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第98回助産師国家試験

午前問題
問 31
18歳の初産婦。妊娠40週0日で正常分娩した。産褥3日、訪室すると啼泣している児のそばでテレビを観ている。児の寝衣は汚れている。母乳分泌は良好で3時間ごとに授乳を行っているが「眠たいので子どもの世話は面倒だ」と言う。
適切な声かけはどれか。
  1. 「人工乳を足しましょう」
  2. 「母親の自覚を持ちなさい」
  3. 「赤ちゃんがかわいそうですよ」
  4. 「授乳間隔を延ばして休みましょう」
  5. 「一緒に赤ちゃんの着替えをしましょう」
5
問 32
糖尿病合併妊娠について正しいのはどれか。
  1. 経口血糖降下薬が治療の第一選択である。
  2. 妊娠中は糖尿病網膜症が悪化する危険性は低い。
  3. 胎児の先天奇形の発生率は妊娠初期の血糖値と関係しない。
  4. 妊娠中は食後2時間の血糖値120mg/dL以下を目標とする。
  5. 産褥期にはインスリンの必要量は増加する。
4
問 33
在胎37週3日、体重2,800gで出生した女児。生後30日に1か月児健康診査のため来院した。母乳栄養を行っており、この日の体重は3,600g。先天性代謝異常検査は全項目正常だが、母親は生後1か月になっても児の黄疸が遷延していることを気にしている。児の便の写真(別冊No.2)を別に示す。
この母親に対する黄疸の説明で最も適切なのはどれか。
問33の画像
  1. 「先天性甲状腺機能低下症の疑いがあります」
  2. 「体重増加不良により黄疸が長引いています」
  3. 「入院して光線療法を行う必要があります」
  4. 「母乳性黄疸であり、心配はいりません」
  5. 「直ちに黄疸の詳しい検査が必要です」
5
問 34
女性生殖器の外性器はどれか。2つ選べ。
  1. 陰核
  2. 処女膜
  3. 子宮
  4. 卵管
13
問 35
最終月経の開始から6週3日。尿検査で妊娠反応陽性を確認後2週が経過しているが、胎嚢が子宮内に確認できない。性器出血はない。
次に行う検査で適切なのはどれか。2つ選べ。
  1. 子宮卵管造影
  2. 尿蛋白量の測定
  3. 腟分泌物の細菌培養
  4. 内診による付属器周辺の圧痛の確認
  5. 血中ヒト絨毛性ゴナドトロピン〈hCG〉の測定
45
問 36
臨床的絨毛膜羊膜炎の診断基準に当てはまるのはどれか。2つ選べ。
  1. 羊水の混濁
  2. 子宮の圧痛
  3. 母体脈拍80/分
  4. 腟分泌物の増加
  5. 母体体温38.3℃
25
問 37
切迫子宮破裂で特徴的にみられるのはどれか。2つ選べ。
  1. 嘔吐
  2. 浮腫
  3. 過強陣痛
  4. 不穏状態
  5. 母体の徐脈
34
問 38
産褥期の肺塞栓症のリスク因子となるのはどれか。2つ選べ。
  1. 分娩誘発
  2. 前期破水
  3. 精神的な興奮
  4. 飲水量の制限
  5. 妊娠高血圧症候群
45
問 39
新生児の呼吸窮迫症候群〈RDS〉について正しいのはどれか。2つ選べ。
  1. 肺胞の表面張力は低下している。
  2. 糖尿病合併妊娠では発症頻度が上昇する。
  3. 破水後時間が経つと発症頻度は上昇する。
  4. マイクロバブルテストは診断に有用である。
  5. 酸素管理は動脈血酸素分圧〈PaO2〉を100Torr以上に保つ。
24
問 40
保健師助産師看護師法施行規則に規定されている助産録の記載事項はどれか。
2つ選べ。
  1. 妊娠高血圧症候群の妊婦の治療方針
  2. 産婦の配偶者の職業
  3. 保健指導の要領
  4. 産婦の性格
  5. 分娩経過
35
次の文を読み41~43の問いに答えよ。
 在胎30週3日、正常分娩で出生した男児。出生体重1,250g、身長38cm。出生直後に啼泣あり、羊水混濁はなかった。小児科医の蘇生処置後、直ちにNICUに入院した。保育器に収容され、体温36.1℃、呼吸数40/分、心拍数160/分、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉98%(保育器内酸素濃度25%)であった。
問 41
入院時の適切なケアはどれか。
  1. 人工換気を開始する。
  2. 頸部を前屈位に保持する。
  3. 直ちに糖水を経口投与する。
  4. 保育器内の設定温度を35.0℃にする。
4
問 42
生後12時間で周期性呼吸と左鎖骨下に心雑音が認められた。体温37.0℃、呼吸数52/分、心拍数180/分、血圧48/18mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉98%(保育器内酸素濃度25%)。
最も考えられる合併症はどれか。
  1. 未熟児無呼吸発作
  2. 未熟児動脈管開存症
  3. 一過性多呼吸〈TTN〉
  4. 呼吸窮迫症候群〈RDS〉
2
問 43
生後70日。修正週数40週、体重は2,150gとなり、近く退院予定である。助産師は母親から「退院後、感染に対してどのように気をつければよいでしょうか」と相談を受けた。
最も適切な対応はどれか。
  1. RSウイルス感染症の予防接種について話す。
  2. 退院後、半年間は受診時以外に外出をしないように話す。
  3. 早産児は一般の乳児よりも感染に対する抵抗力が高いと話す。
  4. 退院日から3か月以降に定期の予防接種を開始するように話す。
1
次の文を読み44~46の問いに答えよ。
 Aさん(38歳、初産婦)。分娩後7か月、母乳育児をしている。避妊法に関する相談で受診し経口避妊薬を開始したいという。身長160cm、体重68㎏。産褥3日に高血圧に対して降圧薬が処方され1か月内服した。現在は内服していない。1日20本喫煙している。
問 44
助産師は、このままでは経口避妊薬の内服は禁忌であると判断した。
判断した理由で正しいのはどれか。
  1. 肥満
  2. 喫煙
  3. 母乳育児中
  4. 分娩からの期間
  5. 降圧薬内服の既往
2
問 45
Aさんは「現在、コンドームで避妊している。夫は避妊にあまり協力的ではない。来月から仕事に復帰するので、今は妊娠したくない」と言う。
この場合、検討すべき避妊方法で適切なのはどれか。
  1. 基礎体温法
  2. 精管切除結紮術
  3. 子宮内避妊器具〈IUD〉
  4. コンドームの使用の継続
3
問 46
Aさんは「今の子どもが小学生になってから次の妊娠をしようと思っています」と話した。
説明すべき内容で最も適切なのはどれか。
  1. 妊孕力
  2. 各避妊法の失敗率
  3. 人工妊娠中絶の弊害
  4. 男性と女性の身体の仕組み
1
次の文を読み47~49の問いに答えよ。
 Aさん(33歳、初産婦)。妊娠36週3日。散歩中にサラサラと流れる出血があり、月経痛よりも強い持続的な下腹部痛を感じた。胎動は自覚しているが心配になり、Aさんは受診している病院に電話した。夫は自宅から1時間程度の場所にある職場で勤務中のため不在であった。
問 47
この時点での対応で適切なのはどれか。
  1. 「直ちに来院してください」
  2. 「夫が帰宅してから一緒に来院してください」
  3. 「入院に必要な物品を整えてから来院してください」
  4. 「しばらく様子を見て腹痛が持続しているなら来院してください」
1
問 48
来院時、Aさんは腹部の痛みを訴え苦悶様の表情をしている。子宮は持続的に固く触れる。体温36.8℃、呼吸数15/分、脈拍95/分、血圧130/80mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉100%。内診所見は、子宮口2cm開大、展退度40%、Station-2、第1頭位、未破水。子宮口から持続的な血性の液体流出を認める。このときの胎児心拍数陣痛図(別冊No.3)を別に示す。
胎児心拍数陣痛図で認める所見はどれか。
問48の画像
  1. 基線細変動の亢進
  2. 胎児心拍数基線の低下
  3. 遅発一過性徐脈
  4. 変動一過性徐脈
  5. 早発一過性徐脈
3
問 49
胎児心拍数陣痛図を確認した後の対応として適切なのはどれか。
  1. 歩行を促す。
  2. 帝王切開の準備を進める。
  3. 降圧薬の点滴静脈内注射を準備する。
  4. オキシトシン点滴静脈内注射を準備する。
  5. 胎児心拍数陣痛モニタリングを中止する。
2
次の文を読み50~52の問いに答えよ。
 Aさん(38歳、1回経産婦)。Aさんは第1子を3年前に病院で正常分娩し、現在の健康状態は良好である。妊娠が判明し、今回は助産所での出産を希望して妊婦健康診査を受けている。妊娠経過は順調である。
問 50
妊娠30週0日。Aさんは「上の子どもを出産に立ち会わせたいと思っています。でも、夫は子どもがショックを受けるのではないかと心配しています」と話した。
このときのAさんへの説明で最も適切なのはどれか。
  1. 「上の子の気持ちを大切にしましょう」
  2. 「子どもの立ち会いはやめた方がよいです」
  3. 「母親であるAさんの希望を第一に考えてください」
  4. 「赤ちゃんが出てくるところを見せないようにしましょう」
1
問 51
妊娠39週3日。Aさんは、自然に陣痛発来し助産所に到着した。入院時の内診所見は、子宮口4cm開大、Station+1、第2頭位。4時間後に子宮口全開大し、四つん這いの姿勢で分娩することになった。その後、順調に経過し児頭が娩出した。
第4回旋で児が顔を向ける方向はどれか。
  1. 産婦の腹側
  2. 産婦の背側
  3. 産婦の右方向
  4. 産婦の左方向
4
問 52
Aさんは、3,480gの女児を正常分娩で出産した。会陰裂傷第1度であったが縫合はしていない。産褥1日、Aさんは「お産のときに痔が出てしまいました。トイレで戻そうとしたのですが、痛くて触れません。妊娠中からありました。授乳で座っているのもつらいです」と話した。Aさんの脱肛は2cm×2cmの大きさで、腫脹がみられた。
Aさんへの対応で適切なのはどれか。
  1. 円座を利用するよう勧める。
  2. 授乳以外は横になるよう勧める。
  3. 肛門部に冷罨法を行うよう勧める。
  4. 臥床時は下肢を挙上するよう話す。
  5. 骨盤底筋訓練を実施するよう説明する。
1
次の文を読み53~55の問いに答えよ。
 Aさん(29歳、1回経産婦)。前回の出産は2年前であり、妊娠経過は順調で、微弱陣痛のため子宮収縮薬を使用し病院で正常分娩した。今回妊娠が判明し、妊娠18週0日に自宅での出産を希望して自宅分娩を扱う開業助産師を受診した。開業助産師は近隣の助産師と協力体制をとっている。
問 53
Aさんと初めて会った際の助産師の対応で最も適切なのはどれか。
  1. 自宅分娩の分娩費用を説明する。
  2. 自宅分娩の申し込みの手続きを行う。
  3. 自宅分娩を希望したことを称賛する。
  4. 自宅分娩には家族の理解が必要であることを説明する。
4
問 54
Aさんは、夫と子どもとの3人暮らし。自宅はマンションの4階で間取りは2LDKである。夫は会社員で育児には協力的である。
自宅分娩のために助産師が行う事前準備で適切なのはどれか。
  1. 助産師が待機する部屋を準備するようAさんに依頼する。
  2. 助産師が到着するまで何もしないように夫に説明する。
  3. 分娩時は子どもを預けるようにAさんに説明する。
  4. 分娩時の協力を近隣の助産師に依頼する。
4
問 55
妊娠39週5日。午前7時に陣痛が発来し、助産師がAさんの自宅に午前7時30分に到着した。到着時の内診所見は、子宮口6cm開大、展退度80%、Station+1。軽い努責感がある。胎児心拍数陣痛図で、胎児心拍数基線130bpm、30分前から陣痛発作に伴い最下点100bpmの緩やかに下降する徐脈が出現し、20~30秒で回復している。基線細変動は正常である。
この時点での助産師の対応として最も適切なのはどれか。
  1. Aさんに努責を促す。
  2. 嘱託医師に報告する。
  3. そのまま経過観察する。
  4. 急いで新生児蘇生の準備をする。
2
1-30
31-55