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第109回保健師国家試験

午後問題
問 31
要保護児童対策地域協議会の説明で正しいのはどれか。2つ選べ。
  1. 設置は国の努力義務である。
  2. 協議する対象には非行児童を含まない。
  3. 子育て世代包括支援センターを運営する。
  4. 居住実態を把握できない児童の情報を共有する。
  5. 支援対象となる児童と保護者の状況確認に関する役割分担を行う。
45
問 32
検疫所の説明で正しいのはどれか。2つ選べ。
  1. 保健所に設置されている。
  2. 海外感染症情報の収集と提供を行う。
  3. 感染症サーベイランスの分析を行う。
  4. 国内に常在しない感染症の病原体が侵入することを防ぐ。
  5. 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律〈感染症法〉に基づき業務を行う。
24
問 33
毒素型の食中毒の原因となる菌はどれか。2つ選べ。
  1. 赤痢菌
  2. サルモネラ菌
  3. ボツリヌス菌
  4. 黄色ブドウ球菌
  5. カンピロバクター
34
問 34
散布図から分かるのはどれか。2つ選べ。
  1. 相関
  2. 割合
  3. 中央値
  4. 年次推移
  5. はずれ値
15
問 35
感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律〈感染症法〉に統合され廃止された法律はどれか。2つ選べ。
  1. 後天性免疫不全症候群の予防に関する法律
  2. トラホーム予防法
  3. 狂犬病予防法
  4. 結核予防法
  5. らい予防法
14
次の文を読み36~38の問いに答えよ。
 人口約12万人のA市は30の地区に分かれており、各地区の人口は約2,000~6,000人である。近年、A市の肺がん検診受診者のうち精密検査が必要となった者の割合が徐々に増加している。また、特定健康診査受診者への問診から得られた喫煙者割合も県内のほかの市町村に比べて高い。
問 36
A市の保健師が各地区の特徴を把握するための情報で適切なのはどれか。
  1. 肺がん受療率
  2. 肺がんの標準化死亡比〈SMR〉
  3. 肺がん検診の年齢階級別受診率
  4. 肺がん要精密検査者の親の肺がん罹患状況
3
問 37
保健師による地域アセスメントの結果、B地区においては喫煙者を対象としたハイリスクアプローチが必要であることが分かり、禁煙教室を実施することになった。
プリシード・プロシードモデルを用いて禁煙教室を計画する場合の強化要因はどれか。
  1. 地区内の診療所の禁煙外来
  2. 教室参加者の家族や友人からの応援
  3. たばこの害に対する教室参加者の知識
  4. 禁煙できるという教室参加者の自己効力感
2
問 38
これまでの地域アセスメントを踏まえ、ポピュレーションアプローチとしてB地区住民を対象に「地区の子どもをたばこの煙から守る」をテーマとした健康づくりを推進することになり、保健師が実施案を作成することになった。
B地区のコミュニティ・エンパワメントが最も促進されるのはどれか。
  1. 喫煙者に受動喫煙の害について説明する。
  2. 他自治体の良い実践例を地区内に掲示する。
  3. 子どもにたばこの煙が身体に及ぼす影響を説明する。
  4. テーマに関心の高い育児グループと対策を検討する場を持つ。
4
次の文を読み39~41の問いに答えよ。
 A市は人口約3万人の高齢化率35.6%の市である。主要な産業は農業で、他市と比べ糖質の摂取量が多い特性がある。A市では近年、糖尿病性腎症による人工透析の新規患者数が増加している。
問 39
糖尿病性腎症の発症リスクがある地域住民を把握する方法で最も適切なのはどれか。
  1. A市の医師会との意見交換を行う。
  2. 国保データベース〈KDB〉を活用する。
  3. 生活習慣病予防教室の参加者リストを活用する。
  4. 健康増進計画策定時に市民に行った健康調査結果を活用する。
2
問 40
糖尿病性腎症の発症リスクを有する地域住民を把握した結果、A市では糖尿病の重症化を予防することを目的に、特定健康診査でヘモグロビンA1c〈HbA1c〉が8.0%以上で糖尿病治療を受けていない者への家庭訪問事業を行うことにした。
家庭訪問で保健師が把握する内容で優先度が高いのはどれか。
  1. 食生活の状況
  2. 運動習慣の有無
  3. 日常生活動作〈ADL〉
  4. 特定健康診査結果の理解の状況
4
問 41
A市では糖尿病性腎症を予防するため、糖尿病予防を重点的に行うことになった。
A市で行う糖尿病予防のポピュレーションアプローチの取り組みで最も適切なのはどれか。
  1. 公民館でのラジオ体操の実施
  2. 自治会の掲示板での禁煙の啓発
  3. 個別通知による特定健康診査の受診勧奨
  4. 広報誌でのバランスのとれた食生活の啓発
  5. ホームページで休養について正しい知識の提供
4
次の文を読み42~44の問いに答えよ。
 A君(6歳)は両親と3人家族で、現在保育所に通っている。3歳児健康診査の心理相談で療育教室への参加を勧められたが、これまで2回しか参加しておらず経過観察の対象となっている。就学予定の小学校で行われた就学時健康診断で、A君は常に動き回り目立つ存在だった。健康診断後の面接では母親はA君について「とても活発で元気な子なのですが、他の子のように座っていられないときもある」と話した。面接を担当した教員は、A君が学校で集団生活を送れるか不安に感じたため養護教諭に相談した。
問 42
就学時健康診断後、小学校が保護者の了解を得てA君の情報を収集することになり、養護教諭が担当することになった。
情報を収集する対象で優先度が高いのはどれか。
  1. 保育所の担任
  2. 地区担当の保健師
  3. 療育教室の指導員
  4. 3歳児健康診査時の心理相談担当者
1
問 43
教育委員会が主催して関係者と母親がA君の就学先について協議を行い、小児科の専門医を受診してから判断することになった。受診した結果、注意欠如・多動性障害〈ADHD〉疑いと診断され継続的なフォローが行われることになった。その結果を受けて再度、教育委員会で協議を行いA君は地元の小学校の通常の学級に在籍することが決まった。
入学前の面談で母親は「なぜAはあのように動き回るのでしょうか。病院に通うことになるとは思っていませんでした。私の育て方が悪かったのでしょうか。これからが心配です」と涙を浮かべながら話した。
このときの母親に対する養護教諭の発言で最も適切なのはどれか。
  1. 「お父さんとも話し合いの場をもちましょう」
  2. 「A君の行動や気持ちを理解していきましょう」
  3. 「3歳児健診で指摘されたことを振り返りましょう」
  4. 「A君のようなお子さんを持つ保護者の集まりに行ってみましょう」
2
問 44
入学直後、A君は授業中に教室の掲示物が気になると急に立ち上がって触ったり、廊下の人の行き来をずっと見たりしていることが多い。また、前の席の児童にいたずらをして担任から注意を受けると急に不機嫌になって教室を飛び出し、担任は目が離せないことが続いた。同級生とのトラブルも多いため、教頭、特別支援教育コーディネーター、養護教諭、担任、スクールカウンセラーが集まって校内委員会を開催し対応を検討した。
A君に対する学校の支援で適切なのはどれか。2つ選べ。
  1. 教室の掲示物を少なくする。
  2. 他の児童との学習活動を減らす。
  3. いたずらをしたら大声で注意する。
  4. A君の席を教室の出入口の近くにする。
  5. 教室を飛び出したときの居場所を確保する。
15
次の文を読み45~47の問いに答えよ。
 人口約3,300人のA町にあるB地区は人口約200人で商店や飲食店が連なっている地域である。B地区は高齢化率50%で、独居高齢者世帯も多い。早朝、B地区で大規模火災が発生し、死者が1名、重傷者が2名出ている。
問 45
A町は発災後すぐに災害対策本部を設置した。現在も延焼が続いている。
このときのA町の保健師の対応で適切なのはどれか。
  1. 全戸訪問による健康調査
  2. 仮設住宅への移行計画の作成
  3. 避難行動要支援者の個別確認
  4. 広域災害・救急医療情報システム〈EMIS〉の医療情報管理
3
問 46
B地区の建物の半数が焼失し、小学校の体育館に避難所が設置された。火災発生の翌日、B地区の担当保健師は避難所を訪問した。避難所には50人が避難していて、避難者のほとんどが独居で生活をしていた高齢者である。避難をしているCさん(80歳、男性、独居、介護認定なし)は、自分の荷物を置いている場所やトイレの位置が分からなくなることがあると保健師に話した。
Cさんに対するB地区の担当保健師の対応で最も適切なのはどれか。
  1. 要介護認定の申請を勧める。
  2. 認知症専門外来の受診に同行する。
  3. 福祉避難所に移動することを提案する。
  4. 認知機能について災害前後の変化を把握する。
4
問 47
火災発生から10日が経った。避難所で不眠を訴える住民が増え、イライラしている様子も見受けられる。B地区の担当保健師は、今後の避難住民の心のケアを検討していくために、精神保健福祉センターの精神科医師に応援要請を行った。
B地区の担当保健師が精神保健福祉センターの精神科医師に依頼する内容で適切なのはどれか。
  1. 保健師の地区活動における心のケアの方針に関する助言
  2. 避難住民を対象としたストレスチェックの実施
  3. 医療保護入院ができる医療機関の整備
  4. 睡眠障害を訴えている避難住民の診察
1
次の文を読み48~50の問いに答えよ。
 市の保健センターに勤務する新任期の保健師Aは、人事異動する中堅期の保健師Bの担当していたCさん(50歳、男性)を受け持つことになり、管理職の保健師が保健師Aのサポートを行うことになった。
 Cさんは統合失調症をもつ単身者で生活保護を受給している。2年前に生活保護の担当者から被害妄想を訴えてくると相談があり、保健師Bが援助を開始していた。援助開始当初は、Cさんは精神科の外来通院を中断しており、Cさんの問題行動に対して近隣からたびたび苦情や対応要請の連絡が入った。保健師に対しても警戒心が強かったが、保健師Bの援助により通院の再開に至っていた。
問 48
保健師Bが異動前の限られた期間内で、Cさんの引き継ぎのために保健師Aと一緒に訪問する対象者として優先度が高いのはどれか。
  1. Cさん
  2. Cさんの担当地区の民生委員
  3. Cさんの生活保護担当のケースワーカー
  4. Cさんについて苦情の連絡をしてきた近隣住民
1
問 49
保健師AはCさんの訪問を毎月継続し約1年が経過した。Cさんは外来通院を継続しており、近隣住民もCさんを見守ってくれている。管理職の保健師は保健師Aと面談し、これまでのCさんへの援助について評価し、今後について尋ねた。保健師Aは「このまま継続していけるとよいと思っているが、具体的なアイデアはまだ考えられていない」と話した。管理職の保健師は、保健師AがCさんを多方面から捉えて、より良い支援を計画できるようになってほしいと考えた。
管理職の保健師が保健師Aに勧めることで最も適切なのはどれか。
  1. Cさんとの会話のプロセスレコードを作成すること
  2. 保健師BにCさんへの対応について相談すること
  3. 事例検討会で他の保健師と意見交換をすること
  4. 通院先の精神科医からCさんの様子を聞くこと
3
問 50
Cさんは通院を継続しており、保健センターのデイケアにも通い続けている。デイケア担当者からCさんが就労を希望していることを聞き、保健師AはCさんの就労支援を行うことにした。
最初にCさんに提案する社会資源で適切なのはどれか。
  1. 就労移行支援
  2. ハローワーク
  3. 就労継続支援A型
  4. 就労継続支援B型
4
次の文を読み51~53の問いに答えよ。
 人口約10万人のA市で慢性腎臓病の予防に関する施策の策定をすることになった。その基礎資料を作成するために、ある一時点での慢性腎臓病の有無と高血圧の有無の関連を検討することにした。
問 51
この研究デザインはどれか。
  1. 横断研究
  2. 介入研究
  3. コホート研究
  4. 症例対照研究
  5. 生態学的研究
1
問 52
調査を実施する際に、市民全員を対象とすることは困難であると考えた。そのため、調査者の主観が介入しない方法で対象者を選ぶことにした。
適切な方法はどれか。
  1. 層化
  2. 標準化
  3. マッチング
  4. 無作為抽出
  5. 無作為化(割付)
4
問 53
対象者1,000人を選び出し、高血圧の有無と慢性腎臓病の有無を調査した結果を以下に示す。
問53の画像
高血圧「あり」の高血圧「なし」に対する慢性腎臓病「あり」のオッズ比を求めよ。
ただし、小数点以下の数値が得られた場合には、小数点以下第2位を四捨五入すること。

解答:.
00
11
22
33
44
55
66
77
88
99
30
次の文を読み54、55の問いに答えよ。
 住民から「最近、近所に引っ越してきた家族の3歳ぐらいの男の子が、毎日、昼ころから暗くなるまで1人で走り回っている。子どもを叱責する声と子どもの泣き声が何度も家の中から聞こえて気になる」と市の保健福祉センターに通告があった。
問 54
この通告について規定している法律はどれか。
  1. 母子保健法
  2. 児童虐待の防止等に関する法律〈児童虐待防止法〉
  3. 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律〈精神保健福祉法〉
  4. 配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律〈DV防止法〉
2
問 55
市の住民基本台帳から、家族は父親(24歳、会社員)、母親(20歳、無職)とAちゃん(3歳3か月、男児)の3人暮らしで、1か月前に転入していたことを把握した。
市の保健師の対応で優先度が高いのはどれか。
  1. 地域の育児サークルを紹介する。
  2. 居住地の児童委員に問い合わせる。
  3. 児童相談所の職員と家庭訪問をする。
  4. 市の3歳児健康診査の受診を勧奨する。
3
1-30
31-55