第93回看護師国家試験
午後問題
次の文を読み〔問題61〕、〔問題62〕、〔問題63〕に答えよ。
80歳の男性。痴呆があり、要介護3である。訪問看護を週に1回受けている。介護者は75歳の妻で膝関節痛がある。夫は妻の言うことを聞かず何度も同じことを聞いたり、お金や物がなくなったと騒ぐ。そのため妻は、腹を立てて大声で怒鳴ったり食事を食べさせないことが時々ある。また、夫が昔浮気をしていたことを思い出しては責め、失禁があってもおむつを換えようとしない。妻は、遠方に嫁いでいる2人の娘に迷惑はかけられないと思っている。
80歳の男性。痴呆があり、要介護3である。訪問看護を週に1回受けている。介護者は75歳の妻で膝関節痛がある。夫は妻の言うことを聞かず何度も同じことを聞いたり、お金や物がなくなったと騒ぐ。そのため妻は、腹を立てて大声で怒鳴ったり食事を食べさせないことが時々ある。また、夫が昔浮気をしていたことを思い出しては責め、失禁があってもおむつを換えようとしない。妻は、遠方に嫁いでいる2人の娘に迷惑はかけられないと思っている。
問 61
今起きている虐待はどれか。
- 性的虐待
- 身体的虐待
- 金銭的・物質搾取
- 介護拒否・放任
4
問 62
その後夫は、落ち着かない様子で妻の後ろをついて通るようになった。妻は膝関節痛に加え腰痛も強くなっており、不眠も続いている。「夜眠れないとき思い出すのは、夫が昔育児や義母の介護を手伝ってくれなかったことだ」と言う。
利用を検討するサービスで優先度が高いのはどれか。
利用を検討するサービスで優先度が高いのはどれか。
- 通所介護サービス
- 短期入所療養サービス
- 訪問介護サービス
- 給食サービス
2
問 63
サービスを利用して妻の疲れは軽減し、少し余裕が出てきたように見受けられた。しかし、虐待の可能性は依然として高い。
この時点の妻への対応で適切でないのはどれか。
この時点の妻への対応で適切でないのはどれか。
- これまでの自分の人生について語る機会をつくる。
- 今まで夫を傷つけてきたことに気付けるように関わる。
- 今後は虐待しないことを約束してもらう。
- 夫に対する現在の感情を話す機会をつくる。
3
次の文を読み〔問題64〕、〔問題65〕、〔問題66〕に答えよ。
ベロ毒素を産生する腸管出血性大腸菌による溶血性尿毒症症候群の2歳児。腹痛と頻繁に血性水様下痢便がみられ転院してきた。医師は「尿が出なくなれば血液透析が必要になる」と説明した。
ベロ毒素を産生する腸管出血性大腸菌による溶血性尿毒症症候群の2歳児。腹痛と頻繁に血性水様下痢便がみられ転院してきた。医師は「尿が出なくなれば血液透析が必要になる」と説明した。
問 64
入院時の看護で適切なのはどれか。
- 塩分制限は必要ない。
- 2人部屋に入院させる。
- ベロ毒素が陰性になるまで遊びを中止する。
- 体重測定は毎日行う。
4
問 65
子どもの状態のアセスメントで必要度の低い血液検査項目はどれか。
- 血小板
- ヘモグロビン
- 尿素窒素
- 血糖
4
問 66
入院して1週が過ぎ下痢は改善した。しかし、子どもは母親の姿が見えなくなると大泣きするようになった。
子どもの反応のアセスメントで適切なのはどれか。
子どもの反応のアセスメントで適切なのはどれか。
- 人見知りが強くなった。
- 母子相互作用が未確立である。
- 母親を安全基地としている。
- ベロ毒素による脳障害である。
3
次の文を読み〔問題67〕、〔問題68〕、〔問題69〕に答えよ。
正常分娩で出生した男児。両側完全唇裂と診断された。治療方針として、生後3か月で口唇裂の手術、1歳過ぎに口蓋裂の手術を行う予定である。母親は子どもを抱いたときにはかなりのショックを受けていたが、授乳の練習には熱心で哺乳量も順調に増加した。家族は両親と1歳の姉で、近くに祖母が住んでいる。
正常分娩で出生した男児。両側完全唇裂と診断された。治療方針として、生後3か月で口唇裂の手術、1歳過ぎに口蓋裂の手術を行う予定である。母親は子どもを抱いたときにはかなりのショックを受けていたが、授乳の練習には熱心で哺乳量も順調に増加した。家族は両親と1歳の姉で、近くに祖母が住んでいる。
問 67
使用する乳首で適切なのはどれか。
- ア
- イ
- ウ
- エ
2
問 68
退院直前になって母親は「お姉ちゃんがこの子の顔を嫌がるので、3か月後の手術まで入院させてほしい」と訴えた。
母親の反応はどれか。
母親の反応はどれか。
- 退行
- 投影
- 否認
- 昇華
2
問 69
1年後、口蓋裂の手術のために入院した。入院中、母親が面会のため毎日通院するので、2歳となった姉は保育所の延長保育を利用している。1週が過ぎたころから、姉は母親が夕食の準備を始めるとぐずり、頻繁に抱っこを求めるようになった。母親は「お姉ちゃんの食事だけでも早く準備したいのに、最近はますます私にまとわりついてかんしゃくを起こすこともある」と訴える。
母親への対応で最も適切なのはどれか。
母親への対応で最も適切なのはどれか。
- 「お姉ちゃんをおんぶして夕食を作りましょう。」
- 「お姉ちゃんに繰り返し説明しましょう。」
- 「夕食の準備の間、おばあちゃんに遊んでもらいましょう。」
- 「このまましばらく様子をみましょう。」
1
次の文を読み〔問題70〕、〔問題71〕、〔問題72〕に答えよ。
1歳6か月の女児。両親との3人家族。6か月健康診査時に首がすわっていなかったため専門医の受診を勧められた。様子を観察しながら諸検査を行った結果、最近になって脳性麻痺と診断された。
1歳6か月の女児。両親との3人家族。6か月健康診査時に首がすわっていなかったため専門医の受診を勧められた。様子を観察しながら諸検査を行った結果、最近になって脳性麻痺と診断された。
問 70
診断の手がかりとなったのは図の反射であった。
この反射はどれか。
この反射はどれか。
- モロー反射
- 手掌把握反射
- 交叉性伸展反射
- 非対称性緊張性頸反射
4
問 71
治療・訓練の開始時期で適切なのはどれか。
- すぐに
- 首がすわったら
- 座位ができたら
- 拘縮が認められたら
1
問 72
まもなくけいれん発作を起こすようになり、入院して抗けいれん薬による治療を受けた。退院時、フェノバルビタールが朝、夕2回/日、抱水クロラール坐薬が頓用で処方された。3か月後のある日の夕方、母親から「今朝の薬を飲ませ忘れてしまいました。退院後けいれんは起きていないけれど、どうしたらよいですか」と電話があった。
対応で適切なのはどれか。
対応で適切なのはどれか。
- すぐに病院へ連れて来るように伝える。
- 抱水クロラール坐薬を使用するように伝える。
- 夕方の薬を処方どおり飲ませるように伝える。
- 忘れた理由を詳細に尋ねる。
3
次の文を読み〔問題73〕、〔問題74〕、〔問題75〕に答えよ。
52歳の女性、会社員。現在夫と二人暮し。2人の子どもは親元を離れて暮らしている。約1年前から月経が不規則になってきた。「最近、急に汗が出ますし、肩こりもひどく仕事に集中できません」と訴え外来を受診した。
52歳の女性、会社員。現在夫と二人暮し。2人の子どもは親元を離れて暮らしている。約1年前から月経が不規則になってきた。「最近、急に汗が出ますし、肩こりもひどく仕事に集中できません」と訴え外来を受診した。
問 73
主訴の原因で考えられるのはどれか。
- エストロゲンの減少
- 卵巣刺激ホルモンの減少
- 黄体化ホルモンの減少
- プロゲステロンの減少
1
問 74
「大学生になった娘もこのごろは、電話一本かけてきません。子どもがどうしているかと思うと、寂しくって胸がかきむしられるようです。居ても立ってもいられません」と話す。夫は仕事が忙しく、帰宅時間も遅く休日もほとんど家にいない状況であると言う。
女性の状態はどれか。
女性の状態はどれか。
- 燃えつき症候群
- エディプスコンプレックス
- ヒステリー
- 空の巣症候群
4
問 75
問診で咳やくしゃみ時に尿漏れがあることがわかった。「この年で尿が漏れるなんて恥ずかしい」と言う。
指導内容で適切なのはどれか。
指導内容で適切なのはどれか。
- 骨盤底筋体操をする。
- 排尿間隔を徐々に長くする。
- 水分摂取を制限する。
- ガードルを着用する。
1
次の文を読み〔問題76〕、〔問題77〕、〔問題78〕に答えよ。
22歳の初産婦。妊娠38週2日で2,820gの男児を正常分娩した。母乳栄養を希望し、自律授乳を行っている。乳房の形はⅡa型で短乳頭気味であった。産褥3日、児は乳頭を口に含んだが上手く吸啜できずに泣き出した。吸啜させようとしているうちに啼泣は激しくなった。母親は「突然どうしたんでしょう。夜も寝ないで頑張って授乳してきたのに、私も疲れてしまいました」と看護師に訴えた。乳管開通は良好で、乳房は乳輪部も緊満していた。児のバイタルサインは安定しており、体重は昨日より10g増加し2,715gであった。
22歳の初産婦。妊娠38週2日で2,820gの男児を正常分娩した。母乳栄養を希望し、自律授乳を行っている。乳房の形はⅡa型で短乳頭気味であった。産褥3日、児は乳頭を口に含んだが上手く吸啜できずに泣き出した。吸啜させようとしているうちに啼泣は激しくなった。母親は「突然どうしたんでしょう。夜も寝ないで頑張って授乳してきたのに、私も疲れてしまいました」と看護師に訴えた。乳管開通は良好で、乳房は乳輪部も緊満していた。児のバイタルサインは安定しており、体重は昨日より10g増加し2,715gであった。
問 76
児が吸啜できなくなった原因はどれか。
- 母親の分泌不足
- 乳輪部の緊満
- 乳房の形態
- 吸啜力の低下
2
問 77
児の哺乳量の指標にならないのはどれか。
- 体重
- 排尿回数
- 機嫌
- 溢乳回数
4
問 78
産褥4日、家族計画についての指導後、「3年間は避妊したいので、コンドームだけでは不安です。お話にあったIUDを使いたいと思います」と話している。
説明で適切なのはどれか。
説明で適切なのはどれか。
- 「IUDの挿入は月経再来後になります。」
- 「IUDを挿入すると授乳できなくなります。」
- 「コンドームはIUD挿入後1か月以降必要ありません。」
- 「IUDは挿入後6か月で入れ替えをします。」
1
次の文を読み〔問題79〕、〔問題80〕、〔問題81〕に答えよ。
30歳の初産婦。妊娠32週、切迫早産のために入院した。痛みを伴わない3~4分周期の弱い子宮収縮が認められ、子宮口2cm開大であった。塩酸リトドリンの持続点滴静脈内注射が開始され、トイレと洗面以外はベッド上安静である。医師からは、現在の治療を2~3週継続すると説明された。
30歳の初産婦。妊娠32週、切迫早産のために入院した。痛みを伴わない3~4分周期の弱い子宮収縮が認められ、子宮口2cm開大であった。塩酸リトドリンの持続点滴静脈内注射が開始され、トイレと洗面以外はベッド上安静である。医師からは、現在の治療を2~3週継続すると説明された。
問 79
起こりうる問題はどれか。
- 徐脈
- 膀胱炎
- 便秘
- 筋力低下
1. a、b2. a、d3. b、c4. c、d
4
問 80
治療によって子宮収縮は軽減したが、体動で子宮収縮が増強するため治療を継続し妊娠35週0日を迎えた。胎児の推定体重は2,450gである。
今、出産した場合の新生児の状況で適切なのはどれか。
今、出産した場合の新生児の状況で適切なのはどれか。
- アプガースコアは5分後7以下になる。
- 出生直後から抗菌薬を与薬する。
- チューブでミルクを開始する。
- 人工呼吸器なしで呼吸できる。
4
問 81
妊娠36週2日、2,330gの児を分娩した。800mLの弛緩出血があり、分娩直後は児の顔を見ただけであった。分娩24時間後、児との面会を楽しみにして看護師と新生児室を訪室した。「他のお子さんと比べるととても小さい気がします」と児を見て涙を流す。「赤ちゃんに触ってみましょう」との看護師の言葉に「壊れそうな気がして」と手が出ない。
看護師の関わりで最も適切なのはどれか。
看護師の関わりで最も適切なのはどれか。
- 「今回は帰りましょう」と話す。
- 「大丈夫ですよ」と児に触ってみせる。
- 母親の手を引き寄せ、児に触らせる。
- 母親を座らせ児を抱かせる。
2
次の文を読み〔問題82〕、〔問題83〕、〔問題84〕に答えよ。
21歳の女性。短大を卒業後親から独立し現在一人暮らし。過干渉な母親から付き合っている男性と別れるように言われた。「これからも母親がすべてに干渉してくると思うと何もかもいやになる」と交際相手に訴えた。最近は眠ろうとしても何時間も寝付けず、朝も起きられないため仕事もやめてしまった。食欲はなく体重はこの2週で5kg減少したため精神科外来を受診し開放病棟へ任意入院した。入院時患者の身長は160cm、体重は41kgである。入院後睡眠薬が処方された。
21歳の女性。短大を卒業後親から独立し現在一人暮らし。過干渉な母親から付き合っている男性と別れるように言われた。「これからも母親がすべてに干渉してくると思うと何もかもいやになる」と交際相手に訴えた。最近は眠ろうとしても何時間も寝付けず、朝も起きられないため仕事もやめてしまった。食欲はなく体重はこの2週で5kg減少したため精神科外来を受診し開放病棟へ任意入院した。入院時患者の身長は160cm、体重は41kgである。入院後睡眠薬が処方された。
問 82
睡眠障害はどれか。
- 熟眠障害
- 早朝覚醒
- 中途覚醒
- 入眠障害
4
問 83
入院時の状態はどれか。
- 摂食障害
- 適応障害
- 記憶障害
- 行為障害
2
問 84
入院時の看護で優先度が高いのはどれか。
- 母親との関係を詳細に聞く。
- 心配しないよう説明する。
- 心身の休息を確保する。
- 自殺を予防する。
3
次の文を読み〔問題85〕、〔問題86〕、〔問題87〕に答えよ。
48歳の男性。統合失調症(精神分裂病)の診断で入院し、3か月の治療を受けて退院した。合併症はみられない。アパートで一人暮らしを始めたが、前回退院後拒薬がみられたため、主治医の指示により退院と同時に医療機関の訪問看護部門による訪問看護が開始された。アパートは閑静な住宅地にあり、訪問中にほとんど騒音は聞こえない。訪問の頻度は週1回であった。
48歳の男性。統合失調症(精神分裂病)の診断で入院し、3か月の治療を受けて退院した。合併症はみられない。アパートで一人暮らしを始めたが、前回退院後拒薬がみられたため、主治医の指示により退院と同時に医療機関の訪問看護部門による訪問看護が開始された。アパートは閑静な住宅地にあり、訪問中にほとんど騒音は聞こえない。訪問の頻度は週1回であった。
問 85
患者は退院後常に耳栓をし、訪問看護師が来ると外していた。
この状況の原因で正しいのはどれか。
この状況の原因で正しいのはどれか。
- 思考奪取
- 被影響体験
- 幻聴
- 思考吹入
3
問 86
患者は電話を設置することをいやがり、次回の訪問予定は、訪問時に看護師と打ち合わせることになっていた。ある日、訪問看護の他の対象者が急変して予定が変更になったが、訪問看護師はそれを患者に知らせることができなかった。15分遅れて患者宅に到着したところ、患者はドアを開けようとせず「馬鹿にしているなら帰れ」と怒鳴った。
対応で誤っているのはどれか。
対応で誤っているのはどれか。
- 怒りすぎるのは良くないと説明する。
- 時間に遅れた理由を説明する。
- 時間に遅れたことを謝罪する。
- 馬鹿にしているのではないことを説明する。
1
問 87
患者は2週に1回の外来受診の際、「訪問看護は1か月拒否する」と主治医に伝えた。主治医と訪問看護部門のスタッフは、ケースカンファレンスを開いて今後の対応を話し合った。
対応で適切なのはどれか。
対応で適切なのはどれか。
- 拒薬防止のため訪問看護は継続する。
- 再開を前提に1か月訪問を中断する。
- 訪問看護は今後適用しない。
- 至急入院の手続きをとる。
2
次の文を読み〔問題88〕、〔問題89〕、〔問題90〕に答えよ。
48歳の女性。甲状腺の腫脹を認め、精査目的で内科病棟に入院した。入院時は穏やかで食欲もあった。しかし、同日から不眠になり3日後には病棟内を動き回り、看護師にとりとめのない話を繰り返すようになった。不眠は継続し入院5日には話の内容は誇大的になり、行動面も看護師の話す言葉じりをとらえてはすぐに怒り出すようになった。
48歳の女性。甲状腺の腫脹を認め、精査目的で内科病棟に入院した。入院時は穏やかで食欲もあった。しかし、同日から不眠になり3日後には病棟内を動き回り、看護師にとりとめのない話を繰り返すようになった。不眠は継続し入院5日には話の内容は誇大的になり、行動面も看護師の話す言葉じりをとらえてはすぐに怒り出すようになった。
問 88
受け持ち看護師は主治医に相談し、精神科医に診察を依頼することになった。
この活動はどれか。
この活動はどれか。
- インフォームドコンセント
- ケアネットワーク
- ケアマネジメント
- コンサルテーションリエゾン
4
問 89
看護で適切なのはどれか。
- 家族の面会を増やす。
- 長時間の関わりは避ける。
- 他の患者との交流を促進する。
- 行動範囲を拡大する。
2
問 90
精神科医の診察の結果、内科の検査・治療と並行して抗躁薬の内服が開始された。服薬開始1週後、患者が「手が震える」と訴えた。
優先度が高い血液検査はどれか。
優先度が高い血液検査はどれか。
- カリウム
- リチウム
- サイロキシン(T4)
- アンモニア
1. a、b2. a、d3. b、c4. c、d
3