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第100回助産師国家試験

午後問題
問 31
卵胞期と比較して、排卵期の頸管粘液の変化で正しいのはどれか。2つ選べ。
  1. pHは酸性を呈す。
  2. 牽糸性は低下する。
  3. 粘稠度は低下する。
  4. 分泌量は減少する。
  5. 透明度が増加する。
35
問 32
正常に経過している妊婦の妊娠中期において、非妊娠時よりも血中の値が増加しているのはどれか。2つ選べ。
  1. 遊離サイロキシン〈FT4〉
  2. 黄体形成ホルモン〈LH〉
  3. インスリン
  4. 空腹時血糖
  5. 食後血糖
35
問 33
前方後頭位分娩における児頭の応形機能で正しいのはどれか。2つ選べ。
  1. 児頭の大斜径が延長する。
  2. 分娩所要時間は影響しない。
  3. 後頭骨は両頭頂骨の下に入る。
  4. 頭頂骨は前在側が後在側の下になる。
  5. 児頭の変形が回復するには生後10日を要する。
13
問 34
院内助産で体重3,500gの児を正常分娩した初産婦。分娩第3期までの出血量は550mL。胎盤娩出直後から出血が続き、5分間で出血量は100mLであった。脈拍90/分、血圧100/70mmHg。子宮底の高さは臍上2横指で軟らかく、弛緩出血と判断し子宮底の輪状マッサージを行い、医師に診察を依頼した。
この状況で助産師が行う対応で適切なのはどれか。2つ選べ。
  1. 血管確保
  2. 輸血の準備
  3. 子宮双手圧迫法
  4. 子宮収縮薬の局所投与
  5. 子宮・腟強圧タンポン挿入法
13
問 35
健やか親子21(第2次)の学童期・思春期から成人期に向けた保健対策の指標で正しいのはどれか。2つ選べ。
  1. 飲酒率
  2. 自殺死亡率
  3. うつ病の発症率
  4. 不慮の事故による死亡率
  5. 性感染症〈STD〉の罹患率
25
次の文を読み36~38の問いに答えよ。
 Aさん(19歳)。半年で7kgの体重増加があり、4か月間月経がなかったため、婦人科外来を受診した。「友人関係のストレスで甘いものばかり食べ過ぎてしまったと思う。最近、にきびが増えて気になる。体調はそんなに悪くはない」と言う。既往歴に特記すべきことはない。初経は12歳で月経周期は30日型であった。性交経験はない。身長157cm、体重70kg。脈拍74/分、血圧120/70mmHg。
問 36
診察の結果、乳房、陰毛の発育は正常。経腹超音波検査で、両側卵巣は軽度腫大しており、片側10個以上の小さい卵胞を認める。
Aさんの血中ホルモン値として予想されるのはどれか。2つ選べ。
  1. プロラクチン高値
  2. テストステロン高値
  3. 黄体形成ホルモン〈LH〉高値
  4. 卵胞刺激ホルモン〈FSH〉高値
  5. エストラジオールが測定感度以下の低値
23
問 37
体重の減量指導が開始された。Aさんは、現在は妊娠の希望はなく、避妊の必要もないという。無月経であることを心配しており、定期的に月経が来るような薬物治療を希望している。家族歴を聴取したところ、実父と叔父に血栓症の既往があり、叔父は外科手術後の肺塞栓症で死亡しているとのことであった。
最も適切な治療法はどれか。
  1. 黄体ホルモン薬の内服
  2. GnRHアゴニストの注射
  3. 抗テストステロン薬の内服
  4. 選択的エストロゲン受容体修飾薬の内服
  5. 低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬の内服
1
問 38
その後Aさんは22歳で結婚し、現在は妊娠を希望している。体重はこの3年間に少しずつ減少し55kgとなっているが、現在でも自然には月経が来ないという。高血圧症や糖尿病はみられない。
Aさんへの第一選択の治療法はどれか。
  1. 5kgの減量指導
  2. メトホルミンの内服
  3. ゴナドトロピンの注射
  4. Kaufmann〈カウフマン〉療法
  5. クロミフェンクエン酸塩の内服
5
次の文を読み39~41の問いに答えよ。
 A病院の産科病棟は院内助産を行っており、分娩が終了するまで家族も産婦と個室で過ごせるようにしている。院内助産で分娩し、退院7日後に母乳外来を訪れたBさんから、夫が麻疹と診断されたとの情報を得た。夫は退院日の2日前から咳および鼻汁の症状がみられ、退院日の夜から38.0℃の発熱があった。退院後2日目から発疹が出現した。Bさんの夫の来院状況は以下のとおりであった。
3月3日39週0日、陣痛発来による入院に夫が付き添う
4日分娩に夫が立ち会う
5日以降退院まで毎日来院
9日退院の迎えで来院
問 39
Bさんの夫が原因で他の人に感染する可能性があった期間で最も適切なのはどれか。
  1. 3月3日~3月9日
  2. 3月4日~3月9日
  3. 3月7日~3月9日
  4. 3月9日
3
問 40
3月16日、Bさんから情報を聞き、産科病棟での感染管理を行うため、麻疹症状のある者を確認したところ発症者はいなかった。患者およびスタッフの接触者のうち、予防接種歴が確認できなかった者は、現在も入院治療中の切迫早産の妊婦2人とスタッフ2人であった。
病棟内で感染を拡大させないための対応として適切なのはどれか。
  1. 切迫早産の妊婦2人に麻疹の予防接種を行う。
  2. 切迫早産の妊婦2人にγ-グロブリンを投与する。
  3. 予防接種歴が確認できなかった接触者の麻疹の抗体価を調べる。
  4. 予防接種歴が確認できなかったスタッフは直ちに出勤停止とする。
3
問 41
3月26日、産科病棟では新たな感染者は認められていない。
今後の感染予防対策として最も適切なのはどれか。
  1. 病棟内での家族の面会を中止する。
  2. 周産期の感染予防策の研修を定期的に行う。
  3. 産科病棟に入院する者の予防接種歴を確認する。
  4. 今後3週間、患者およびスタッフの症状の観察を行う。
2
次の文を読み42~44の問いに答えよ。
 Aさん(38歳、初産婦)。妊娠39週4日に規則的な陣痛を自覚して、かかりつけの産婦人科病院に来院し、14時に入院した。これまでの妊娠経過は順調であった。
既往歴:緑内障に対して点眼治療を継続中。
生活歴:妊娠前から喫煙、妊娠中3本/日。
家族歴:実母が高血圧症。
身体所見:身長155cm、入院時体重62kg(非妊時体重53kg)。体温36.7℃、血圧120/77mmHg。陣痛間欠4分、陣痛発作50秒、陣痛発作時は会話が困難な程度の痛みを感じている。胎児心拍数陣痛図は正常である。子宮口4cm開大、展退度50%、Station-1、未破水。
問 42
硬膜外麻酔による陣痛の痛緩和を予定していたため、硬膜外麻酔カテーテルが挿入され、局所麻酔薬の注入が開始された。麻酔開始1時間後、子宮収縮時にわずかな痛みを感じる程度の痛コントロールの状態となった。両下肢の運動に問題はないが軽度のしびれを感じていた。定期的に尿道カテーテル挿入による導尿が行われた。
Aさんの麻酔施行中の副作用(有害事象)に関係した観察項目で最も重要なのはどれか。
  1. 食事量
  2. 血圧
  3. 体温
  4. 浮腫
  5. 胎向
2
問 43
16時に自然破水した。18時の内診所見は子宮口6cm開大、展退度70%、Station+1で、破水後から所見の変化を認めていない。助産師は続発性微弱陣痛と判断して医師に報告し、子宮収縮薬の点滴静脈内注射を開始することとなった。
Aさんに投与する子宮収縮薬の種類を選択するために重要な情報はどれか。
  1. 喫煙状況
  2. 緑内障の合併
  3. 胎児推定体重
  4. 妊娠中の体重増加
  5. 実母の高血圧症の有無
2
問 44
子宮収縮薬の投与開始後に陣痛が増強して、20時に子宮口8cm開大、Station+2となった。23時に子宮口全開大、Station+4まで下降したが娩出には至っていない。胎児心拍数陣痛図では胎児心拍の異常はない。Aさんは陣痛発作時に子宮収縮の自覚はあるが硬膜外麻酔によって痛みは緩和されている。分娩までの時間がかかっていることについてAさんは心配している。
児の娩出までの時間を短縮する目的でAさんに提案する内容として正しいのはどれか。
  1. 子宮収縮に合わせた努責
  2. 麻酔量の増加
  3. 室内の歩行
  4. 飲水
  5. 浣腸
1
次の文を読み45~47の問いに答えよ。
 Aさん(37歳、初産婦)は、妊娠41週3日、予定日超過のため子宮収縮薬を使用しての分娩誘発が開始された。無痛分娩を希望し、硬膜外麻酔による痛緩和が開始された。分娩第1期15時間、分娩第2期5時間、分娩遷延のため会陰切開し、吸引分娩となった。児は体重3,280g、Apgar〈アプガー〉スコアは1分後7点、5分後9点であった。出血量は550mL、分娩第4期の経過は正常。バイタルサインは問題なく、硬膜外カテーテルを抜去し帰室した。
問 45
産褥1日。分娩後から尿意がなく、自然排尿できない状態が続いており、導尿で300~400mL/回を採取している。会陰の創部痛は鎮痛薬でコントロールしている。
この時点でのアセスメントで最も適切なのはどれか。
  1. 脱水状態による尿量減少
  2. 分娩第2期遷延による尿閉
  3. 硬膜外麻酔による膀胱筋の麻痺
  4. 創部痛による膀胱括約筋のけいれん
2
問 46
産褥3日に尿意が出現し自然排尿できるようになった。母児同室中であるが夜間は休息のため、新生児室に児を預けることがある。1日の直接授乳回数は、6、7回程度である。「おっぱいが張って痛い。赤ちゃんも泣いてばかりでどうしてよいか分からない」と疲労した様子で訴えた。体温37.4℃、子宮底の高さは臍下3横指、血性悪露中等量。乳房全体が緊満し乳輪部はむくんでいる。両乳頭に発赤があり、乳管の開口数は左右とも2、3本、分泌は乳汁がにじむ程度である。
Aさんの状態のアセスメントで考えられるのはどれか。
  1. 産褥熱
  2. 産褥精神病
  3. 乳房うっ積
  4. 化膿性乳腺炎
3
問 47
産褥5日の退院時、Aさんは「無痛分娩は産後の体が楽だと聞いていたが、疲れがとれません。まだ授乳に慣れてないので心配です」と不安そうな表情で話した。夫の育児休業は1週間の予定であるという。助産師は訴えをしばらく傾聴した。両乳房緊満袷、乳管の開口数は左右とも5、6本で射乳あり。日中の授乳は母乳のみで夜間は人工乳を補足している。
退院に向けての説明で最も適切なのはどれか。
  1. 「睡眠薬を処方してもらいましょう」
  2. 「母乳外来で授乳について相談しましょう」
  3. 「Aさんだけ先に退院して体を休めましょう」
  4. 「産後ケアを受けられる施設に入所しましょう」
2
次の文を読み48~50の問いに答えよ。
 Aさん(25歳、初妊婦)。夫と義父母の4人暮らし。市販の妊娠検査薬で陽性反応が出たため2週前に産科外来を受診したが、胎児心拍は確認できなかった。本日、再度受診し胎児心拍が確認され、妊娠7週であると判明した。最終月経は3月10日から5日間あった。
問 48
Naegele〈ネーゲレ〉概算法によるAさんの分娩予定日を求めよ。

解答:
0000
1111
222
333
44
55
66
77
88
99
1217
問 49
Aさんは「22時くらいには布団に入って寝ます。疲れが取れていないようで、いつも眠いです。朝は7時に起きます」と状況を訴えた。
Aさんの睡眠のアセスメントとして正しいのはどれか。
  1. レム睡眠が増加している。
  2. 睡眠時間が不足している。
  3. オキシトシンの影響である。
  4. プロラクチンの影響である。
4
問 50
妊娠28週の妊婦健康診査時、Aさんは「実家の近くの病院で分娩をする予定です。自宅から実家まで高速道路を使って3時間くらいかかります。夫の運転する車で里帰りするときに注意することがありますか」と助産師へ質問した。
助産師の説明で適切なのはどれか。
  1. 「車内では水分摂取を控えましょう」
  2. 「移動は妊娠37週以降にしましょう」
  3. 「ドライブインでは出歩かないようにしましょう」
  4. 「後部座席の場合はシートベルトをしなくてよいです」
  5. 「腰のシートベルトは恥骨上を通るように装着しましょう」
5
次の文を読み51、52の問いに答えよ。
 29歳の1回経産婦。妊娠41週0日、予定日超過で入院した。これまでの妊娠経過は母児ともに順調であった。
既往歴:前回は妊娠38週で体重3,280gの児を正常分娩した。
身体所見:身長160cm、体重65kg。体温36.5℃、脈拍72/分、整、血圧110/78mmHg。子宮口4cm開大、展退度80%以上、Station-1、子宮頸管の硬度は軟、子宮口の位置は前方、未破水。胎児推定体重は3,030gで形態異常はない。胎位は頭位、胎児心拍数は130bpm。陣痛発来はしていない。
検査所見:尿蛋白(-)、尿糖(-)。
問 51
オキシトシン点滴静脈内注射による分娩誘発を開始することとなった。
分娩誘発時の管理で適切なのはどれか。
  1. 投与開始前に頸管拡張を行う。
  2. 2日間連続での投与は行わない。
  3. 手動による滴下量の調整を行う。
  4. 投与開始後は分娩終了まで絶飲食とする。
  5. 開始時の投与速度は1~2ミリ単位/分とする。
5
問 52
妊娠41週1日、分娩誘発を行ったが、有効な陣痛は発来しなかった。41週2日の6時ころから自然に陣痛が発来した。10時、子宮口全開大、Station+3で自然破水した。14時、陣痛間欠3分、陣痛発作45秒。内診所見は、矢状縫合が横径に一致し、Station+4。体温36.6℃、脈拍88/分、整、血圧114/76mmHg。胎児心拍数陣痛図で、基線細変動は正常で、胎児心拍数150bpm、時折、軽度の変動一過性徐脈がみられる。
現在の状態で異常な所見はどれか。
  1. 陣痛間欠3分
  2. 陣痛発作45秒
  3. 変動一過性徐脈
  4. 胎児心拍数150bpm
  5. 矢状縫合が横径に一致
5
次の文を読み53、54の問いに答えよ。
 Aさん(38歳、1回経産婦)。現在、パートナーと8歳の子どもとの3人暮らし。33歳からIgA腎症のため大学病院の腎臓内科に通院中で、病状の進行による腎機能の悪化のため人工透析の導入が予定された。高血圧症に対して内服薬による治療が開始されたが、血圧のコントロールは不良である。
問 53
Aさんは、月経が遅れていたため、市販の妊娠検査薬で検査して陽性であり産婦人科を受診した。経腟超音波検査で子宮内に胎囊が確認され、胎児の頭殿長〈CRL〉は20mmであった。医師の診察の後、Aさんは助産師に「まさか妊娠するとは思っていませんでした。主治医から今の状態での妊娠継続は難しいと言われています。パートナーには秘密で中絶したいと思っています」と話した。
Aさんの話を傾聴した後の説明で適切なのはどれか。
  1. 「パートナーとよく話し合いましょう」
  2. 「人工妊娠中絶には、分娩誘発が必要です」
  3. 「高血圧症の治療を中止すれば妊娠継続が可能です」
  4. 「1週間以内に、中絶を行うかどうかの決断が必要です」
  5. 「人工妊娠中絶の同意書は、医療者の前で署名してください」
1
問 54
1週後、Aさんが再度来院し「主治医にもう一度相談しましたが、やはり妊娠継続は勧められないと言われました。私も覚悟はしたつもりですが、簡単には決められません」と話して、うつむいた。
Aさんの意思決定を支援する方法として適切なのはどれか。
  1. バズ・セッション
  2. ネゴシエーション
  3. ピアカウンセリング
  4. ブレインストーミング
  5. 治療的コミュニケーション
5
次の文を読み55の問いに答えよ。
 Aさん(65歳、女性)。3回経妊3回経産婦。3回の分娩は経腟分娩であった。52歳で閉経。腟炎のため婦人科に通院している。外来の助産師に「以前から尿は近いほうだった。1年くらい前からは夜間に2、3回トイレに起きるようになり、熟睡できない。最近では、日中も頻繁に尿意を感じるようになり、1~2時間ごとにトイレに行っているが少量しか尿が出ない。1か月後に友人と旅行することを楽しみにしていたが、旅行をあきらめようか迷っている」と相談した。咳をしたときや立ち上がったときの尿漏れはなく、長時間立っていても内臓が下がってくるような感じはない。Aさんは3か月前に子宮がん検診を受けており、特に問題はなかったという。
既往歴:60歳から高血圧症に対して降圧薬を内服している。
生活歴:3人の娘が独立してからは、夫と2人暮らし。喫煙歴はない。飲酒は週に1回缶ビール1本程度。
家族歴:実母が糖尿病。
身体所見:身長155cm、体重60kg。血圧130/80mmHg。
問 55
相談された助産師の対応で適切なのはどれか。2つ選べ。
  1. 家族以外の人とは一緒に旅行しないよう勧める。
  2. 医師に手術治療について相談するよう勧める。
  3. 医師に薬物治療について相談するよう勧める。
  4. 夜間の水分摂取は控えるよう勧める。
  5. 膀胱訓練を指導する。
35
1-30
31-55