第108回保健師国家試験
午前問題
問 1
平成25年(2013年)に改正された「地域における保健師の保健活動に関する指針」に示された市町村に所属する保健師の活動はどれか。
- 医療施設等に対する指導
- 防災計画の策定への参画
- 健康危機管理の体制づくり
- 広域的、専門的な保健サービスの提供
2
問 2
平成30年度(2018年度)の保健師活動領域調査で正しいのはどれか。
- 保健師の就業場所で最も多いのは市町村である。
- 保健所設置市で働く常勤保健師は地方自治体における保健師全体の3割を超えている。
- 都道府県保健所に所属する保健師の活動項目別の活動時間割合は「保健福祉事業」が最も多い。
- 市町村保健師の活動項目別の保健師1人当たりの平均時間数は「コーディネート」が最も長い。
1
問 3
Aさん(33歳)は第1子を県外の実家で里帰り出産した。Aさんは、産後30日で自宅に戻り、翌週、地区担当保健師の家庭訪問を受けた。訪問時に児の発育発達に問題はなかったが、その後、時々Aさんは地区担当保健師に電話をかけ、日々の育児で生じた悩みを保健師に話した。Aさんは「身近に育児について話し合える人がいればいいのに」と話した。
Aさんに対する保健師の対応で最も適切なのはどれか。
Aさんに対する保健師の対応で最も適切なのはどれか。
- 週末を利用して実家に帰ることを勧める。
- 地区で行われている子育て教室への参加を促す。
- 出産した産婦人科医院で相談することを勧める。
- 母子保健推進員の訪問を依頼することを勧める。
2
問 4
A地区では市主催の両親学級に参加した父親が有志でグループを結成し、「パパの会」として自主的な活動を行っている。地区担当保健師は、会のリーダーから「会の活動を市の広報紙に掲載して参加者を増やしたいという意見と、今のメンバーで活動していきたいという意見に分かれている。どうしたらよいか」と相談を受けた。
地区担当保健師が優先して行う対応として適切なのはどれか。
地区担当保健師が優先して行う対応として適切なのはどれか。
- 「保健師が運営を担当します」
- 「パパの会に一度参加させてください」
- 「リーダーの考えで活動を進めていいですよ」
- 「意見が分かれているのでメンバーを分けて活動しましょう」
2
問 5
Aさん(43歳、女性)は定期健康診断を毎年受けている。今年は血液検査で中性脂肪が基準値を超えており、医師から運動を勧められた。1か月後の受診日に、2週前から1日15分のジョギングを始めたことを医師に話したところ、医師は「2週間続けられたのだから、あなたならこれからもできると思います」と話した。Aさんは「はい。頑張って続けてみようと思います」と話した。
Aさんの自己効力感を高めたのはどれか。
Aさんの自己効力感を高めたのはどれか。
- 代理体験
- 意識の高揚
- 言語的説得
- 自己の再評価
3
問 6
Aさん(50歳、男性)は市の集団健康診査で空腹時血糖が140mg/dL、ヘモグロビンA1c〈HbA1c〉が6.8%であったことから、健康診査の結果相談会に来所した。保健師が話を聞くと、健康診査のときに医師から受診を勧められたものの、Aさんは「自覚症状がないから大丈夫」といい、まだ受診していなかった。保健師はAさんに、このまま放置した場合の身体への影響を科学的な根拠に基づいて説明した。
保健師の働きかけは、ヘルスビリーフモデルの主要な概念のどれか。
保健師の働きかけは、ヘルスビリーフモデルの主要な概念のどれか。
- 予防的行動に対する障害の認識
- 予防的行動の有益性の認識
- 疾病の重大性の認識
- 疾病の罹患性の認識
3
問 7
プリシード・プロシードモデルの説明で正しいのはどれか。
- 地区活動の評価に活用できる。
- 最終目標は「健康の向上」である。
- 第1~4段階が評価を行う段階である。
- 行動変容の段階に応じた働きかけを示したモデルである。
1
問 8
地域包括ケアシステム構築のために行われる活動について正しいのはどれか。
- 地域の特性に応じて国が作り上げる。
- 既存のケアシステムの実態把握を行う。
- 入院を主体とするサービス体制を中心に整備する。
- 保健医療福祉部門ごとの体制に合わせて構築する。
2
問 9
地域にある組織とその特性の組合せで正しいのはどれか。
1. | 地縁組織 | 社会的使命の実現を目的として活動する。 | |
2. | 特定非営利活動法人 | 収益を分配することを目的としない活動を行う。 | |
3. | セルフヘルプグループ | 市町村から委嘱を受けて活動する。 | |
4. | 健康課題別健康教室の修了者の会 | 地域の課題解決に向けた取り組みを行う。 |
2
問 10
A市の保健医療福祉関係者で構成される会議において、医療機関と介護サービス事業者との連携ができていないという課題が出された。
課題への対応において優先度が高いのはどれか。
課題への対応において優先度が高いのはどれか。
- 医療従事者を対象に在宅ケアの勉強会を企画する。
- 地域ケア会議で互いの意見が共有できるようにする。
- 介護サービス事業者を対象に医療の知識に関する研修会を開催する。
- A市の医療機関に新しい医療連携のネットワークシステムを導入する。
2
問 11
Aさん(35歳、男性、会社員)は身長170cm、体重60kgである。事業所の保健師は、Aさんから「先日、潰瘍性大腸炎と診断され、外来通院で治療することになりました。会社の食堂で食事をすることが多いため、気を付けることはありますか」と相談を受けた。
Aさんに対する保健指導で適切なのはどれか。
Aさんに対する保健指導で適切なのはどれか。
- 「脂肪の制限はありません」
- 「低蛋白質の食事を選んでください」
- 「食物繊維が少ない食事を選んでください」
- 「カロリーが高くならないようにしてください」
3
問 12
平成30年(2018年)の日本におけるHIV感染者の患者動向で正しいのはどれか。
- 新規感染の約60%は性的接触である。
- 発生の総数は2008年から増加している。
- 男性では外国籍の者が半数以上を占めている。
- 日本国籍女性の感染経路は異性間の性的接触が最も多い。
4
問 13
乳幼児の予防接種が任意接種である疾病はどれか。
- B型肝炎
- 急性灰白髄炎
- 流行性耳下腺炎
- ロタウイルス感染症
3
問 14
平成30年(2018年)の特別支援教育の状況で正しいのはどれか。
- 訪問教育を受けている児童生徒は小学生が最も多い。
- 特別支援学級の児童生徒の障害は知的障害が最も多い。
- 義務教育段階の児童生徒のうち特別支援学校に在籍している割合は全児童生徒の3%である。
- 特別支援教育が開始された平成19年(2007年)に比べて対象となる児童生徒数は減少している。
1
問 15
学校給食に関する養護教諭の職務はどれか。
- 食中毒の予防
- 献立の栄養管理
- 調理場の衛生管理
- 食に関する指導に係る全体計画の作成
1
問 16
令和元年度(2019年度)児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査で正しいのはどれか。
- 小学校における不登校児童数は約10万人である。
- いじめの発見のきっかけの第1位は「本人からの訴え」である。
- 中学校における不登校の主たる要因の第1位は「無気力・不安」である。
- 小学校におけるいじめの内容の第1位は「仲間はずれ、集団による無視をされる」である。
3
問 17
地域産業保健センターについて正しいのはどれか。
- 衛生管理者の育成を行う。
- 産業医の研修を実施する。
- 個別訪問による産業保健指導を行う。
- 労働者100人未満の事業場を対象とする。
3
問 18
A市は台風被害から2か月が経ち、仮設住宅と集会所が各地区に完成し、家屋に被害を受けた被災者の仮設住宅への入居が開始された。B地区の仮設住宅には元の居住地が異なる世帯が入居したため、新たなコミュニティ構築への支援が復興支援の課題となっている。
B地区の仮設住宅で新たなコミュニティづくりのために行う支援として、効果が期待できるのはどれか。
B地区の仮設住宅で新たなコミュニティづくりのために行う支援として、効果が期待できるのはどれか。
- 電話健康相談窓口を増設する。
- 家庭訪問による健康観察を実施する。
- ホームページで健康情報を発信する。
- 集会所で集団健康教育を定期開催する。
4
問 19
A小学校の2年生の児童80人と引率の教員が市内の公園に遠足に行き、昼食に学校から配布されたおにぎりを食べた。午後2時ころに帰校すると、2年生の児童と引率した教諭に嘔吐、下痢および腹痛の症状が現れ、半数以上の児童が医療機関を受診した。他学年の児童に症状がある者はなかった。保健所にA小学校から緊急連絡があり、疫学調査の結果、集団食中毒であることが判明した。
原因菌として最も疑われるのはどれか。
原因菌として最も疑われるのはどれか。
- ウェルシュ菌
- ボツリヌス菌
- 黄色ブドウ球菌
- カンピロバクター
3
問 20
保健師が行う看護管理機能の種別と実施内容の組合せで正しいのはどれか。
1. | 情報管理 | 地域診断 | |
2. | 人事管理 | 個人情報の保護 | |
3. | 予算管理 | ジョブローテション | |
4. | 事例管理 | サービスの質と量の評価 |
4
問 21
人口3万人の町の保健師は地区によって高脂血症の罹患率が大きく異なっていることに気付いた。
罹患率に関連する要因について仮説を立てて検証するために行う調査方法で適切なのはどれか。
罹患率に関連する要因について仮説を立てて検証するために行う調査方法で適切なのはどれか。
- フォーカス・グループインタビュー
- 半構造化面接法
- 質問紙調査
- 事例分析
3
問 22
大きな集団から無作為に1,000人選び出したとき、その中の高血圧者数が従う分布はどれか。
- t分布
- 正規分布
- 二項分布
- x2〈カイ2乗〉分布
3
問 23
保健機能食品制度の説明で正しいのはどれか。
- 特定保健用食品の許可は厚生労働大臣が行う。
- 機能性表示食品は妊産婦に適する旨の表示ができる。
- 栄養機能食品は健康増進法に基づく一定の要件を満たしている。
- 保健機能食品は1日当たりの摂取目安を表示しなければならない。
4
問 24
医療計画において定めることとされている事項はどれか。
- 診療報酬の点数
- 市町村の介護医療院の設置数
- 居宅等における医療の確保に関する事項
- 市町村の地域支援事業利用者数の見込み
3
問 25
社会保障の枠組みで互助に当てはまるのはどれか。
- 医療保険を使って手術を受ける。
- 夫婦共働きで家族の生活費を得る。
- 健康維持のために健康診断を受ける。
- 自治会が健康に関する学習会を開催する。
- 病気によって働くことができないため生活保護を受給する。
4
問 26
平成30年(2018年)の労働安全衛生調査(実態調査)で、労働者の仕事や職業生活における強い不安、悩み、ストレスの内容に関して最も割合が高いのはどれか。
- 役割・地位の変化等(昇進、昇格、配置転換等)
- 対人関係(セクハラ・パワハラを含む。)
- 仕事の失敗、責任の発生等
- 会社の将来性
- 仕事の質・量
5
問 27
リスクコミュニケーションに当てはまる活動はどれか。
- 民生委員の会合でハザードマップを確認する。
- 災害派遣医療チーム〈DMAT〉を組織する。
- 災害が起こったときの被害を予測する。
- 食中毒の原因となる菌を調べる。
- 市の防災基本計画を策定する。
1
問 28
症例対照研究で計算が可能な指標はどれか。
- 受療率
- オッズ比
- 寄与危険
- 推計患者数
- 5年生存率
2
問 29
日本の主な死因別にみた死亡率(人口10万対)の年次推移を図に示す。
心疾患はどれか。
- A
- B
- C
- D
- E
2
問 30
レセプト情報・特定健診等情報データベース〈NDB〉に収載されているのはどれか。
- 世帯収入
- 食塩摂取量
- 同居家族人数
- 主要死因別死亡数
- 特定保健指導の実施状況
5
1-30
31-55