第108回保健師国家試験
午前問題
問 31
A市では8月に大規模災害が発生し災害復興が必要となった。健康増進課ではコミュニティの復興を考慮した事業について次年度に実施することを計画し、予算要求を行うことになった。
健康増進課の予算要求について正しいのはどれか。
健康増進課の予算要求について正しいのはどれか。
- 議会の承認を得る。
- 前年度の繰越金を組み込んで要求する。
- 長期的な復興を踏まえ複数年度の予算を要求する。
- 事業の具体的な実施方法は予算が成立してから考える。
- 事業実施の際に予算不足にならないように多めに計上する。
1
問 32
平常時に指定医療機関から患者発生数の報告を受けて流行状況を把握する定点把握対象疾患はどれか。2つ選べ。
- 結核
- コレラ
- 急性出血性結膜炎
- 鳥インフルエンザ
- 性器クラミジア感染症
35
問 33
障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律〈障害者総合支援法〉について正しいのはどれか。2つ選べ。
- 療育手帳の根拠法令である。
- 障害支援区分に基づきサービスが利用できる。
- 自立支援医療の自己負担額は原則2割である。
- サービスを利用する場合は都道府県の窓口に申請する。
- 平成28年(2016年)の改正によって就労定着支援が新設された。
25
問 34
災害時健康危機管理支援チーム〈DHEAT〉の保健師が被災地で行う活動はどれか。2つ選べ。
- 被災した市町村の保健活動の評価
- 避難所での要配慮者の健康相談
- 避難所のトイレの衛生対策
- 自宅待機者への家庭訪問
- 派遣保健師の受入調整
15
問 35
平成30年(2018年)の日本の医療施設数または医療従事者数で正しいのはどれか。2つ選べ。
- 病院数は約6千施設である。
- 一般診療所数は約5万施設である。
- 就業保健師数は約5万3千人である。
- 歯科診療所数は約6万8千施設である。
- 就業看護師数は約100万5千人である。
34
問 36
代表値はどれか。2つ選べ。
- 分散
- 平均
- 最頻値
- 標準誤差
- 標準偏差
23
問 37
割合の差の検定について正しいのはどれか。2つ選べ。
- 回帰分析で用いる。
- 相関係数が計算できる。
- クロス集計表は有用である。
- 検定の際に散布図を用いる。
- x2〈カイ2乗〉検定で有意差を検定する。
35
問 38
健康増進法に基づく市町村の役割はどれか。2つ選べ。
- 特定保健指導
- がん検診の実施
- 健康増進計画の策定
- 特定給食施設に対する指導
- 飲食店における受動喫煙の防止に関する指導
23
問 39
健康日本21(第二次)の具体的な目標はどれか。2つ選べ。
- 高血圧の改善
- 平均寿命の延伸
- 糖尿病合併症の減少
- 週労働時間80時間以上の雇用者の割合の減少
- 低栄養傾向(BMI20以下)の若者の割合の増加を抑制
13
問 40
A市におけるある年の肺炎の罹患患者数は1,000人であり、そのうち死亡数は50人であった。これらの肺炎患者のうち感染症Bによるものは100人であり、そのうち死亡数は15人であった。
感染症Bによる致命率〈致死率〉を求めよ。
ただし、小数点以下の数値が得られた場合には、小数点以下第1位を四捨五入すること。
解答:①②%
感染症Bによる致命率〈致死率〉を求めよ。
ただし、小数点以下の数値が得られた場合には、小数点以下第1位を四捨五入すること。
解答:①②%
① | ② |
0 | 0 |
1 | 1 |
2 | 2 |
3 | 3 |
4 | 4 |
5 | 5 |
6 | 6 |
7 | 7 |
8 | 8 |
9 | 9 |
15
次の文を読み41~43の問いに答えよ。
市の高齢福祉課で運営していた認知症サポーター養成講座の受講者が年々減っていた。講師を担当するキャラバン・メイトで家庭の事情等で活動できない人が増え、講座開催回数が減っていたことが原因として考えられた。そこで、各地域の実情に応じた認知症サポーター養成事業を展開するために、認知症サポーター養成講座を市内の各地域包括支援センターによる運営とし、保健師が担当することになった。
市の高齢福祉課で運営していた認知症サポーター養成講座の受講者が年々減っていた。講師を担当するキャラバン・メイトで家庭の事情等で活動できない人が増え、講座開催回数が減っていたことが原因として考えられた。そこで、各地域の実情に応じた認知症サポーター養成事業を展開するために、認知症サポーター養成講座を市内の各地域包括支援センターによる運営とし、保健師が担当することになった。
問 41
各地域包括支援センターでキャラバン・メイトとして活動できる人を確保するために、キャラバン・メイトになるための研修を受けるよう声をかけるのに最も適切なのはどれか。
- 一般市民
- 民生委員
- 健康推進委員
- 高齢福祉課の職員
2
問 42
認知症サポーター養成講座を受講した住民から、「何か自分達の学んだことを生かした活動ができないか」と地域包括支援センターの保健師は相談を受けた。
保健師からの最も適切な提案はどれか。
保健師からの最も適切な提案はどれか。
- 「地域を巡回しませんか」
- 「グループホームで働いてみませんか」
- 「認知症の理解を広める講座を開いてみませんか」
- 「ステップアップ講座を受けて地域課題を踏まえた活動をしてみませんか」
4
問 43
地域包括支援センターが運営する認知症サポーター養成講座を修了した人は徐々に増えていった。担当保健師は、地域における日常生活での見守りの体制をさらに構築するために、一層の普及啓発活動を推し進める必要があると考えた。
今後の活動として適切なのはどれか。
今後の活動として適切なのはどれか。
- 認知症対応型グループホームの誘致を高齢福祉課に打診する。
- ピア活動が行えるように認知症患者に養成講座の受講を呼びかける。
- 認知症の家族と暮らす人を対象とする活動を認知症サポーターに促す。
- 地域の交通機関の職員に認知症サポーター養成講座への受講を呼びかける。
4
次の文を読み44~46の問いに答えよ。
Aさん(35歳、会社員、初産婦)は妊娠8週で母子健康手帳の交付を受けるために市役所を訪れた。地区担当保健師が面接したところ、Aさんは5年前にうつ病で通院していたが、その後症状が軽快し、現在は通院していないことがわかった。Aさんは「実家から引っ越してきたばかりで近所に知り合いがいないため不安です。夫は仕事が忙しく、家事や育児への協力は期待できません」と話した。
Aさん(35歳、会社員、初産婦)は妊娠8週で母子健康手帳の交付を受けるために市役所を訪れた。地区担当保健師が面接したところ、Aさんは5年前にうつ病で通院していたが、その後症状が軽快し、現在は通院していないことがわかった。Aさんは「実家から引っ越してきたばかりで近所に知り合いがいないため不安です。夫は仕事が忙しく、家事や育児への協力は期待できません」と話した。
問 44
現時点での保健師からAさんへの提案として、最も適切なのはどれか。
- 「市の母親学級に参加してみませんか」
- 「実家のご両親に相談されてはどうですか」
- 「家事援助サービスを使ってみてはどうですか」
- 「住み慣れると不安も軽くなりますので待ちましょう」
1
問 45
妊娠10週にAさんから地区担当保健師に電話があり、「産科の先生や助産師さんには次の健診で相談してみようと思いますが、残業があり、仕事中の休憩や休暇も取りにくく、つわりもあるので仕事が負担になってきました。何か使える制度はないでしょうか」と相談があった。
現時点でAさんが会社に制度の利用を請求した場合、法律に基づき会社が対応する必要があるのはどれか。
現時点でAさんが会社に制度の利用を請求した場合、法律に基づき会社が対応する必要があるのはどれか。
- 時間外勤務をなくす。
- 休憩時間の回数を増やす。
- 妊産婦健康診査の費用を助成する。
- 勤務時間中に2週間に1回の妊婦健康診査の時間を確保する。
1
問 46
AさんはBちゃんを36週に2,400gで出産した。Aさんは産後5日で退院し、Bちゃんは黄疸が強かったため光線療法が行われ、生後10日で退院した。産後25日に地区担当保健師が家庭訪問した。Bちゃんは身長47.0cm、体重2,600gであった。Aさんのエジンバラ産後うつ病質問紙票〈EPDS〉の得点は3点であった。Aさんは「母乳が出ているか心配です」と話した。キッチンに洗っていない食器が置かれたままだった。
保健師の対応の優先度を判断する上で最も必要な情報はどれか。
保健師の対応の優先度を判断する上で最も必要な情報はどれか。
- 家族の支援体制
- Aさんの抑うつの程度
- Bちゃんの体重増加量
- Aさんの家事の遂行状況
3
次の文を読み47~49の問いに答えよ。
Aさん(45歳、男性)は社員数80名の会社で経理事務に従事している。発熱と咳が続いたため病院を受診したところ、画像診断で空洞を伴う肺病変があり、喀痰塗沫検査陽性、喀痰PCR検査陽性となったことから肺結核と診断され、結核病床のある病院に入院した。
抗結核薬による治療開始後6週で喀痰中の結核菌は陰性化したため、Aさんは退院し、外来で治療を継続することとなった。薬剤感受性検査では1剤に耐性がみられたが、この薬剤はAさんの治療には使用されていない。
Aさん(45歳、男性)は社員数80名の会社で経理事務に従事している。発熱と咳が続いたため病院を受診したところ、画像診断で空洞を伴う肺病変があり、喀痰塗沫検査陽性、喀痰PCR検査陽性となったことから肺結核と診断され、結核病床のある病院に入院した。
抗結核薬による治療開始後6週で喀痰中の結核菌は陰性化したため、Aさんは退院し、外来で治療を継続することとなった。薬剤感受性検査では1剤に耐性がみられたが、この薬剤はAさんの治療には使用されていない。
問 47
Aさんが肺結核と診断された時点での感染性の強さを示唆するのはどれか。2つ選べ。
- 発熱
- 喀痰塗沫検査陽性
- 喀痰PCR検査陽性
- 画像診断の空洞病変
- 薬剤感受性検査で耐性あり
24
問 48
Aさんの入院中に保健所が実施した調査の結果、Aさんの勤務先の濃厚接触者を対象に接触者健康診断を実施することになった。現時点で呼吸器症状がある者はいない。
勤務先での接触者健康診断で使用される検査方法はどれか。2つ選べ。
勤務先での接触者健康診断で使用される検査方法はどれか。2つ選べ。
- 胃液塗沫検査
- 喀痰培養検査
- 胸部エックス線検査
- ツベルクリン反応検査
- インターフェロンγ遊離試験〈IGRA〉
35
問 49
接触者健康診断の結果、肺結核の発病者は発見されなかったが、15名の対象者中3名が潜在性結核感染症と診断され、治療を開始することになった。
潜在性結核感染症の治療に関して正しいのはどれか。
潜在性結核感染症の治療に関して正しいのはどれか。
- 抗結核薬を12か月間内服する。
- 抗結核薬内服中は地域DOTSの対象となる。
- 抗結核薬の継続内服が困難な場合にはBCG接種を勧める。
- 治療開始にあたり感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律〈感染症法〉に基づく発生届の提出は要しない。
2
次の文を読み50~52の問いに答えよ。
人口2万人のA市において運動習慣の有無と総死亡数との関連に注目し、施策に反映させるために疫学調査を行うこととした。特定健康診査の際に運動習慣に関する聞き取り調査を行った。運動習慣ありを「週2回以上、1回30分以上、1年以上、運動をしている者」と定義し、その後5年間の死亡の有無を確認した。
人口2万人のA市において運動習慣の有無と総死亡数との関連に注目し、施策に反映させるために疫学調査を行うこととした。特定健康診査の際に運動習慣に関する聞き取り調査を行った。運動習慣ありを「週2回以上、1回30分以上、1年以上、運動をしている者」と定義し、その後5年間の死亡の有無を確認した。
問 50
この研究デザインはどれか。
- 横断研究
- 介入研究
- コホート研究
- 症例対照研究
- 生態学的研究
3
問 51
調査を行った年度に特定健康診査を受診した住民は1万人であった。運動習慣の有無と5年間の死亡数について全員を追跡した調査結果を表に示す。
運動習慣「なし」に対する運動習慣「あり」の累積死亡率比を求めよ。
ただし、小数点以下第2位を四捨五入すること。
解答:①.②%
ただし、小数点以下第2位を四捨五入すること。
解答:①.②%
① | ② |
0 | 0 |
1 | 1 |
2 | 2 |
3 | 3 |
4 | 4 |
5 | 5 |
6 | 6 |
7 | 7 |
8 | 8 |
9 | 9 |
正答なし
採点除外等の扱いをした問題
1)採点上の取り扱い
採点対象から除外する。
2)理由
選択肢に正解がないため。
採点除外等の扱いをした問題
1)採点上の取り扱い
採点対象から除外する。
2)理由
選択肢に正解がないため。
問 52
A市は全国と比較して、住民の平均年齢が高いと推測した。得られた死亡率を解釈する際に、年齢構成を考慮するために間接法による年齢調整を行うこととし、標準化死亡比〈SMR〉を求めることとした。
その際に必要な情報はどれか。
その際に必要な情報はどれか。
- 基準集団の総人口
- 観察集団の総死亡数
- 基準集団の総死亡数
- 基準集団の年齢別人口
- 観察集団の年齢別死亡数
2
次の文を読み53、54の問いに答えよ。
A君(中学3年生)は中学1年生のときに筋委縮性側索硬化症〈ALS〉を発症した。病状の進行によって、自力での呼吸が難しくなったため入院し、気管切開をして人工呼吸器を装着した。退院後に復学する予定である。
A君(中学3年生)は中学1年生のときに筋委縮性側索硬化症〈ALS〉を発症した。病状の進行によって、自力での呼吸が難しくなったため入院し、気管切開をして人工呼吸器を装着した。退院後に復学する予定である。
問 53
学校における医療的ケアに係る関係者とその役割分担の組合せで正しいのはどれか。
1. | 学校長 | A君の医療的ケアを担当する看護師の配置の決定 | |
2. | 介護職員 | 痰の吸引の研修の開催 | |
3. | 教育委員会 | 医療的ケアの指導医の委嘱 | |
4. | A君の保護者 | 個別の教育支援計画の立案 |
3
問 54
A君の退院が決まった。
A君の学校生活のために養護教諭が行うことで最も優先度が高いのはどれか。
A君の学校生活のために養護教諭が行うことで最も優先度が高いのはどれか。
- A君に参加したい学校行事を聞く。
- A君のクラスの避難訓練を計画する。
- 教職員に対してA君の状態を説明する。
- A君の医療的ケアを担当する看護師と役割分担を相談する。
3
次の文を読み55の問いに答えよ。
A市在住のBさん(45歳、女性)は夫と長男(14歳)、長女(9歳)との4人暮らし。週に4日間のパート勤務をしている。これまで職場で健康診査を受けたことはなかった。A市から届いた受診案内をみて、初めて市の特定健康診査を受診した。結果は、身長160cm、体重70kg、腹囲90cm、血圧140/90mmHg、HbA1c5.0%、中性脂肪300mg/dL、LDLコレステロール120mg/dL、HDLコレステロール73mg/dL、血清尿酸値5.5mg/dL、血清クレアチニン1.0mg/dL、推定糸球体濾過量〈eGFR〉48.1mL/分/1.73m2、尿蛋白(+)であった。
A市の保健センターの結果説明会に参加したBさんは「検査結果がこんなに悪いとは思っていなかった。食べ盛りの子どもたちに合わせた食生活が悪かったのだと思う。これからどのような食事をすればよいのか知りたい」と話した。
A市在住のBさん(45歳、女性)は夫と長男(14歳)、長女(9歳)との4人暮らし。週に4日間のパート勤務をしている。これまで職場で健康診査を受けたことはなかった。A市から届いた受診案内をみて、初めて市の特定健康診査を受診した。結果は、身長160cm、体重70kg、腹囲90cm、血圧140/90mmHg、HbA1c5.0%、中性脂肪300mg/dL、LDLコレステロール120mg/dL、HDLコレステロール73mg/dL、血清尿酸値5.5mg/dL、血清クレアチニン1.0mg/dL、推定糸球体濾過量〈eGFR〉48.1mL/分/1.73m2、尿蛋白(+)であった。
A市の保健センターの結果説明会に参加したBさんは「検査結果がこんなに悪いとは思っていなかった。食べ盛りの子どもたちに合わせた食生活が悪かったのだと思う。これからどのような食事をすればよいのか知りたい」と話した。
問 55
摂取量についてBさんに指導する必要があるのはどれか。2つ選べ。
- 塩分
- 水分
- 蛋白質
- カリウム
- プリン体
13
1-30
31-55