。1か月後、Aさんは、医療安全支援センターの相談窓口が設置されている保健所に、電話で相談し「主治医から簡単な手術だと説明を受けて手術に同意したが、夫は手術後に亡くなった。納得できないので調査して欲しい」と訴えた。Aさんの希望で、保健所が病院に対して文書でAさんの夫の治療経過を照会したところ「Aさんの夫はまれに発生する術後合併症によって死亡した。術後合併症のことは、患者とAさんとに事前に説明していた。医療事故とは考えていない」と回答があった。
問 55
保健所の対応で適切なのはどれか。
  1. Aさんと病院とで話し合いの場が持てるように支援する。
  2. Aさんの夫の手術に関する診療録を病院に開示請求する。
  3. 医療行為と死亡との因果関係の有無を明らかにする。
  4. 病院に対し事故調査委員会を設置するよう指導する。
1
1-30
31-55