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第88回助産師国家試験

午後問題
次の文を読み〔問題1〕、〔問題2〕、〔問題3〕に答えよ。
 17歳の女子。高校3年生。「美しくなりたい」というやせ願望から1日2食の自己流ダイエットを始めた。その結果、身長160cm、56kgであった体重はこの1年間で41kgになった。6か月前から無月経、食欲不振になり、心配した母親とともに婦人科外来を受診した。妊娠の可能性はない。母親は女子が夜中に隠れて食べた後、無理に嘔吐するのを目撃している。女子は「受験のストレスを感じてはいるが、母親に無理やり連れてこられた。自分は太っている」と話している。
問 1
この女子の無月経はどれか。
  1. 視床下部性
  2. 下垂体性
  3. 卵巣性
  4. 子宮性
1
問 2
神経性食欲(思)不振症と診断された。
診断の根拠となる情報はどれか。
  1. 美しくなりたいという願望がある。
  2. 受験のストレスがある。
  3. 隠れ食いをしている。
  4. 太っていると感じている。
1. a、b2. a、d3. b、c4. c、d
4
問 3
女子への指導で適切なのはどれか。
  1. 「治療は短期間で終了します。」
  2. 「母親との関係の見直しが先決です。」
  3. 「体重が増えてもすぐに月経が回復するとは限りません。」
  4. 「将来妊娠に関する心配はありません。」
3
次の文を読み〔問題4〕、〔問題5〕、〔問題6〕に答えよ。
 34歳の経産婦。妊娠39週2日。陣痛発来のため入院した。身長155cm、体重68kg。子宮口8cm開大時に自然破水し、3,120gの児を正常分娩した。分娩所要時間は4時間であった。会陰切開せず裂傷もなかった。
 胎盤娩出直後の子宮底は臍下2横指で硬式テニスボール位の硬さであった。分娩第3期の出血量は200mLであった。分娩中から発汗が多量にあり口渇を訴えている。
問 4
この時点で最も優先度の高い対応はどれか。
  1. 乳頭への吸啜を促す。
  2. 水分摂取を促す。
  3. 子宮底の冷罨法をする。
  4. 休息を促す。
2
問 5
分娩2時間後、体温37.3℃、脈拍数72/分、血圧120/62mmHg。子宮底は臍下2横指、硬度良好で下腹部がやや膨隆し、第4期の出血量は80gであった。流血や尿意はみられない。
この時の対応で適切なのはどれか。
  1. 分娩室で経過観察する。
  2. 子宮底のマッサージをする。
  3. 抗菌薬を与薬する。
  4. 排尿を促す。
4
問 6
産褥3日。腋窩で体温が37.8℃となった。授乳しているが両乳房の緊満と熱感とがある。子宮底は臍下2横指で、赤色悪露が少量、授乳時に下腹部痛がある。残尿感や排尿時痛はない。
発熱の原因を判断するために有用なのはどれか。
  1. 尿培養検査
  2. 肘関節での体温測定
  3. 悪露の臭気の確認
  4. 会陰部の発赤や腫脹の観察
1. a、b2. a、d3. b、c4. c、d
3
次の文を読み〔問題7〕、〔問題8〕、〔問題9〕に答えよ。
 24歳の女性。反復する下腹部痛のため内科外来を受診した。内科的な精査では問題なく、産婦人科医の診察を受けることになった。淡黄色の帯下が時々みられ、頸管の炎症が認められクラミジア症と診断された。
問 7
パートナーへの指導で適切なのはどれか。
  1. 受診を勧める。
  2. 症状がなければ治療しなくてよい。
  3. 陰茎包皮下をよく観察する。
  4. 性交は制限しない。
1
問 8
「妊娠しているかもしれない」と訴えた。妊娠反応は陽性であった。
指導で適切なのはどれか。
  1. ニューキノロン系の抗菌薬が処方されると説明する。
  2. 症状が落ち着いたら薬剤は用いなくてよいと説明する。
  3. 切迫流早産を起こしやすいと説明する。
  4. 1週後にクラミジアの再検査を受けるよう勧める。
3
問 9
「妊娠中はできるだけ薬を使いたくない。治療しない場合の児への影響について教えてください」と質問があった。
説明で適切なのはどれか。
  1. 「赤ちゃんへの影響はありません。」
  2. 「80%の赤ちゃんが産道感染します。」
  3. 「出生後に結膜炎を起こすことがあります。」
  4. 「生後1週以内に肺炎を起こすことがあります。」
3
次の文を読み〔問題10〕、〔問題11〕、〔問題12〕に答えよ。
 32歳の初産婦。公立の幼稚園教諭。身長152cm、非妊時体重47kg。無月経と悪心とを主訴として来院し妊娠と診断された。経膣超音波検査では、1つの胎嚢(GS)の中に胎芽が2つあり、それぞれに心拍動が確認された。
問 10
可能性が高い診断はどれか。
  1. 1絨毛膜性双胎であり、1卵生である。
  2. 1絨毛膜性双胎であり、2卵生である。
  3. 2絨毛膜性双胎であり、1卵生である。
  4. 2絨毛膜性双胎であり、2卵生である。
1
問 11
その後異常なく経過し、妊娠24週0日の健康診査に来院した。体重55kg。血圧122/78mmHg。尿蛋白(-)、尿糖(-)、下肢に浮腫(+)。子宮底長28cm、腹囲92cm。胎児心拍数は第1児136bpm、第2児128bpm。Hb9.6g/dLで鉄剤が処方された。
この妊婦への保健指導で適切なのはどれか。
  1. 「療養援護による医療費の援助が受けられます。」
  2. 「2週後から産前休業が取れる時期です。」
  3. 「1日当たりの塩分摂取を5gにしましょう。」
  4. 「水分摂取を制限しましょう。」
2
問 12
27週0日に少量の性器出血と水様性帯下との増量があり受診した。内診所見は子宮口1cm開大、展退度50%。頸管粘液中癌胎児フィブロネクチン(-)、BTBは青変しなかった。分娩監視装置を装着すると、10~15分に1回の割合で子宮収縮が認められた。血圧136/90mmHg。尿蛋白(±)、下肢に浮腫(+)。超音波検査による推定児体重は、第1児840g、第2児790gであった。
判断で正しいのはどれか。
  1. 双胎間輸血症候群
  2. 重症妊娠中毒症
  3. 高位破水
  4. 切迫早産
4
次の文を読み〔問題13〕、〔問題14〕、〔問題15〕に答えよ。
 25歳の初産婦。妊娠26週で尿糖(2+)であった。1週後に尿糖を再検査した。朝食2時間後の尿糖は(2+)であったため、75gブドウ糖負荷試験を行った。血糖値は、負荷前110mg/dL、1時間値184mg/dL、2時間値146mg/dLで、妊娠糖尿病と診断され入院した。
問 13
入院時の身長155cm、体重52kg。
1日の摂取エネルギー量で正しいのはどれか。
  1. 1,300kcal
  2. 1,600kcal
  3. 1,900kcal
  4. 2,200kcal
2
問 14
入院2日目に1日血糖を測定した。結果は、朝食前76mg/dL、朝食2時間後118mg/dL、昼食前106mg/dL、昼食2時間後143mg/dL、夕食前98mg/dL、夕食2時間後136mg/dL、就寝前96mg/dLであった。
異常値を示しているのはどれか。
  1. 朝食2時間後
  2. 昼食前
  3. 夕食前
  4. 就寝前
2
問 15
食事療法のみで血糖のコントロールが良好になったため、食事療法を厳守することを指導され、妊娠29週0日に退院した。
退院時の説明で正しいのはどれか。
  1. 「血糖は良好な状態が維持されます。」
  2. 「血糖のコントロールが不良になったら運動療法を行いましょう。」
  3. 「血糖のコントロールが不良になったら経口血糖降下薬を使います。」
  4. 「血糖のコントロールが不良になったらインスリンを使います。」
4
次の文を読み〔問題16〕、〔問題17〕、〔問題18〕に答えよ。
 26歳の初産婦。妊娠40週2日。陣痛発来のため入院した。入院時に破水した。体温37.2℃、脈拍数86/分、血圧120/78mmHg。陣痛は5分間欠、発作は30秒。子宮口2cm開大、展退度50%、Station-3、硬度は中等度、位置は中央、矢状縫合は横径に一致していた。羊水の漏出は少量で混濁はない。ザイツ法(-)。児心音は母体の左臍棘線上で聴取される。胎児心拍に異常はない。
問 16
児頭の下降度の診断で適切なのはどれか。
  1. 児頭は骨盤内に固定している。
  2. 頤部は恥骨結合上縁より2横指上に触れる。
  3. 児頭先進部は坐骨棘よりも下降している。
  4. 恥骨結合後面は3分の2触知できる。
4
問 17
入院時の判断で適切なのはどれか。
  1. ビショップスコアは4点である。
  2. 児頭は第2回旋中である。
  3. 前期破水である。
  4. フリードマン曲線の活動期である。
1
問 18
この産婦のケアで適切なのはどれか。
  1. 排尿は導尿とする。
  2. 入浴を勧める。
  3. 排尿後の外陰部消毒を指導する。
  4. 抗菌薬を与薬する。
1. a、b2. a、d3. b、c4. c、d
4
次の文を読み〔問題19〕、〔問題20〕、〔問題21〕に答えよ。
 34歳の初産婦。妊娠37週5日。陣痛発来のため入院した。妊娠35週から下肢に浮腫が認められたが、血圧は正常で尿蛋白(-)であった。また児の発育も正常であった。入院時の血圧145/90mmHg、尿蛋白(±)、浮腫(2+)であった。胎児心拍に異常はなかった。陣痛が不規則であったため経過観察とした。2時間後強い頭痛と悪心とを訴え、血圧186/110mmHgで突然意識を失い、けいれんを起こした。
問 19
静脈路が確保された。
次に行うのはどれか。
  1. 急速な輸液
  2. 血圧降下薬の与薬
  3. 抗けいれん薬の与薬
  4. 利尿薬の与薬
3
問 20
種々の治療により意識は戻り、血圧は140/86mmHgに下降した。胎児心拍も正常である。
対応で正しいのはどれか。
  1. 経過観察する。
  2. 陣痛を促進する。
  3. 帝王切開術の準備を行う。
  4. 頭部CTまたはMRIを撮影する。
1. a、b2. a、d3. b、c4. c、d
4
問 21
母子ともに経過良好で退院することになった。この時の血圧は132/80mmHgであった。
今後の血圧についての保健指導で適切なのはどれか。
  1. 特に心配はない。
  2. 1か月健康診査で異常がなければ心配はない。
  3. 1年後異常がなければ心配はない。
  4. 自分で測定する習慣をつける。
4
次の文を読み〔問題22〕、〔問題23〕、〔問題24〕に答えよ。
 在胎41週で出生した新生児。胎児心拍モニタリングで遅発性徐脈を認めたため、吸引分娩となった。出生時、羊水は胎便で濁っていた。
問 22
児の出生体重は3,800gで、生後1分の児の状態は、四肢末梢にチアノーゼを認め、呼吸は浅く努力様であった。呼吸数60/分、心拍数180/分。四肢はやや屈曲していたが、あまり動かさず、吸引カテーテルの挿入に対しては顔をしかめる程度であった。
生後1分後のアプガースコアはどれか。
  1. 7点
  2. 6点
  3. 5点
  4. 4点
2
問 23
生後5分には筋緊張も改善し両手足もよく動かすようになり、アプガースコアは9点となったが、呻吟が残った。パルスオキシメータが装着され、酸素投与なしで経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)90%であった。
まず行われるべき対応はどれか。
  1. 胸部エックス線撮影
  2. 酸素投与
  3. 脳波検査
  4. 抗菌薬の与薬
1. a、b2. a、d3. b、c4. c、d
1
問 24
児についての判断で正しいのはどれか。
  1. 重症の新生児仮死である。
  2. 胎便吸引症候群が疑われる。
  3. ウィルソン・ミキティ症候群が疑われる。
  4. 腕神経叢麻痺が疑われる。
2
次の文を読み〔問題25〕、〔問題26〕、〔問題27〕に答えよ。
 19歳の初産婦。専業主婦。高校卒業後すぐに結婚した。正期産で正常分娩であった。産褥12日に病院の助産師による家庭訪問を受けた。児は人工栄養で体重増加は順調である。「母乳は子どもが嫌がるからあげていない。どうせ子どもはまだ分からないから、話しかけたり、あやしたりする気にならない」と言い、昼間は毎日テレビを見ている。里帰り中で、実母が仕事をしながら家事と沐浴とを行っている。夫は30歳の公務員で、ほとんど実家に来ない。自宅での子育ての支援者はいないという。
問 25
今後の対応で適切でないのはどれか。
  1. 児童相談所に通告する。
  2. 育児相談や子育て支援事業を紹介する。
  3. 再訪問を計画する。
  4. 保健センターと連携する。
1
問 26
利用できるのはどれか。
  1. 栄養食品の支給
  2. 出産育児一時金
  3. 児童扶養手当
  4. 養育医療
2
問 27
この母子が利用できる人的資源で適切でないのはどれか。
  1. 母子保健推進員
  2. 民生委員
  3. 婦人相談員
  4. 子育てボランティア
3
次の文を読み〔問題28〕、〔問題29〕、〔問題30〕に答えよ。
 35床の産科棟。休日の日勤帯で他部署に火災が発生し、避難命令を受けたことを想定して助産師の避難訓練を2週後に行うことにした。
問 28
避難訓練を行うにあたっての準備で必要性が低いのはどれか。
  1. 役割分担の明確化
  2. 避難路の徹底
  3. 非常持ち出し物品の確認
  4. 後方支援病院との連絡調整
4
問 29
避難訓練当日の助産師の役割と入院者の想定とは次のとおりである。
問29の画像
避難訓練当日の助産師の役割行動との組合せで適切なのはどれか。
1.
A(リーダー)
入院者への放送と指示
2.
B(分娩係)
E(産婦役)の分娩終了後に避難誘導の開始
3.
C(部屋係)
母子異室の母親の新生児室への誘導
4.
D(新生児係)
新生児の避難
2
問 30
避難誘導後にAが行うべき行動で優先度が高いのはどれか。
  1. 避難人数の確認
  2. トリアージタッグの確認
  3. 非常持ち出し物品の確認
  4. 妊産婦の健康状態の確認
1