第96回助産師国家試験
午後問題
問 31
助産所業務ガイドラインで、嘱託医療機関に緊急に搬送すべき新生児の症状とされているのはどれか。2つ選べ。
- 直腸温38.1℃
- 出生時体重2,400g
- 生後12時間排便がない。
- 生後18時間に黄疸を認める。
- 他症状のない生後6時間の心雑音
14
問 32
第1前方後頭位の分娩経過でStation+3のときの所見について正しいのはどれか。2つ選べ。
- 矢状縫合は左斜径に一致する。
- 小泉門は10時方向に触れる。
- 恥骨結合後面3分の2を触知する。
- 児頭の最大周囲径は骨盤峡部にある。
- Hodge〈ホッジ」骨盤平行平面区分法では第4平行平面である。
45
問 33
2010年版の「日本人の食事摂取基準」で授乳婦に付加量が設定されている栄養素はどれか。2つ選べ。
- カルシウム
- ビタミンA
- ビタミンK
- 食物繊維
- 鉄
25
問 34
子宮筋腫合併妊婦。妊娠34週で、子宮底部の筋層内筋腫は直径8cmであり、胎盤付着位置は筋腫の直上である。
特に注意すべき産科合併症はどれか。2つ選べ。
特に注意すべき産科合併症はどれか。2つ選べ。
- 常位胎盤早期剝離
- 児頭骨盤不均衡
- 分娩後出血
- 過強陣痛
- 頸管裂傷
13
問 35
セルフヘルプグループ活動はどれか。2つ選べ。
- 死産を経験した母親の会
- 助産所が主催する両親学級
- 21トリソミーの児をもつ親の会
- 高齢初産婦を対象とした出産準備教室
- 助産師によるベビーマッサージの講習会
13
次の文を読み36~38の問いに答えよ。
14歳の女性。月経周期は28日型であったが、2か月間月経がなかったため、母親に付き添われ思春期外来を受診した。初経は10歳。身長157cm、体重45kg。脈拍64/分、血圧110/70mmHg。全身所見に異常はなかった。
14歳の女性。月経周期は28日型であったが、2か月間月経がなかったため、母親に付き添われ思春期外来を受診した。初経は10歳。身長157cm、体重45kg。脈拍64/分、血圧110/70mmHg。全身所見に異常はなかった。
問 36
母親は「娘は、朝は牛乳だけ、夕食もほとんど残している。給食は少し食べているようだが、痩せてきていて心配です」と話す。本人は「自分は太っていてかわいくない。友達から好かれるために、もっと痩せなくてはいけないから今以上は食べたくありません」と話す。
この時点で思春期やせ症の診断基準を満たすのはどれか。
この時点で思春期やせ症の診断基準を満たすのはどれか。
- 脈拍数
- 肥満度
- 月経周期
- 本人の自身に対する身体像
4
問 37
診察の結果、乳房、陰毛の発育は良好。妊娠反応は陰性。既往歴に特記すべきことはない。血液検査は、FSH6.0mIU/mL、LH3.0mIU/mLであった。エストロゲンとプロゲスチン(黄体ホルモン製剤)を投与した後に消退出血が認められた。
最も疑われるのはどれか。
最も疑われるのはどれか。
- 視床下部性無月経
- 下垂体性無月経
- 卵巣性無月経
- 子宮性無月経
1
問 38
初診から1か月が経過した。無月経の治療と、専門カウンセラーによるカウンセリングを受けている。初診時は、食べることを強く拒否していたが、最近は食べることを受け入れるようになってきた。初診時より体重が2kg減少した。
食事に関する対応で適切なのはどれか。
食事に関する対応で適切なのはどれか。
- 食事の代わりに経腸栄養剤を摂取する。
- 食事の量は、残さず摂取できる量から段階的に増量する。
- 毎日の生活に運動を取り入れ、空腹になるようにする。
- 治療により月経が開始した後に、食生活の改善をはかる。
2
次の文を読み39~41の問いに答えよ。
29歳の経産婦。妊娠37週0日。不規則な子宮収縮を主訴に午後10時に来院した。妊娠経過は良好であった。身長165cm、体重55kg。推定児体重3,400g。胎児心拍数陣痛図では陣痛間欠8分、発作40秒。胎児心拍基線140bpm、胎児心拍細変動は良好で、一過性頻脈があり、一過性徐脈は出現していない。血性分泌物はない。
29歳の経産婦。妊娠37週0日。不規則な子宮収縮を主訴に午後10時に来院した。妊娠経過は良好であった。身長165cm、体重55kg。推定児体重3,400g。胎児心拍数陣痛図では陣痛間欠8分、発作40秒。胎児心拍基線140bpm、胎児心拍細変動は良好で、一過性頻脈があり、一過性徐脈は出現していない。血性分泌物はない。
問 39
胎児心音の最良聴取部位は、母体の左側、臍棘線上中央であった。内診所見は、子宮口5cm開大、展退度50%、Station-1。陣痛開始しており入院となった。矢状縫合は横径に一致し、大泉門は左側、小泉門は右側に触知できた。
胎児の胎位胎向で正しいのはどれか。
胎児の胎位胎向で正しいのはどれか。
- 第1後頭位
- 第1前頭位
- 第2後頭位
- 第2前頭位
2
問 40
陣痛開始から6時間が経過した。陣痛間欠7分、発作30秒。胎児心拍基線細変動25bpm。陣痛発作時に少し苦悶様の表情がみられたため内診を実施したところ、子宮口6cm開大、展退度60%、Station-1。矢状縫合は右斜径に一致し、小泉門が2時方向に触れた。発作時、胎胞を触知する。血性分泌物少量。
この所見から考えられる状態はどれか。
この所見から考えられる状態はどれか。
- 微弱陣痛
- 回旋異常
- 早期破水
- 胎児機能不全
1
問 41
休息と活動を組み入れながら観察し、陣痛開始から16時間が経過した。陣痛間欠6分、発作40秒。内診所見は、子宮口8cm開大、展退度80%、Station+1。胎児心拍数陣痛図では胎児心拍基線140bpm、基線細変動6~25bpm、最下点90bpm、回復まで40秒の変動一過性徐脈が2回みられた。入院してからあまり眠れていないという。
対応で適切なのはどれか。
対応で適切なのはどれか。
- 経過観察する。
- 院内の階段昇降を促す。
- 医師と子宮収縮薬の使用について相談する。
- 帝王切開の準備をする。
3
次の文を読み42~44の問いに答えよ。
32歳の女性。身長160cm、体重70kg。月経周期が不規則であったが、市販の妊娠検査薬が陽性であったため来院した。血圧134/80mmHg。尿蛋白(-)、尿糖(-)であった。
32歳の女性。身長160cm、体重70kg。月経周期が不規則であったが、市販の妊娠検査薬が陽性であったため来院した。血圧134/80mmHg。尿蛋白(-)、尿糖(-)であった。
問 42
最終月経から算出した妊娠週数は8週0日である。超音波検査では、子宮内に胎囊〈GS〉は確認されたが、胎芽は認められなかった。
この時点の対応で適切なのはどれか。
この時点の対応で適切なのはどれか。
- 入院
- 自宅安静
- 1週後に再診
- 4週後に妊婦健康診査
3
問 43
妊娠12週。早朝の悪心と軽度の怠感がある。体重72kg。血圧132/80
mmHg。尿蛋白(-)、尿糖(-)、尿ケトン体(-)。胎児の発育は良好である。
保健指導で最も適切なのはどれか。
mmHg。尿蛋白(-)、尿糖(-)、尿ケトン体(-)。胎児の発育は良好である。
保健指導で最も適切なのはどれか。
- 「散歩をしましょう」
- 「1日2食にしましょう」
- 「果物は好きなだけ食べましょう」
- 「マタニティスイミングを始めましょう」
1
問 44
その後、妊娠経過は順調であったが、妊娠 22週の妊婦健康診査で、血圧160/95mmHg。尿蛋白+。軽度の頭重感が出現した。
病型分類で正しいのはどれか。
病型分類で正しいのはどれか。
- 本態性高血圧
- 妊娠高血圧
- 妊娠高血圧腎症
- 加重型妊娠高血圧腎症
3
次の文を読み45~47の問いに答えよ。
21歳の初産婦。妊娠経過は順調であった。妊娠40週5日に3,600gの児を正常分娩で出産した。分娩所要時間第1期20時間、第2期3時間、総出血量400mLであった。会陰切開縫合術を受けた。帰室後、食事を全量摂取し、初回授乳を行った。乳房の形はⅢ型であり、短乳頭であった。
21歳の初産婦。妊娠経過は順調であった。妊娠40週5日に3,600gの児を正常分娩で出産した。分娩所要時間第1期20時間、第2期3時間、総出血量400mLであった。会陰切開縫合術を受けた。帰室後、食事を全量摂取し、初回授乳を行った。乳房の形はⅢ型であり、短乳頭であった。
問 45
分娩後5時間、褥婦は尿意を感じ、トイレに歩行したが尿は出なかった。子宮底の高さは臍下2横指、子宮は硬く流血はない。会陰切開縫合部の腫脹と発赤はない。触診で膀胱充満がみられた。
褥婦のアセスメントで適切なのはどれか。
褥婦のアセスメントで適切なのはどれか。
- 一過性の尿道括約筋の攣縮をきたしている。
- 膀胱の筋緊張が上昇している。
- 膀胱の炎症が起きている。
- 脱水を起こしている。
1
問 46
産褥1日、褥婦は「縫ったところが痛くて、授乳するのがつらいです」と訴えた。会陰縫合部の出血、腫脹および発赤はない。
褥婦の会陰部痛を軽減するためのケアとして有効なのはどれか。2つ選べ。
褥婦の会陰部痛を軽減するためのケアとして有効なのはどれか。2つ選べ。
- 会陰部のマッサージ
- 縫合部の冷湿布
- 縫合部の消毒
- 縫合部の圧迫
- 円座の使用
25
問 47
退院後2週、褥婦は夫に付き添われて母乳外来を訪れた。「昨夜からおっぱいが痛かったです。今日の昼食後、急に寒気がして熱を測ったら 38.0℃で、驚いたのですぐに来ました」と震えながら話した。
最も優先度の高い観察項目はどれか。
最も優先度の高い観察項目はどれか。
- 血乳の有無
- 副乳の有無
- 乳頭亀裂の有無
- 乳房の硬結の有無
- 乳房の大きさの左右差
4
次の文を読み48~50の問いに答えよ。
在胎38週3日、吸引分娩で出生した児。分娩中の経過は良好で、排臨後、胎児心拍数が70bpmに低下し、2分後に出生した。羊水混濁が軽度あり、児の啼泣は弱く、筋緊張低下を認める。身長49.5cm、体重3,200g。
在胎38週3日、吸引分娩で出生した児。分娩中の経過は良好で、排臨後、胎児心拍数が70bpmに低下し、2分後に出生した。羊水混濁が軽度あり、児の啼泣は弱く、筋緊張低下を認める。身長49.5cm、体重3,200g。
問 48
出生直後の児への処置として正しいのはどれか。2つ選べ。
- 胸骨圧迫を開始する。
- 気管吸引を繰り返す。
- 乾いたタオルでよく拭く。
- 児の背部を優しく刺激する。
- バッグ・マスク換気を開始する。
34
問 49
生後3日。体重2,900g、頭囲32.5cm。体温36.7℃、呼吸数52/分、心拍数114/分、整。大泉門1.4cm×1.5cm、膨隆はなし。先進部の頭頂に浮腫状の腫脹を認める。頰を触った指の方向に口を向ける。便は黄色調で血清総ビリルビン14.0mg/dLである。
この児のアセスメントで正しいのはどれか。つ選べ。
この児のアセスメントで正しいのはどれか。つ選べ。
- 頭血腫がある。
- 多呼吸である。
- 高ビリルビン血症である。
- 生理的範囲の大泉門である。
- 探索〈ルーティング〉反射がある。
45
問 50
生後5日。体重2,890gで体重減少が続いている。母乳のみを哺乳している。
哺乳量不足を疑う情報として重要なのはどれか。
哺乳量不足を疑う情報として重要なのはどれか。
- 体温が37.3℃である。
- 下肢に落屑がみられる。
- 授乳間隔が2時間ごとである。
- 過去24時間の排尿回数が4回である。
- 血清総ビリルビン値15.0mg/dLである。
4
次の文を読み51、52の問いに答えよ。
29歳の経産婦。12月1日に、妊娠41週2日で、予定日超過の管理目的で入院した。4歳の第1子が4日前にインフルエンザに罹患して保育所を休んでいる。家族内の誰もインフルエンザワクチンを接種していなかった。
29歳の経産婦。12月1日に、妊娠41週2日で、予定日超過の管理目的で入院した。4歳の第1子が4日前にインフルエンザに罹患して保育所を休んでいる。家族内の誰もインフルエンザワクチンを接種していなかった。
問 51
12月2日、夫は分娩の立会いを希望しているが、この日の朝から 38.0℃の発熱と関節痛がある。
夫の分娩の立会いに関する対応で適切なのはどれか。
夫の分娩の立会いに関する対応で適切なのはどれか。
- 夫の立会いは許可しない。
- 隔離した分娩室での出産とし、立会いを許可する。
- 夫にマスクとガウン着用の上で立会いを許可する。
- 妊婦にインフルエンザワクチンを接種し、立会いを許可する。
- 夫が抗インフルエンザウイルス剤を内服した上で立会いを許可する。
1
問 52
12月3日に正常分娩をした。褥婦は分娩の8時間前から悪寒を訴えており、分娩時には38.5℃の発熱があった。迅速診断でインフルエンザと診断されたため、抗インフルエンザウイルス剤の内服を開始した。分娩後2時間、母親は初回歩行できており、体温は38.0℃、咳はなく怠感も強くない。母乳哺育を希望している。児の体温37.0℃、脈拍125/分、呼吸数45/分。活発に四肢を動かしている。
感染対策上、最も適切なのはどれか。
感染対策上、最も適切なのはどれか。
- 感染症病棟で母子同室
- 産科病棟の個室で母子同室
- 産科病棟の大部屋で母子同室
- 児をNICU入院とした母子異室
- 児を新生児室管理とした母子異室
2
次の文を読み53~55の問いに答えよ。
32歳の経産婦。妊娠41週2日に分娩誘発のために診療所に入院した。妊娠中期まで喫煙3本/日。入院時ビショップスコア8点。翌朝、オキシトシン点滴静脈内注射2ミリ単位/分から誘発分娩が開始となった。午後3時、授乳室にいた助産師は、胎児心拍モニター音で児心拍数が急激に70bpm台に低下したことに気づき、陣痛室に行き内診した。自然破水しており、子宮口7cm開大、臍帯脱出を認めた。
診療所は6床。この日の診療所の医療従事者の勤務体制は、外来に産婦人科医2名、看護師2名、病棟に助産師1名、看護師1名が勤務していた。
32歳の経産婦。妊娠41週2日に分娩誘発のために診療所に入院した。妊娠中期まで喫煙3本/日。入院時ビショップスコア8点。翌朝、オキシトシン点滴静脈内注射2ミリ単位/分から誘発分娩が開始となった。午後3時、授乳室にいた助産師は、胎児心拍モニター音で児心拍数が急激に70bpm台に低下したことに気づき、陣痛室に行き内診した。自然破水しており、子宮口7cm開大、臍帯脱出を認めた。
診療所は6床。この日の診療所の医療従事者の勤務体制は、外来に産婦人科医2名、看護師2名、病棟に助産師1名、看護師1名が勤務していた。
問 53
この時点の対応として最も適切なのはどれか。
- 臍帯の還納を試みる。
- 外来の医師に電話をかけに行く。
- 内診指で児頭を持ち上げながら人を呼ぶ。
- 新生児搬送のために近隣の医療機関に連絡する。
3
問 54
このような分娩のために診療所に準備しておくべきもので、最も適切なのはどれか。
- 血糖測定器
- 心電図モニター
- 新生児用バッグ・マスク
- 人工肺サーファクタント
3
問 55
今回の事例から医療安全対策として検討する内容で最も適切なのはどれか。
- 看護職員の勤務配置
- 子宮収縮薬の開始時投与量
- 予定日超過妊婦の分娩方針
- 喫煙している妊婦に対する保健指導
1
1-30
31-55