第109回保健師国家試験
午前問題
問 31
政令指定都市の保健師の活動で正しいのはどれか。
- 結核の積極的疫学調査を行う。
- 近隣市町村の技術的支援を行う。
- 地域医療構想の調整会議を行う。
- がん対策推進基本計画を策定する。
- 業務担当制の保健活動を基本とする。
1
問 32
持続可能な開発目標〈SDGs〉について正しいのはどれか。2つ選べ。
- 2025年を達成年限としている。
- 17分野の目標で構成されている。
- 国際連合児童基金〈UNICEF〉で採択された。
- 開発途上国が目指す目標を中心に構成された。
- ミレニアム開発目標〈MDGs〉の後継として採択された。
25
問 33
コミュニティ・アズ・パートナー・モデルについて正しいのはどれか。2つ選べ。
- 10のサブシステムで構成される。
- サブシステムは相互に影響しあう。
- 地域のコアとなる情報に教育が含まれる。
- 分析、立案、評価の3段階で構成される。
- ストレッサーに対する抵抗力の向上を目指す。
25
問 34
健やか親子21(第2次)の重点課題で正しいのはどれか。2つ選べ。
- 妊娠期からの児童虐待防止対策
- 育てにくさを感じる親に寄り添う支援
- 思春期の保健対策の強化と健康教育の推進
- 子どもの健やかな成長を見守り育む地域づくり
- 小児保健医療水準を維持・向上させるための環境整備
12
問 35
精神保健福祉センターの業務で正しいのはどれか。2つ選べ。
- 精神保健に関する普及啓発
- 地域自立支援協議会の運営
- 薬物の不正取引の取り締まり
- 自殺総合対策推進センターの運営
- 保健所と精神保健関係諸機関に対する技術指導・援助
15
問 36
健康危機管理に関する保健所の業務はどれか。2つ選べ。
- 食中毒発生時の調査
- 狂犬病発生時の厚生労働大臣への報告
- 感染症患者を診断した医師からの届け出の受付
- 保育所で乳児が突然死したときの届け出の受理
- 虐待が認定された介護老人福祉施設の指定の取り消し
13
問 37
累積罹患率の計算に必要なのはどれか。2つ選べ。
- 観察開始時点での患者数
- 各観察対象者の観察期間の総和
- 観察期間に新たに発生した患者数
- 観察開始時点での観察対象集団の人数
- 観察終了時点での観察対象集団の人数
34
問 38
調査について正しいのはどれか。2つ選べ。
- 患者調査は毎年実施される。
- 国勢調査で出生率が把握される。
- 社会生活基本調査は総務省が実施する。
- 人口動態調査は無作為抽出による標本調査である。
- 国民健康・栄養調査は健康増進法に基づいて実施される。
35
問 39
感染症発生動向調査で全数把握の対象となるのはどれか。2つ選べ。
- 結核
- 麻疹
- 手足口病
- マイコプラズマ肺炎
- 性器クラミジア感染症
12
問 40
40歳以上の男性を対象とした疫学研究で、虚血性心疾患死亡率(10万人年対)を観察した。虚血性心疾患死亡率は、喫煙群では50.0、非喫煙群では25.0であった。
このときの寄与危険割合を百分率で求めよ。
ただし、小数点以下の数値が得られた場合には、小数点以下第1位を四捨五入すること。
解答:①②
このときの寄与危険割合を百分率で求めよ。
ただし、小数点以下の数値が得られた場合には、小数点以下第1位を四捨五入すること。
解答:①②
① | ② |
0 | 0 |
1 | 1 |
2 | 2 |
3 | 3 |
4 | 4 |
5 | 5 |
6 | 6 |
7 | 7 |
8 | 8 |
9 | 9 |
50
次の文を読み41~43の問いに答えよ。
Aさん(35歳、女性)は結婚を機に実家から隣のB市に移り、B市で夫と長女(5か月)と暮らしている。Aさんは長女を連れ、B市が実施する乳児相談会に参加した。月に1回開催されている乳児相談会では、乳児の身長・体重測定および相談や参加者との交流を行っており、長女は順調に成長している。Aさんは「学生時代に親戚の子どもに接した経験が少しあるだけで、初めての育児に不安があります」と話し、表情がさえない。
保健師がAさんに話を聞くと、Aさんは母親の手料理と手作りのおやつを食べて育ち、離乳食づくりに自信がなく、育児を楽しめていないことが分かった。
Aさん(35歳、女性)は結婚を機に実家から隣のB市に移り、B市で夫と長女(5か月)と暮らしている。Aさんは長女を連れ、B市が実施する乳児相談会に参加した。月に1回開催されている乳児相談会では、乳児の身長・体重測定および相談や参加者との交流を行っており、長女は順調に成長している。Aさんは「学生時代に親戚の子どもに接した経験が少しあるだけで、初めての育児に不安があります」と話し、表情がさえない。
保健師がAさんに話を聞くと、Aさんは母親の手料理と手作りのおやつを食べて育ち、離乳食づくりに自信がなく、育児を楽しめていないことが分かった。
問 41
保健師のAさんへの対応で最も適切なのはどれか。
- 離乳食教室への参加を勧める。
- 簡単に作れる離乳食のレシピを渡す。
- Aさんが考える育児について話を聞く。
- 母親に育児を手伝ってもらうことを勧める。
3
問 42
翌月の乳児相談会に参加したAさんは表情が硬かった。気になった保健師が声をかけると「夫の帰りが毎晩遅く、週末も家にいないことが多いです。私1人で家事や子どもの世話をするのはとても大変です」と涙を流しながら話した。
保健師のAさんへの声かけで適切なのはどれか。
保健師のAさんへの声かけで適切なのはどれか。
- 「参加者の皆さんと困っていることの解決策を考えましょう」
- 「大変なのは今だけですからAさんなら大丈夫ですよ」
- 「ご家族で家事や子育ての役割分担を決めましょう」
- 「別室でゆっくりお話を聞かせてもらえますか」
4
問 43
2か月後の乳児相談会に参加したAさんは「離乳食が順調に進んでいる」と笑顔で話した。一方で、「これからも子どもの成長とともに、不安なことが出てきそう。もともと友達づくりが苦手な性格で、今も相談できる友達がいない」と話した。
保健師がAさんに勧める内容で適切なのはどれか。
保健師がAさんに勧める内容で適切なのはどれか。
- 子育て支援センターの利用
- 乳児相談会への参加の継続
- 保健師による電話相談の利用
- 近所の乳幼児が遊べる公園の利用
1
次の文を読み44~46の問いに答えよ。
人口2万人のA市にあるB地区は人口3,000人、老年人口割合は45%で単身の高齢者世帯が増加している。2年前に300戸の温泉付きのマンションが建設された。マンションの入居者の平均年齢は67.2歳で、都市部の会社を定年退職した者が多い。近所付き合いが少ないため、1人暮らし世帯の入居者が死後1か月以上経って発見されることがあった。現在は高齢夫婦世帯が多いが、今後は配偶者の死亡によって1人暮らし世帯が増加する見込みである。保健師は住民と協働し、安心して暮らせるB地区になるよう取り組むことにした。まず、保健師は地域の実態把握を行うことにした。
人口2万人のA市にあるB地区は人口3,000人、老年人口割合は45%で単身の高齢者世帯が増加している。2年前に300戸の温泉付きのマンションが建設された。マンションの入居者の平均年齢は67.2歳で、都市部の会社を定年退職した者が多い。近所付き合いが少ないため、1人暮らし世帯の入居者が死後1か月以上経って発見されることがあった。現在は高齢夫婦世帯が多いが、今後は配偶者の死亡によって1人暮らし世帯が増加する見込みである。保健師は住民と協働し、安心して暮らせるB地区になるよう取り組むことにした。まず、保健師は地域の実態把握を行うことにした。
問 44
B地区の健康課題を明らかにするために情報を収集する対象で優先度が高いのはどれか。
- A市の老人クラブの参加者
- マンションの管理組合の長
- B地区の民生委員
- B地区の開業医
3
問 45
保健師はB地区のマンションの入居者の世代や背景が似ていることに着目し、入居者が捉えているB地区の交流に関する課題を把握したいと考えた。
その方法として最も適切なのはどれか。
その方法として最も適切なのはどれか。
- 地区踏査
- 電話インタビュー
- インターネットアンケート
- フォーカス・グループインタビュー
4
問 46
実態把握の結果、B地区のマンション入居者からは「近所付き合いがなく頼れる人がいないため、この先が不安」「定年退職後、趣味がないので外出する機会が少なく体力が落ちた」という意見が多かった。この調査結果をB地区の自治会長に説明したところ、「マンション入居者以外のB地区の人からも同様の意見を聞いている。近所付き合いのあるB地区にしていきたい」と話した。
B地区で保健師が取り組むことで最も適切なのはどれか。
B地区で保健師が取り組むことで最も適切なのはどれか。
- 健康相談会の開催
- 健康講座のオンライン開催
- 介護予防サービスの利用案内の全戸配布
- 75歳以上の住民への健康診査の受診勧奨
- B地区の住民へのウォーキングマップづくりの提案
5
次の文を読み47~49の問いに答えよ。
製造業のA社は従業員500名、平均年齢42歳である。高年齢労働者は現在20名だが、会社は高年齢労働者の活用を進めていく方針である。
製造現場で働く従業員(63歳、男性)が工場内の通路で転倒する事故が起きた。
事故後に、A社の保健師が安全管理者と面談した。安全管理者は「怪我が大したことなくてよかったが、どこで転ぶか分からないから怖い。貼り紙など注意喚起を行ってきたのに事故が起きた。高年齢労働者を製造現場で働かせるのは不安だ」と保健師に話した。
製造業のA社は従業員500名、平均年齢42歳である。高年齢労働者は現在20名だが、会社は高年齢労働者の活用を進めていく方針である。
製造現場で働く従業員(63歳、男性)が工場内の通路で転倒する事故が起きた。
事故後に、A社の保健師が安全管理者と面談した。安全管理者は「怪我が大したことなくてよかったが、どこで転ぶか分からないから怖い。貼り紙など注意喚起を行ってきたのに事故が起きた。高年齢労働者を製造現場で働かせるのは不安だ」と保健師に話した。
問 47
A社の保健師が安全管理者に対して行う提案で優先度が高いのはどれか。
- 高年齢労働者の体力測定
- 高年齢労働者に合った配置部署の検討
- 高年齢労働者に向けた注意喚起の強化
- 高年齢労働者の特性を踏まえた事故原因の検討
4
問 48
A社の保健師は、今後の事故予防の参考にするため高年齢労働者の数名に話を聞いた。「機器の警告音には注意している」「棚の影となる部分が暗く見づらい」「年齢だけで特別扱いはされたくない」「上司に会うたびに体調確認されるが、体調が悪ければ自分で伝える」という思いが聴取された。
高年齢労働者の事故予防対策として、保健師が会社に提案することで適切なのはどれか。
高年齢労働者の事故予防対策として、保健師が会社に提案することで適切なのはどれか。
- 警告音の音域を高音設定にする。
- 照明を増設する必要性を確認する。
- 体調確認は自己申告を基本とする。
- 作業スピードは他の労働者と同じにする。
2
問 49
A社の保健師は、高年齢労働者の数名を対象とした事故予防の聴取の際に、仕事のやりがいや職場への思いについても聞いた。「技能を生かして同じ場所で働けるのは安心」という肯定的な意見とともに、「契約の変更で給与が下がり、働きが評価されていない」「若い上司の指示に従うのは抵抗がある」「後輩たちから尊重されていない」という職場への不満が聴取された。
この情報をもとに保健師が企画する内容で優先度が高いのはどれか。
この情報をもとに保健師が企画する内容で優先度が高いのはどれか。
- 高年齢労働者を対象としたストレスコーピング学習会
- 若手の従業員を対象としたアサーショントレーニング
- 管理職を対象とした高年齢労働者の働き方を考える研修会
- 安全衛生委員会で部署別のストレスチェックの集団分析結果を共有
3
次の文を読み50~52の問いに答えよ。
A町は人口1万人で高齢化率40%、後期高齢者の割合が65%と高齢化が進行し、独居高齢者が多い。A町は広大な山間部を有し、山の中腹や谷合に集落が点在している。運動機能が低下すると坂が多いため閉じこもり傾向となる高齢者が多い。近年、介護認定率が急増しており、健康寿命を延伸し住み慣れた地域で生活できるよう、地域包括ケアシステムの構築をめざす取り組みが検討されている。
A町は人口1万人で高齢化率40%、後期高齢者の割合が65%と高齢化が進行し、独居高齢者が多い。A町は広大な山間部を有し、山の中腹や谷合に集落が点在している。運動機能が低下すると坂が多いため閉じこもり傾向となる高齢者が多い。近年、介護認定率が急増しており、健康寿命を延伸し住み慣れた地域で生活できるよう、地域包括ケアシステムの構築をめざす取り組みが検討されている。
問 50
A町の高齢者実態調査で、他町と比べ転倒の経験がある高齢者の割合が多かった。また、介護認定を受けていない高齢者の1日の歩数が1,000歩未満の割合が最も多く、このような高齢者を対象に3か月間の筋力トレーニングを実施することにした。
この取り組みは介護保険におけるサービス・事業のどれか。
この取り組みは介護保険におけるサービス・事業のどれか。
- 居宅介護支援
- 地域支援事業
- 介護予防サービス
- 地域密着型サービス
2
問 51
3か月間の筋力トレーニングの取り組み終了直後は参加者の運動機能は向上したが、1年後に介護認定を受けている参加者がいることが分かった。そのため、地域ケア会議で今後のA町の介護予防について検討することになった。
検討する内容で最も適切なのはどれか。
検討する内容で最も適切なのはどれか。
- 筋力トレーニングの質の向上
- 介護予防サービス事業所の誘致
- 筋力トレーニングの費用対効果
- 社会的交流を目的とした社会資源の創出
4
問 52
A町の町民のアンケートでは、終末期の療養場所として自宅を希望する者が6割であるが、実際に死亡場所が自宅であるのは1割程度である。そこで、終末期に町民が住み慣れた地域で療養できる体制の構築について検討した。
保健師の取り組みで優先度が高いのはどれか。
保健師の取り組みで優先度が高いのはどれか。
- 成年後見制度の普及
- 介護保険サービスの利用促進
- 在宅医療と介護の関係者の連絡会の企画
- 救急搬送時間の短縮に向けた検討会の企画
- 介護職を対象とした自動体外式除細動器〈AED〉の研修の実施
3
次の文を読み53、54の問いに答えよ。
Aさん(64歳、男性、要支援2)は妻(63歳)と2人暮らしである。5年前に歩行時の違和感を自覚し受診したところ、脊髄小脳変性症と診断された。Aさんは難病になったことに驚いたが徐々に受け入れ、妻の励ましやサポートを受けて生活してきた。最近、歩行時のふらつきが強くなったため「室内に手すりをつけたい」と保健師に相談した。
Aさん(64歳、男性、要支援2)は妻(63歳)と2人暮らしである。5年前に歩行時の違和感を自覚し受診したところ、脊髄小脳変性症と診断された。Aさんは難病になったことに驚いたが徐々に受け入れ、妻の励ましやサポートを受けて生活してきた。最近、歩行時のふらつきが強くなったため「室内に手すりをつけたい」と保健師に相談した。
問 53
Aさんの住宅改修について給付の根拠となる法律はどれか。
- 介護保険法
- 障害者基本法
- 高齢者の医療の確保に関する法律
- 難病の患者に対する医療等に関する法律〈難病法〉
1
問 54
住宅改修の後、保健師が1年に1回の家庭訪問を行い3年が経過した。ある日、妻から「通院治療を続けてきたが、最近、夫がよく転ぶようになり食事中もむせることが多くなりました。病気が悪くなってきているようで不安です」と相談があった。
保健師が確認する情報で優先度が高いのはどれか。
保健師が確認する情報で優先度が高いのはどれか。
- 妻の健康状態
- AさんのADL
- Aさんの世帯の経済状況
- Aさんの最近の食事内容
2
次の文を読み55の問いに答えよ。
A市は地場産業が主要産業の人口5万人の市である。平成30年度(2018年度)策定の自殺対策計画では数値目標として自殺者数の20%減少を掲げており、計画策定時に対策が優先された対象は60歳以上の男女と40~59歳の無職の男性であり、直近2年の自殺者総数は減少した。一方で、20歳代男女の自殺企図による救急搬送の件数は増加傾向にある。
A市は地場産業が主要産業の人口5万人の市である。平成30年度(2018年度)策定の自殺対策計画では数値目標として自殺者数の20%減少を掲げており、計画策定時に対策が優先された対象は60歳以上の男女と40~59歳の無職の男性であり、直近2年の自殺者総数は減少した。一方で、20歳代男女の自殺企図による救急搬送の件数は増加傾向にある。
問 55
今後のA市の20歳代への自殺対策として適切なのはどれか。2つ選べ。
- ソーシャルネットワーキングサービス〈SNS〉を活用した相談支援体制の強化
- 精神保健福祉相談の希望者を対象とする精神科医による診察の実施
- 特定健康診査・特定保健指導の場を活用したメンタルヘルス対策
- 年1回のストレスチェック実施の義務化
- ハローワークと連携した相談事業の実施
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