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第101回助産師国家試験

午前問題
問 31
在胎28週、体重1,200gで出生した女児。日齢2から経管栄養を開始し、便の性状や回数に問題は認められなかった。日齢4に動脈管の再開通を認め、治療を行ったが動脈管は閉鎖しなかった。日齢7から腹部が膨満し、腹壁の皮膚色が淡いピンク色から青色に変化した。
考えられる疾患はどれか。
  1. Hirschsprung〈ヒルシュスプルング〉病
  2. 肥厚性幽門狭窄症
  3. 新生児壊死性腸炎
  4. 胃軸捻転症
  5. 胆道閉鎖症
3
問 32
Aさん(28歳)は、昨年夫を事故で亡くし、実父母と同居していたが、仕事を始めて3歳の子どもと2人で暮らすことになった。子どもは健康で、順調に成長している。
母子及び父子並びに寡婦福祉法に基づき、Aさんが受けられる支援で正しいのはどれか。
  1. 保育施設の利用に関する特別の配慮
  2. 特別児童扶養手当
  3. 乳幼児医療費助成
  4. 次世代育成支援
  5. 生活扶助
1
問 33
新生児の聴覚障害について正しいのはどれか。2つ選べ。
  1. 聴覚スクリーニングは出生後24時間以内に行う。
  2. 聴覚スクリーニングは全国で公費の助成を受けられる。
  3. 先天性聴覚障害の発生頻度は出生1,000人に5人である。
  4. 耳音響放射〈OAE〉は自動聴性脳幹反応〈AABR〉より偽陽性率が高い。
  5. 先天性聴覚障害の児の療育は生後6か月までに開始することが望ましい。
45
問 34
妊娠35週の頭位における正常所見はどれか。2つ選べ。
  1. 子宮頸管長が32mmである。
  2. 不規則な腹部緊満感の訴えがある。
  3. 胎児心拍数基線が165bpmである。
  4. 右臍棘線延長上で胎児心音が聴取できる。
  5. 子宮底の高さが臍上2~3横指の位置である。
12
問 35
正常分娩の介助技術について正しいのはどれか。2つ選べ。
  1. 児頭娩出時の会陰保護は産婦の肛門方向に押し下げる。
  2. 第3回旋では児頭娩出の速度を調整する。
  3. 第4回旋誘導時は産瘤のある側を産婦の尾骨方向へ回旋させる。
  4. 肩甲娩出前に臍帯巻絡の有無を確認する。
  5. 肩甲娩出後は骨盤誘導線と反対方向に躯幹を娩出させる。
24
問 36
特定妊婦について正しいのはどれか。2つ選べ。
  1. 高所得の妊婦は該当しない。
  2. 児童福祉法に定義されている。
  3. 児童養護施設が相談窓口となる。
  4. 妊婦健康診査の未受診者を含む。
  5. 周産期医療ネットワークに登録される。
24
問 37
Aちゃん(1か月、男児)。1か月児健康診査のときに、母親がAちゃんの嘔吐と母乳の分泌量不足を心配して相談した。Aちゃんは混合栄養で、哺乳回数は1日10回、直接授乳後に人工乳を1回40mL追加で哺乳している。哺乳後に1日2、3回、嘔吐を認める。体重増加は約45g/日。
初期対応として適切なのはどれか。2つ選べ。
  1. 小児科外来の受診を勧める。
  2. 人工乳を増やすよう指導する。
  3. 嘔吐物の性状を母親に尋ねる。
  4. 母乳の1回哺乳量を測定する。
  5. 授乳後の排気を中止するよう指導する。
34
問 38
在胎31週、体重1,700gで出生した児。呼吸障害がみられるため、閉鎖式保育器内で腹臥位にポジショニングした。
肢位の調整方法で正しいのはどれか。2つ選べ。
  1. 頸部の伸展
  2. 上肢の屈曲
  3. 骨盤の後傾
  4. 肩甲骨の挙上
  5. 股関節の外旋
23
問 39
在胎30週、体重1,500gで9月1日に出生した児。後遺症はなく、11月15日に体重2,300gで退院することとなった。自宅では保育所に通っている2歳の兄が両親とともに生活している。
退院前に行う感染予防対策で適切なのはどれか。2つ選べ。
  1. 抗菌薬の内服
  2. 肺炎球菌ワクチンの接種
  3. インフルエンザワクチンの接種
  4. 抗HBsヒト免疫グロブリンの投与
  5. 抗RSウイルスヒト化モノクローナル抗体の投与
25
問 40
出生届について正しいのはどれか。2つ選べ。
  1. 出生後15日以降に届け出る。
  2. 出生証明書とは別に届け出る。
  3. 母子保健法に規定されている。
  4. 24時間いつでも届け出ることができる。
  5. 嫡出子と非嫡出子との別を記入する欄がある。
45
次の文を読み41~43の問いに答えよ。
 Aさん(28歳、初妊婦、会社員)。自然妊娠し、妊娠7週で診療所を受診し、多胎妊娠と診断された。妊娠11週1日、大学病院の産婦人科を紹介され受診した。
問 41
このときの経腟超音波検査の写真(別冊No.1)を別に示す。胎囊の数は1、胎児の数は2であり、隔壁を認めた。
Aさんへの説明で正しいのはどれか。
問41の画像
  1. 「予防的な子宮頸管縫縮術が必要です」
  2. 「双胎間輸血症候群のリスクがあります」
  3. 「産前休業は妊娠34週から取得できます」
  4. 「卵巣過剰刺激症候群のリスクがあります」
2
問 42
Aさんは初診後、大学病院で妊婦健康診査を受けており、妊娠経過は順調であった。胎盤の位置異常はなかった。妊娠33週2日、トイレで子宮収縮の自覚とともに少量の出血と液体の流出感があり、来院した。卵膜は保たれているが、破水検査は陽性であった。診察時には両児の羊水量に差はなく、どちらの児の卵膜が破綻したか不明であった。子宮口1cm開大、子宮頸管長は26mmであった。先進児は頭位で推定体重2,000g、後続児は骨盤位で推定体重1,500gであった。抗菌薬の点滴静脈内注射が開始された。このときの胎児心拍数陣痛図(別冊No.2)を別に示す。
Aさんに行われると予想される治療はどれか。
問42の画像
  1. 人工羊水の子宮腔内注入
  2. 後続児に対する胎児外回転術
  3. 子宮収縮抑制薬の点滴静脈内注射
  4. 胎児鏡下胎盤吻合血管レーザー凝固術
3
問 43
入院時の腟分泌物の細菌培養検査の結果、B群溶血性レンサ球菌〈GBS〉が検出された。入院後も羊水流出は続いていた。妊娠34週4日、Aさんに38.2℃の発熱と子宮に軽度の圧痛を認め、子宮口は1cm開大、子宮口から少量の混濁した羊水の流出がみられた。出血傾向はない。脈拍102/分、血圧132/86mmHg。血液検査データは、白血球16,500/µL、Hb10.5g/dL、血小板40万/µL、CRP4.2mg/dLであった。緊急帝王切開術による分娩の方針となった。
Aさんへの説明内容で適切なのはどれか。2つ選べ。
  1. 絨毛膜羊膜炎となっている。
  2. 古典的帝王切開術となる。
  3. 子宮体部は摘出となる。
  4. 産科DICの状態である。
  5. 児はNICUでの管理が必要となる。
15
次の文を読み44~46の問いに答えよ。
 Aさん(22歳、1回経産婦)。妊娠初期のスクリーニング検査で甲状腺機能の異常を指摘されたため、妊娠12週で大学病院の産科に紹介された。前回の妊娠中はほとんどつわりを感じなかったが、今回は妊娠9週ころからつわり症状が強く、毎日夕方になると数回嘔吐している。水分は何とか摂れているという。既往歴、生活歴および家族歴に特記すべきことはない。身長160cm、体重50kg(非妊時体重52kg)。脈拍90/分、血圧120/70mmHg。初診時、経腹超音波検査にて児の発育は週数相当で、羊水は中等量、胎児異常を認めない。甲状腺刺激ホルモン〈TSH〉0.01µIU/mL(成人女性基準値0.39~3.98µIU/mL)、遊離サイロキシン〈FT4〉3.84ng/dL(成人女性基準値1.00~1.70ng/dL)。抗TSH受容体抗体〈TRAb〉陽性。尿ケトン体+。
問 44
Aさんに関する判断で正しいのはどれか。
  1. 甲状腺クリーゼの状態である。
  2. 一過性甲状腺機能亢進症である。
  3. 体重減少が重度になるおそれがある。
  4. 甲状腺シンチグラフィを勧める必要がある。
  5. ヨウ素を多く含む食品の摂取を勧める必要がある。
3
問 45
Aさんは甲状腺疾患の専門医を受診し、プロピルチオウラシルとヨウ化カリウムの内服を開始した。つわりは妊娠17週ころから軽快した。その後は特に異常なく経過していたが、妊娠28週3日、周期的な腹部の張りを自覚し来院した。来院時、体温36.2℃、呼吸数16/分、脈拍80/分、血圧122/78mmHgであった。経腟超音波検査の写真(別冊No.3 ①)および胎児心拍数陣痛図(別冊No.3 ②)を別に示す。
Aさんに行われると予想される治療はどれか。
問45の画像
  1. マグネシウム硫酸塩の点滴静脈内注射
  2. リトドリン塩酸塩の点滴静脈内注射
  3. 抗甲状腺薬の中止
  4. 子宮頸管縫縮術
1
問 46
妊娠37週1日。Aさんは体重2,550gの女児を経腟分娩した。児は出生直後から泣あり、Apgar〈アプガー〉スコアは1分後7点、5分後9点。臍帯血を用いた検査所見は甲状腺刺激ホルモン〈TSH〉1.33µIU/mL、遊離サイロキシン〈FT4〉1.48ng/dLであった。児の出生12時間後のバイタルサインは、呼吸数55/分、心拍数140/分である。
この児についての判断で適切なのはどれか。
  1. 頻脈がみられる。
  2. 呼吸数の異常がある。
  3. 人工乳による哺育とする必要がある。
  4. 数日空けて甲状腺機能を再検査する必要がある。
4
次の文を読み47~49の問いに答えよ。
 Aさん(32歳、初産婦)。妊娠35週0日、破水と陣痛発来で来院した。羊水混濁や胎児心拍の異常は認めず、来院後5時間で、経腟分娩となった。児は出生時、筋緊張の低下を認め自発呼吸がなかった。体位を整えて口鼻腔内吸引を行い、身体の羊水を拭き取った後、皮膚刺激を行った。約1分間皮膚刺激を行っても自発呼吸が認められず、心拍数は6秒間に4回であったため、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉モニターを装着し、生後2分からroom airで人工呼吸を開始した。約30秒間人工呼吸を行ったところ、啼泣を始め、心拍数130/分、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉80%であった。人工呼吸を中止したところ努力呼吸は認めなかったため、生後10分まで観察を継続した後に蘇生を終了し、病棟で呼吸状態を観察することとした。
問 47
新生児蘇生法ガイドライン2015に基づいてスタッフ間でデブリーフィング〈振り返り〉を行った。
アセスメントとして適切なのはどれか。
  1. 蘇生方法は適切であった。
  2. 皮膚刺激をより確実に行うべきであった。
  3. 人工呼吸をより早く開始すべきであった。
  4. 人工呼吸中止時に酸素投与を開始すべきであった。
  5. 人工呼吸と同時に胸骨圧迫を開始すべきであった。
3
問 48
児の出生体重は2,350g。病棟で保育器に収容し、room airで呼吸状態を観察していた。出生30分後のバイタルサインは、呼吸数100/分、心拍数150/分、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉98%で、陥没呼吸および呻吟が認められた。胸部エックス線写真(別冊No.4)を別に示す。
次に行う治療で適切なのはどれか。
問48の画像
  1. 胸腔穿刺
  2. 胸骨圧迫
  3. 経鼻的CPAP療法
  4. キサンチン系薬の静脈内注射
  5. 肺サーファクタント補充療法
3
問 49
日齢3。呼吸数50/分、全身状態は良好である。聴診で、胸骨左縁第2肋間を最強点とする連続性の心雑音を聴取した。心エコー検査で主肺動脈内に逆行性の血流を認め、動脈管開存症と診断された。
今後、児の急性心不全を早期に発見するために注意すべき徴候はどれか。2つ選べ。
  1. 尿量の減少
  2. 呼吸数の低下
  3. 心拍数の低下
  4. 哺乳量の減少
  5. 心尖拍動の消失
14
次の文を読み50、51の問いに答えよ。
 Aさん(41歳、初産婦、会社員)。夫(45歳)、会社員と2人暮らし。妊娠39週で体重3,180gの男児を吸引分娩で出産した。会陰切開部の痛みが強いため、産褥3日まで鎮痛薬を内服し日中のみ母児同室をしていた。「母乳で育てたいが、傷が痛くて授乳をするのがつらい」と話す。夫の両親は既に死亡し、Aさんの実母は実父の介護のため多忙で、退院後の育児のサポートは得られない状況である。
問 50
Aさんが住む市は産後ケア事業を実施しており、出産した病院の助産師は宿泊型の産後ケア事業の利用をAさんに勧めた。
利用に関する説明で正しいのはどれか。
  1. 「利用日数は最大5日間です」
  2. 「申請窓口は都道府県保健所です」
  3. 「初産婦の方のみが利用できます」
  4. 「出産した病院の退院後から利用できます」
  5. 「利用には医師の診断書の提出が必要です」
4
問 51
Aさんは市内の助産所で産後ケアを受けた。夫はAさんの退所に合わせて1週間の休みを取ることとなった。退所前日、Aさんは「夫が仕事に戻れば日中は人で育児をしなければならず、授乳について相談できる人もいないので不安です」と訴えた。助産所の助産師はAさんに、困ったことがあれば連絡するように伝えた。
退所後の早期の支援についての提案で最も適切なのはどれか。
  1. 「保健センターの新生児訪問を受けましょう」
  2. 「インターネットから情報を得ましょう」
  3. 「地域の育児サークルに参加しましょう」
  4. 「育児講演会に参加しましょう」
1
次の文を読み52、53の問いに答えよ。
 Aさん(33歳、1回経産婦)は、妊娠39週3日に陣痛が発来したため午前5時に総合病院の産婦人科病棟に入院した。その後、順調な経過で分娩室に入室した。午前8時10分に震度6弱の地震が発生した。一時的に分娩室の照明が消えたが、非常用電源が作動して再度照明が点灯した。この時点で、病棟内には助産師5名と医師1名が勤務していた。分娩室で付き添っていたB助産師が分娩進行を確認したところ、子宮口全開大、Station+2まで進行していた。Aさんは不安な様子であったが、3分ごとに強い陣痛を感じていきみを抑えきれない状態であった。B助産師は、病棟内のリーダーから、分娩室でAさんに継続的に付き添うように指示を受けた。
問 52
B助産師の対応で正しいのはどれか。
  1. インファントラジアントウォーマーを分娩台の近くに寄せる。
  2. Aさんをストレッチャーに移動する。
  3. 分娩室の入口の扉を開放する。
  4. 分娩台の固定を解除する。
  5. 分娩室の照明を消す。
3
問 53
午前8時50分、Aさんは正常分娩で出産した。児はよく啼泣し皮膚色は良好で、Aさんと児はB助産師とともに分娩室で待機していた。初回の強い揺れのあと2回の弱い揺れが発生した。午前11時にB助産師は上階で火災が発生したとの連絡を受け、Aさんと児を分娩室から避難させることになった。Aさんは軽度の後陣痛を感じているが、意識清明で自立歩行が可能である。分娩室は6階建ての病院の3階に位置している。
B助産師の避難時の対応で正しいのはどれか。
  1. 屋上を目指して避難する。
  2. 児を保温できる物品を携行する。
  3. 児をAさんより先に避難させる。
  4. 避難のためにエレベーターを確保する。
2
次の文を読み54の問いに答えよ。
 Aさん(28歳、初産婦)。産婦人科病院にて妊婦健康診査を受けていた。合併症はなく、妊娠経過および胎児の発育は順調であった。妊娠32週以降、胎位は骨盤位であった。経腟分娩と帝王切開術のそれぞれに関する胎児および母体のリスクについて主治医からの説明を受けて、Aさんと夫は帝王切開術を選択し、文書による同意をした。妊娠38週5日、脊髄くも膜下麻酔にて帝王切開術が実施された。体重3,210gの男児を出産し、術中出血量は羊水を含め800mLで、手術経過は順調であった。手術後8時間までAさんの全身状態に異常を認めていなかった。手術翌日の朝7時、助産師がAさんの病室を訪れたところ、心肺停止の状態であった。助産師からの連絡で主治医が駆けつけ蘇生が開始されたが反応せず、Aさんの死亡が確認された。Aさんの死亡原因は特定できていない。死亡の連絡を受けたAさんの夫が病院に到着した。当初、夫は混乱した様子であったが主治医と助産師からの状況の説明後に少し落ち着きを取り戻した。
問 54
この時点で、夫に対して伝える内容として適切なのはどれか。
  1. 「Aさんの司法解剖が必要です」
  2. 「産科医療補償制度の対象になります」
  3. 「帝王切開術の合併症による死亡ではありません」
  4. 「医療事故調査の実施について病院内で検討を行います」
4
次の文を読み55の問いに答えよ。
 Aさん(17歳、高校生)。無月経を主訴に、母親とともに病院を受診した。妊娠反応は陰性で、思春期やせ症による無月経と診断された。その後、定期的に病院を受診し、月経は再開した。2回目の受診時からは、交際中の男性がついてくるようになった。ある日、Aさんは1人で受診し、相談室で助産師に話し始めた。Aさんは「友達の紹介で、3か月前から彼と付き合い始めた。彼はとてもいい人。でも、最近私が待ち合わせに少し遅れると、イライラして腕を引っ張ったり、大声で怒鳴ったりするようになった。昨日は殴られそうになった。その後はいつもの優しい彼に戻って、二度としないと謝ったから許した。彼を怒らせる私も悪いと思う。でも、ちょっと怖かった」と話した。
問 55
Aさんと交際中の男性との関係を説明する理論で適切なのはどれか。
  1. 適応理論
  2. ストレス対処理論
  3. 暴力のサイクル理論
  4. 愛着〈アタッチメント〉理論
3
1-30
31-55