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第99回助産師国家試験

午後問題
問 31
助産業務ガイドライン2014における妊婦管理適応リストにおいて、連携する産婦人科医師と相談の上、協働管理すべき対象者はどれか。2つ選べ。
  1. 妊娠41週2日の妊婦
  2. 妊娠糖尿病の既往のある妊婦
  3. 妊娠33週で早産の既往のある妊婦
  4. 胎児発育不全〈FGR〉の既往のある妊婦
  5. 子宮筋腫核出術の2年後に妊娠した妊婦
14
問 32
深部静脈血栓症を疑うのはどれか。2つ選べ。
  1. 下肢の筋力が低下する。
  2. 歩行時に恥骨結合部が痛む。
  3. 下肢の皮膚に赤紫色の色調変化を認める。
  4. 下腿部周囲径の左右差が2cm以上である。
  5. 大腿から下腿の背側に放散するしびれがある。
34
問 33
Silverman〈シルバーマン〉スコアの項目はどれか。2つ選べ。
  1. 呼吸数
  2. 筋緊張
  3. 呼気性呻吟
  4. チアノーゼ
  5. 肋間腔の陥没
35
問 34
核黄疸のⅡ期症状はどれか。2つ選べ。
  1. 嗜眠
  2. 振戦
  3. 後弓反張
  4. 落陽現象
  5. 哺乳力の低下
34
問 35
児童虐待のうち、ネグレクトに相当するのはどれか。2つ選べ。
  1. 乳幼児を家に放置して外出する。
  2. 子どもの自尊心を傷つける発言をする。
  3. 子どもに不潔な下着を長期間着用させる。
  4. 子どもをポルノグラフィーの被写体にする。
  5. 子どもの前で配偶者やその他の家族に対し暴力を振るう。
13
次の文を読み36~38の問いに答えよ。
 Aさん(33歳、1回経産婦)。妊娠40週2日、6分ごとに1分間持続する規則的な子宮収縮を自覚して来院した。前日の妊婦健康診査時の経腹超音波検査の結果、胎児推定体重3,800g、AFI8.0。夫は出産の立会いを予定していたが仕事の都合で来院できなかった。
問 36
来院時の内診所見は、子宮口4cm開大、展退度50%、Station-2、子宮頸管の硬度は中、子宮口の位置は中央であった。腟鏡診では後腟円蓋に少量の血液が混じった帯下があり、BTB試験紙の色調の変化は認めない。子宮収縮時には会話が困難な程度の痛みを感じている。
来院時の助産診断で正しいのはどれか。
  1. 前期破水である。
  2. 羊水過少である。
  3. 児頭は陥入している。
  4. Bishop〈ビショップ〉スコアは6点である。
4
問 37
入院後1時間、陣痛間欠3~4分、陣痛発作40秒となり、下腹部と腰部との痛みが急激に増強した。Aさんは陣痛間欠時も体中に力が入っており「もう痛みに耐えられない。帝王切開にしてください」と不安そうな表情で訴えた。
Aさんの支援のための対応として最も適切なのはどれか。
  1. 楽な姿勢を一緒に考える。
  2. 痛みに耐えるように伝える。
  3. もっと頑張るように励ます。
  4. 帝王切開術の適応ではないことを説明する。
  5. 赤ちゃんが大きいため時間がかかることを伝える。
1
問 38
その後、順調に分娩が進行し、体重3,820gの女児を正常分娩で出産した。分娩所要時間は4時間30分、分娩第3期までの出血量は400mLであり、会陰裂傷第1度を認めた。分娩後1時間、バイタルサインに異常はない。外陰部にあてているパッドには少量の血液を認める。外陰部は対称性に軽度むくんでおり、圧痛はない。子宮底は臍下2横指の高さに硬く触れており、Aさんは下腹部の痛みを訴えて苦しそうにしている。
Aさんの症状について最も考えられるのはどれか。
  1. 後陣痛
  2. 膀胱炎
  3. 頸管裂傷
  4. 外陰部血腫
  5. 子宮復古不全
1
次の文を読み39~41の問いに答えよ。
 Aさん(25歳、初産婦)。既往歴に特記すべきことはない。妊娠経過は順調で、出産直後からの母児同室と母乳哺育とを希望していた。妊娠38週6日に陣痛発来で入院した。分娩第2期遷延のためオキシトシンを用いて陣痛を促進し、吸引分娩で娩出となった。児は、出生体重2,800gの男児でApgar〈アプガー〉スコアは1分後、5分後ともに9点であった。分娩所要時間22時間、分娩時出血量450mLで、会陰切開縫合術を受けた。分娩後2時間の母児の経過は良好であった。
問 39
分娩後3時間に訪室すると「傷がズキズキと痛みます」と訴えた。会陰部の観察をしたところ、創部に軽度の腫脹がみられたが離開や血腫はなかった。
このときの対応で最も適切なのはどれか。
  1. 会陰部の冷罨法を行う。
  2. 医師の診察を要請する。
  3. 仰臥位を保つよう勧める。
  4. 今は鎮痛薬を使えないと説明する。
  5. 痛みが紛れるよう児を抱くことを勧める。
1
問 40
Aさんは、産褥1日目から母児同室を開始しており1時間半から2時間おきに授乳をしていた。産褥2日の夕方、Aさんは「こんなに授乳しているのに、赤ちゃんはすぐに泣きます。母乳だけでは足りないのでしょうか」と話し、疲れた様子であった。児の体重は2,590g。乳房は熱感を帯びて張っており、乳頭を圧迫するとタラタラと乳汁が流れ出てくる。児の吸啜状態は良好で、排尿は5回/日、排便は2回/日であった。
Aさんの気持ちを傾聴した後の対応で最も適切なのはどれか。
  1. 人工乳を補足する。
  2. 夜間は授乳を休む。
  3. 時間を決めて授乳する。
  4. これまでのペースで授乳を続ける。
  5. 乳房緊満がなくなるまで搾乳する。
4
問 41
産褥5日、Aさんは児とともに退院した。産褥6日の夕方、産科病棟に電話がありAさんは「今トイレに行ったら、パッドに直径3cmほどの血の塊が出ていました。授乳後におなかが少し痛くなります。発熱はありません」と助産師に話した。
正常からの逸脱を判断するために確認する内容で優先度が高いのはどれか。
  1. 「授乳は母乳のみですか」
  2. 「陰部の傷は痛みますか」
  3. 「動悸やめまいはありますか」
  4. 「鮮やかな赤色の出血でしたか」
  5. 「排尿のとき痛みはありますか」
4
次の文を読み42~44の問いに答えよ。
 病院の助産師外来において、初回の妊婦健康診査時に、すべての妊婦を対象に自記式質問紙を用いてパートナーからのDV〈ドメスティック・バイオレンス〉のスクリーニングを導入することになった。
問 42
このときの対応で適切なのはどれか。
  1. スクリーニング結果は診療録には残さない。
  2. 自記式質問紙の記入は待合室で行うこととする。
  3. カップルカウンセリングをするための部屋を用意する。
  4. DV〈ドメスティック・バイオレンス〉に関する相談のためのホットラインの情報カードを女性用トイレに設置する。
4
問 43
Aさん(23歳、初産婦)。妊娠20週に初めて助産師外来を受診した。Aさんは、DV〈ドメスティック・バイオレンス〉のスクリーニングの結果が陽性であった。助産師が状況を聞くとAさんは「夫は仕事がうまくいかないと家で暴れる。先日、突き飛ばされて、肩をぶつけた。おなかを蹴られたこともある。これまで一人で悩んでいました。でも、誰にも言わないでください」と話した。Aさんの左肩にはあざがあった。
このときの助産師の対応で最も適切なのはどれか。
  1. Aさんの両親に情報提供をする。
  2. Aさんが帰った後、警察に通報する。
  3. 分娩終了後にAさんへの対応を検討する。
  4. Aさんに配偶者暴力相談支援センターの情報を提供する。
4
問 44
Aさんは弁護士に相談し、離婚を決意した。Aさんは正常分娩し、1か月健康診査で、新生児とともに来院した。「今は夫と別居しています。しかし、最近、夫から何度も電話があり、私と子どもに会いたいと言ってきている。もう夫に会うつもりはない。どうしたらよいのか」と話した。
助産師の対応として最も適切なのはどれか。
  1. 家の外には出ないように勧める。
  2. 児との面会について夫と直接話し合うよう勧める。
  3. 保護命令のための申し立てができることを情報提供する。
  4. Aさんの両親の立ち会いの下で、夫に子どもと面会させる。
3
次の文を読み45~47の問いに答えよ。
 Aさん(34歳、初妊婦、専業主婦)。既往歴に特記すべきことはない。身長156cm、非妊時体重52kg。妊娠7週2日、経腟超音波検査で胎児の心拍動が確認できた。1週前から起床時の胃部不快感があり、食欲が減退している。嘔吐は1日1回程度。
問 45
Aさんへの食事指導で正しいのはどれか。
  1. 「何回かに分けて少しずつ食べましょう」
  2. 「水分を摂り過ぎると嘔吐を誘発します」
  3. 「栄養バランスに留意して食材を選びましょう」
  4. 「食事の代わりにサプリメントを摂りましょう」
1
問 46
2週後、夫から外来に電話があり「しばらく食事の工夫をして様子をみていたがどんどん吐き気がひどくなり、現在、1日4、5回吐いている。食欲はほとんどなく、スポーツドリンクしかのどを通らないようだ。ずっとベッドに寝ている」と言う。妊娠9週3日、Aさんは夫に付き添われて受診した。下腹部痛や性器出血はない。顔色が悪くタオルを口元にあて、夫に支えられるようにして椅子に座っている。
入院の判断をするために重要な情報はどれか。
  1. 内診所見
  2. 吐物の内容
  3. 尿ケトン体
  4. 現在のBMI
3
問 47
入院後10日が経過し、安静および点滴治療によって症状は軽減してきた。訪室した助産師に対しAさんは「たくさん点滴しているので子どもに影響しないのか、とても心配です。インターネットで胎児の異常について検索してしまいます」とスマートフォンを持ちながら訴えた。
このときのAさんへの対応で最も適切なのはどれか。
  1. 「今はあなたの治療が最優先ですよ」
  2. 「両親学級を受講して正しい知識を得ましょう」
  3. 「インターネットの情報に惑わされてはいけません」
  4. 「入院中の出産経験者の方に相談されてはどうですか」
  5. 「主治医から現在の状態について説明してもらいましょう」
5
次の文を読み48~50の問いに答えよ。
 Aさん(36歳、初産婦)。2年前に人間ドックで高血圧を指摘されていたが、自覚症状はなく、特に医療機関には通院していなかった。妊娠7週0日の初診時、血圧150/90mmHg、尿蛋白(-)であり、食事指導を受けた。その後、血圧は130/80mmHg前後で推移した。妊娠35週3日の妊婦健康診査では、血圧164/100mmHg、尿蛋白3+、尿糖(-)、下腿の浮腫2+であった。同日、血圧管理を目的に入院し、安静によって血圧は142/88mmHgまで低下した。翌日、血圧140/82mmHg、尿蛋白定量2.5g/日であった。
問 48
Aさんのアセスメントで正しいのはどれか。
  1. 妊娠高血圧
  2. 妊娠高血圧腎症
  3. 加重型妊娠高血圧腎症
  4. HELLP症候群
  5. ネフローゼ症候群
3
問 49
その後も入院を継続し、血圧は安定していた。妊娠37週0日、Aさんは全身性のけいれん発作を起こし、血圧が190/122mmHgまで上昇した。
最初に行われる処置はどれか。
  1. 気道確保
  2. 起座位への体位変換
  3. 口腔内へのタオルの挿入
  4. 膀胱留置カテーテルの挿入
1
問 50
3分程度でけいれん発作は消失した。Aさんの意識はもうろうとしており、呼びかけにはうなずくが返答がない。脈拍80/分、血圧145/88mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉96%。NSTを開始したところ胎児心拍数は正常であった。
このときAさんに必要となる対応で正しいのはどれか。2つ選べ。
  1. 血液検査
  2. 輸血の準備
  3. 頭部CTの準備
  4. 分娩誘発の準備
  5. 気管内挿管の準備
13
次の文を読み51、52の問いに答えよ。
 Aさん(25歳、女性)。B型肝炎ウイルスキャリアで内科に定期的に通院している。HBs抗原陽性、HBe抗原陰性であることが判明しており、肝機能に異常はない。半年前に結婚し、妊娠を考えているが、子どもがB型肝炎ウイルスに感染する危険性を心配して助産師に相談した。
問 51
Aさんへの説明として正しいのはどれか。
  1. 「妊娠前にB型肝炎ワクチンの接種が必要です」
  2. 「主に子宮内で赤ちゃんに感染します」
  3. 「妊娠中にB型肝炎の治療を開始するのがよいです」
  4. 「感染を防ぐ目的で帝王切開術を行う必要はありません」
  5. 「出生直後に赤ちゃんに感染しているか確認します」
4
問 52
その後Aさんは妊娠し、妊娠経過は順調で2,850gの男児を病院で出産した。児は抗HBsヒト免疫グロブリンの投与とB型肝炎ワクチンの接種とを受け、退院した。産後10日目に助産師が家庭訪問した。Aさんは「母乳がすごく出ています。感染しないためには母乳をやめたほうがいいですか」と言う。
助産師の対応として適切なのはどれか。
  1. 「心配なら3か月の短期母乳栄養で人工乳に切り替えましょう」
  2. 「母乳を一度冷凍してから与えるようにしましょう」
  3. 「混合栄養に切り替えて母乳の量を減らしましょう」
  4. 「母乳をやめる必要はありません」
4
次の文を読み53~55の問いに答えよ。
 Aさん(35歳、初産婦)。妊娠39週4日。「赤ちゃんの動きがいつもに比べ少ないように思う」と電話連絡を助産師が受け、来院するように説明した。Aさんは夫に付き添われて来院した。来院時、体温36.5℃、脈拍91/分、血圧136/78mmHg。分娩監視装置を装着したところ胎児心拍数は130~140bpmであった。内診所見は、子宮口1cm開大、少量の出血がみられた。入院30分後に胎児心拍数が60~70bpmに低下し、体位変換をしたが回復しないため、助産師は酸素投与を行った。5分後に胎児心拍数が120~130bpmに回復したため、経過観察した。30分後に遅発性一過性徐脈が出現したため、初めて医師に連絡をした。
問 53
この経過において助産師の注意義務違反にあたる可能性のある行為はどれか。
  1. 電話を受けたときに医師に連絡しなかった。
  2. 来院時の状況を医師に連絡しなかった。
  3. 入院30分後に胎児心拍数が低下したときに医師に連絡しなかった。
  4. 医師に連絡せずに酸素投与を行った。
3
問 54
その後、緊急帝王切開術が行われ、Aさんは2,650gの男児を出産した。Apgar〈アプガー〉スコアは1分後1点、5分後5点。夫は医師から「赤ちゃんが生まれる前に胎盤が先に剝がれ、赤ちゃんの具合が悪くなったので緊急手術をしました。赤ちゃんの回復のために集中治療室のある病院へ搬送します」と説明を受けた。搬送後に夫はうつむいて頭を抱え「何が悪かったのでしょう。自分には何ができるのでしょうか」と言っている。
このときの夫への助産師の対応で最も適切なのはどれか。
  1. 「まずはゆっくり休んでください」
  2. 「今はAさんのそばについていてあげましょう」
  3. 「すぐに原因を調査する委員会が設置されます」
  4. 「胎盤が先に剝がれた原因について考えましょう」
2
問 55
その後、児は重度脳性麻痺となる可能性が高いと指摘された。Aさんが助産師へ「産科医療補償制度が受けられると聞いたのですが、詳しく教えてください」と話した。
説明で正しいのはどれか。
  1. 「原因分析の結果が家族に伝えられます」
  2. 「18歳まで経済的支援が受けられます」
  3. 「申請期限はありません」
  4. 「申請先は市町村です」
1
1-30
31-55