nurture.jp

第108回保健師国家試験

午後問題
問 31
精神保健及び精神障害者福祉に関する法律〈精神保健福祉法〉に規定されている内容で正しいのはどれか。2つ選べ。
  1. 市町村の役割に普及啓発がある。
  2. 精神通院医療費は公費で負担される。
  3. 医療保護入院は患者本人の同意が必要である。
  4. 緊急措置入院は精神保健指定医1人の診察が必要である。
  5. 発達障害者支援センターの設置について規定されている。
14
問 32
学校教育法で定められているのはどれか。2つ選べ。
  1. 食育の推進
  2. 学校保健の定義
  3. 健康診断の実施
  4. 学級閉鎖の実施基準
  5. 養護教諭の配置義務
35
問 33
平成30年(2018年)の労働災害と業務上疾病の発生状況について正しいのはどれか。2つ選べ。
  1. 労働災害による死亡者数は2,000人以上である。
  2. 労働災害による死亡者数は平成29年(2017年)に比べ減少している。
  3. 労働災害の認定数は脳・心臓疾患よりも精神障害によるものが多い。
  4. 業務上疾病(休業4日以上)発生数は平成29年(2017年)に比べ減少している。
  5. 業務上疾病(休業4日以上)発生数の内訳では「作業様態に起因する疾病」が最も多い。
23
問 34
地域健康危機管理ガイドラインにおける保健所の健康危機管理業務の4つの側面のうち、「健康危機による被害の回復」で行われる活動はどれか。2つ選べ。
  1. 防疫活動
  2. 手引書の作成
  3. 監視体制の改善
  4. 飲料水の安全確認
  5. 人材の資質の向上
34
問 35
社員500名のA社の保健師による従業員への働きかけで、ヘルスプロモーションにおける「健康を支援する環境づくり」に該当するのはどれか。2つ選べ。
  1. 事業所の敷地内を禁煙にする。
  2. 社員食堂で減塩メニューを提供する。
  3. 歯科衛生士によるブラッシング指導を行う。
  4. 禁煙を促すリーフレットを喫煙者に配布する。
  5. 定期健康診査の有所見者に面接指導を実施する。
12
次の文を読み36~38の問いに答えよ。
 人口5万人のA市のB地区では3年前から丘陵地を切り開いた宅地開発が行われており、ここ数年で人口が急増している。宅地開発は2年後に完成する予定であり、戸建て住宅や集合住宅が今後も増えていく見込みである。B地区の中心部には地区公民館があり、高齢者の集いや自治会の会合などが開かれている。
 令和3年度(2021年度)からB地区を担当する保健師は、地区活動計画の立案のためにB地区の地域診断を行うことにした。令和元年(2019年)の人口構成について調べた結果を表に示す。
問 36
B地区の出生率を求めよ。
ただし、小数点以下の数値が得られた場合には、小数点以下第1位を四捨五入すること。

解答:
00
11
22
33
44
55
66
77
88
99
13
問 37
B地区の人口構成に対する保健師のアセスメントとして正しいのはどれか。
  1. 死亡率はA市全体よりも高い。
  2. 単独世帯割合はA市全体よりも高い。
  3. 年少人口割合は全国よりも低い。
  4. 3世代世帯の割合はA市全体よりも高い。
  5. 65歳以上人口割合は全国よりも高い。
4
問 38
B地区の子育て世代の健康課題を特定するため、B地区の担当保健師は市内の機関を対象としたインタビューを計画した。
現時点でインタビューを依頼する機関として最も適切なのはどれか。
  1. 児童相談所
  2. 社会福祉協議会
  3. 母子生活支援施設
  4. 訪問看護ステーション
  5. 地域子育て支援拠点〈地域子育て支援センター〉
5
次の文を読み39~41の問いに答えよ。
 Aさん(高校2年生、女子)は両親と3人暮らし。母親が精神保健福祉相談のため保健所に来所した。「Aは太っているわけではないのに、半年程前から写真写りを気にして食事を減らし始めました。今は1日1食野菜スープしか食べません。食べたもののカロリーを気にして毎日運動しており、一見元気そうなのですが、随分痩せてきました。授業を受けても頭に入ってこないと言い、この頃は学校を休みがちです。このままで大丈夫でしょうか」と話した。
問 39
Aさんの状態をアセスメントするために必要な情報として最も優先度が高いのはどれか。
  1. BMI
  2. 睡眠
  3. 運動量
  4. 友人関係
  5. 学校の欠席日数
1
問 40
Aさんの状況をアセスメントした結果、保健師は母親にAさんの精神科受診を勧めた。しかし、母親は「精神科の受診までは考えていませんでした。どうしたら食事を食べるようになって、元通りに学校に行ってくれるかを知りたいだけなんです」と精神科の受診には否定的な反応を示した。
このときの保健師の対応で適切なのはどれか。
  1. 「元通りのAさんになるためには治療が必要です」
  2. 「Aさんが好きなメニューを一緒に考えましょう」
  3. 「身体的に問題がないか、近くの医師に診てもらいましょう」
  4. 「Aさんに学校のスクールカウンセラーへの相談を勧めましょう」
3
問 41
1か月後、再び母親は精神保健福祉相談のため保健所に来所した。「Aは、私が頼むと少し食べてくれますが、やはり太るのが怖くて食べられないと言います。先日、Aが食後に隠れて下剤を使っていたため、思わず叱責してしまいました。Aは太っていると恥ずかしくて学校に行けないと言って欠席が増え、ほとんど自分の部屋で過ごしています。また、カロリーを消費するためと言い、相変わらず動画を見ながら運動をしています。時々、趣味のイラストを私に見せに来るのですが、そんなことよりも学校に行って元の生活に戻ってほしい」と母親は辛そうに話した。
母親の気持ちを受け止めた上で、保健師が行う母親への助言で適切なのはどれか。
  1. 「登校するよう説得を続けましょう」
  2. 「運動を続けていけるよう応援しましょう」
  3. 「見つけられないように下剤を隠しましょう」
  4. 「イラストを見せに来たら肯定的な対応をしましょう」
  5. 「食事がとれるようになれば回復すると伝え続けましょう」
4
次の文を読み42~44の問いに答えよ。
 A市は川沿いに位置する人口7万人の高齢化率24.6%の市である。A市には13人の保健師が勤務し地区担当制で業務を行っている。A市では5年前に大規模災害が発生し、多くの死傷者が出た。死傷者は高齢者の割合が高かった。
問 42
A市のB保健師が担当地区の自治会長から「5年前の大規模災害では多くの高齢者が逃げ遅れた。保健師から住民に必要な災害対策を自治会の会合で話してほしい」と依頼された。
B保健師が話す内容として最も適切なのはどれか。
  1. 家屋の安全点検の方法
  2. 飲料水、食料品の備蓄量
  3. 避難所までの移動手段の確認
  4. 医療機関の連絡先リストの作成
3
問 43
自治会の会合から2年後の午後4時、A市内を震源とする震度6の地震が発生した。市全域は断水、停電した。道路は一部泥状化によって隆起した箇所はあるが寸断はない。B保健師は災害時保健活動マニュアルに従い、発災30分後に保健センターに出勤し担当避難所に出向いた。
このときにB保健師が行う保健活動で正しいのはどれか。
  1. 健康相談の場所の設置
  2. 生活不活発病の予防
  3. 災害時要配慮者の安全確保
  4. 消毒薬などの衛生資材の調達
  5. 災害派遣精神医療チーム〈DPAT〉との連携
3
問 44
発災後2か月が経過し、被災者は避難所から市内の仮設住宅へ入居した。
A市の保健師が行う仮設住宅の住民への支援で適切なのはどれか。
  1. 心のケアは高齢者を優先させる。
  2. 独居の高齢者には施設入所を勧める。
  3. エコノミークラス症候群の予防を呼びかける。
  4. すべての仮設住宅を巡回訪問し健康相談を行う。
4
次の文を読み45~47の問いに答えよ。
 Aさん(58歳、男性、独居)は1年前に失業した。その後、就職先が決まらず、預貯金が底をついたが、身寄りがなく身近な相談者もいなかった。経済苦により3か月前に自殺を図って病院に搬送された。日常生活動作〈ADL〉は問題なく回復したが、頭を打ったことによる外傷性脳損傷によって軽度の記憶障害が残り、特に数の計算が難しくなった。また、入院中に生活保護を受給することになった。
問 45
病院から、退院に向けた検討を進めたいとAさんが居住するB市に連絡があり、B市の生活保護担当の保健師とケースワーカーが入院中のAさんを訪問した。
退院後にAさんに提案するサービスで適切なものはどれか。
  1. 就労移行支援
  2. 日常生活自立支援事業
  3. 療養生活環境整備事業
  4. 自立支援医療〈精神通院医療〉
2
問 46
生活保護担当の保健師は、その後もAさんのような失業やそれに伴う経済的困窮を契機とした自殺未遂事例と関わることがあり、B市の自殺対策計画の担当保健師と協働して市全体の自殺の現状を改めて調査・評価することにした。その結果、壮年期の男性が失業をきっかけとして自殺に至る事例や、自殺未遂後に後遺症や障害が残った事例が近年増加していることが明らかになり、新たな自殺予防対策の啓発活動を進めていくことにした。
この啓発活動への協力を依頼する関係機関として、最も適切なのはどれか。
  1. 民生委員・児童委員協議会
  2. 精神科医療機関
  3. ハローワーク
  4. 警察
3
問 47
その後、B市の自殺対策計画を担当している保健師は、関係機関との連携強化だけでなく、住民が自殺予防のゲートキーパーとなれるよう、ゲートキーパー養成事業を新たに計画した。予算案作成にあたりこの事業について住民から幅広く意見を得ることとした。
意見を得るのに適切な方法はどれか。
  1. フォーラムの開催
  2. 市議会における審議
  3. 自殺対策審議会の開催
  4. パブリックコメントの実施
4
次の文を読み48、49の問いに答えよ。
 Aさん(30歳、女性)はBちゃん(1歳7か月、男児)を連れ、市が実施する1歳6か月児健康診査に来所した。問診でAさんは、「1年前に隣の県から引っ越してきた。人づきあいが苦手で家でBちゃんと2人きりでいることが多い」と話した。Bちゃんの1歳6か月児健康診査の記録から、一部抜粋したものを以下に示す。
状況設定問題の画像
問 48
Bちゃんの発達について、保健師のアセスメントで適切なのはどれか。
  1. 言語は年齢相応の発達である。
  2. 微細運動は年齢相応の発達である。
  3. 社会性の発達が遅れている可能性がある。
  4. 粗大運動の発達が遅れている可能性がある。
2
問 49
1歳6か月児健康診査の終了後、カンファレンスでBちゃんの状況を検討した。
今後、Aさんに提案するBちゃんの子育て支援の場として最も適切なのはどれか。
  1. 療育相談
  2. 子育ての自主グループ
  3. 発達のフォローアップ教室
  4. 子育て世代包括支援センター
3
次の文を読み50、51の問いに答えよ。
 Aさん(85歳、女性)は息子のBさん(50歳、無職)と2人暮らし。Bさんは大学卒業後に就職したが、1年前に失職して以来、自宅で過ごしている。Aさんは2週前に自宅で転倒し腰椎圧迫骨折で入院した。入院を機に要介護認定申請を行ったところ、認定結果は要介護1であった。Aさんは自宅への退院を希望しており、Aさんが入院している病院のソーシャルワーカーから、退院に向けた話し合いをしたいと地域包括支援センターの保健師に連絡があった。Aさんの入院前は、家事はAさんが行っていた。
問 50
翌週、病院でソーシャルワーカー、保健師、AさんとBさんで退院に向けた話し合いが行われることになった。
自宅への退院を検討するにあたり最も優先度が高い情報はどれか。
  1. 自宅の間取り
  2. Aさんの家事能力
  3. Bさんの睡眠時間
  4. Bさんの介護に対する意向
4
問 51
Aさんは自宅へ退院し、Bさんとの生活が再開した。在宅サービスを利用しながら、地域包括支援センター保健師、民生委員の協力も得て、AさんとBさんの生活を見守ることができていた。退院から2か月後、民生委員より「Bさんがいらいらしている様子だ。AさんはBさんに叩かれたと話していた」と地域包括支援センターの保健師に連絡があった。翌日、地域包括支援センターの保健師と社会福祉士の2名がAさん宅へ家庭訪問を行った。
保健師と社会福祉士によるBさんへの対応で適切なのはどれか。
  1. 民生委員から虐待の通報があったことを知らせる。
  2. 負担になっていることがないかを確認する。
  3. Aさんを叩くことは虐待であると伝える。
  4. Aさんの施設入所を勧める。
2
次の文を読み52、53の問いに答えよ。
 Aさん(45歳、女性、正社員)は店舗で販売の仕事をしている。乳癌の手術後に転移がわかり、3週ごと6クールの予定で化学療法を受けることになった。会社には1年間の休職制度があるが、Aさんは化学療法中も休職せずに働くことを希望している。Aさんは主治医から悪心など体調不良になることはあるが、軽作業可能と説明されていた。上司の店長は、「Aさんの仕事はチームで分担するので、しばらく休職してもらったほうが良いのではないか」と人事部に伝えた。人事部からの連絡を受け、本社の保健師がAさんと店長とそれぞれ面談を行うこととなった。
問 52
Aさんの就業の可否および適正な配置の判断に必要な情報として、最も優先度が高いのはどれか。
  1. 術式
  2. 経済状況
  3. 仕事内容
  4. 職場の人間関係
  5. 予定している抗癌薬名
3
問 53
店長は、「生活もあるから働きたい気持ちはわかるし、きちんと仕事をしてもらえるなら働いてもらったほうが良いが、体調が悪くなった時が不安だ。管理者としての責任を問われても困る。主治医から軽作業可能と言われても安心して仕事を任せられない」と保健師に話した。
保健師の対応で正しいのはどれか。
  1. Aさんに休職することを提案する。
  2. 就業可能という主治医の意見に従うよう店長に伝える。
  3. 職場で必要な配慮を主治医に確認するようAさんに伝える。
  4. 体調の悪化に対して管理者の責任がないことを店長に伝える。
3
次の文を読み54、55の問いに答えよ。
 Aさん(55歳、男性)は、妻(48歳、パート勤務)と長女(16歳、高校生)の3人暮らしである。Aさんは会社員として勤務していたが、3年前に記憶力の低下を感じ医療機関を受診したところ若年性認知症と診断された。今は退職し、就労支援事業所に通っているが、最近になり外出して道に迷い近所の住民に保護されたり、周囲に暴言を吐いたりするようになっていた。妻は、Aさんの変化に不安を感じ地域包括支援センターへ相談に訪れた。
問 54
地域包括支援センターの保健師の対応で最も適切なのはどれか。
  1. Aさんの要介護認定の申請を勧める。
  2. 若年性認知症の症状への理解を促す。
  3. 認知症初期集中支援チームへの支援依頼を提案する。
  4. 認知症対応型共同生活介護〈認知症高齢者グループホーム〉の入所を提案する。
3
問 55
2年後、Aさんの妻はAさんの症状に落ち着いて対応できるようになり、若年性認知症の家族会に定期的に参加するようになっていた。Aさんの妻は「家族会で体験を共有するだけでなく、地域の人々に若年性認知症とその家族について理解してもらえるような取り組みがしたい」と話した。地域包括支援センターの保健師と市の高齢福祉課の保健師は、若年性認知症の人とその家族への理解が広まるよう、Aさんの妻が体験を発信できる機会を検討することにした。
Aさんの妻が体験を発信する場として最も適切なのはどれか。
  1. 家族介護教室
  2. 認知症予防教室
  3. 高齢者の認知症の家族会
  4. 民生委員を対象とした研修会
4
1-30
31-55