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第107回保健師国家試験

午後問題
問 31
学校保健安全法に基づく児童生徒の定期健康診断で正しいのはどれか。2つ選べ。
  1. 学校行事に位置づく教育活動として行われる。
  2. 毎学年5月末日までの間に実施する。
  3. 座高は小学校低学年で測定する。
  4. 実施主体は教育委員会である。
  5. 結果に基づき事後措置を行う。
15
問 32
学校における保健教育で適切なのはどれか。2つ選べ。
  1. 小学校の保健の授業は5年生から行う。
  2. 教育基本法に指導内容が規定されている。
  3. 保健指導は養護教諭が中心となって行う。
  4. 生涯にわたって健康に生きるための能力の育成を目標にする。
  5. 養護教諭は1年以上勤務する場合に保健の授業を担当できる。
34
問 33
事業者が実施する一般健康診断の定期健康診断で正しいのはどれか。2つ選べ。
  1. 基本検査項目に検便を含める。
  2. 6か月以内ごとに1回実施する。
  3. 一般健康診断の結果は5年間保存する。
  4. 異常所見のある場合は必要に応じて就業上の措置を講ずる。
  5. 常時20人以上の労働者を使用する事業者は所管労働基準監督署長に結果を報告する。
34
問 34
平成29年(2017年)における精神疾患の患者に関する動向について適切なのはどれか。2つ選べ。
  1. 入院患者は外来患者より少ない。
  2. 措置入院患者は、入院患者の0.6%である。
  3. 精神病床における平均在院日数は300日以上である。
  4. 平成20年(2008年)と比較して患者数は減少している。
  5. 入院患者の5割以上がAlzheimer〈アルツハイマー〉病である。
12
問 35
計算するときに人年法を用いるのはどれか。2つ選べ。
  1. 死亡率
  2. 有病率
  3. 被患率
  4. 有訴率
  5. 罹患率比
15
次の文を読み36~38の問いに答えよ。
 Aさん(45歳、男性、営業職)。妻(44歳)と長男(高校生)の3人家族。事業所の定期健康診断の結果、BMI30、血圧値145/88mmHgで、医師から体重減少と塩分制限を指導された。Aさんは保健師の指導を受けた時「帰宅が遅いので夕食の時間は遅くなり、お腹が空いているので早食いになる。昼食は職場の食堂で食べているが定食よりもラーメン大盛りが多い。まだ若いので少しくらい血圧が高くても大丈夫。しかし、妻からは『あなたの体重が増えてきたので心配。一緒に痩せよう』と言われている」と語った。
問 36
Aさんの話した内容からプリシード・プロシードモデルで確認できるのはどれか。
  1. 遺伝
  2. 強化要因
  3. 実現要因
  4. 前提要因
2
問 37
事業所の保健師はAさんに2回目の面接を行った。自分の健康をどう思っているのかを尋ねると「太っている自覚がある。スポーツジムに入会したことがあるが3日しか通わずにやめてしまった。妻も心配しているので、ラーメンは大盛りから並にした」という答えが返ってきた。
Aさんの自己効力感を高めるための支援はどれか。
  1. 昼食は定食にするよう指導する。
  2. 今後起こりうる病気について説明する。
  3. スポーツジムを3日でやめた理由を聞く。
  4. ラーメンを大盛りから並にしたことを支持する。
4
問 38
3か月後、事業所の保健師は3回目の面接を行った。Aさんは「通勤手段を自転車に替え、土日も1時間のウォーキングを行い体重が3kg減少した。体調も良い」と嬉しそうに語った。しかし、血圧値は改善しなかったため、保健師はAさんの食事内容を確認しながら、血圧値と体重、減塩食との関係を具体的に説明した。
Aさんが血圧を下げる更なる生活改善に取り組むためのコーチングの手法を用いた保健師の声かけはどれか。
  1. 「運動強度を上げてみましょう」
  2. 「家族と一緒に減塩食を食べましょう」
  3. 「塩分摂取量を1日7g以下にしましょう」
  4. 「面接を踏まえて何ができると思いますか」
4
次の文を読み39~41の問いに答えよ。
 Aさん(80歳、男性)。1人暮らし。自宅で転倒し、腰椎圧迫骨折の治療のために1か月間入院し、自宅に退院した。退院後は整形外科に定期的に通院している。要介護認定を申請し要支援1と認定されたが、介護保険サービスは利用していない。自宅は団地で4階建ての3階に居住しておりエレベーターはない。Aさんの退院から1か月後、団地の担当民生委員からAさんの状態について、地域包括支援センターの保健師に相談があった。入院前、Aさんは団地の集会所で行われている高齢者サロンによく参加していたが、退院後は来ることが少なくなったという。高齢者サロンの参加者に聞くと「Aさんが、病院には通っているがサロンに行くのは億劫だ、と言っていた」とのことであった。
問 39
保健師はAさんの状況を把握するため、民生委員と一緒に家庭訪問を行うことにした。
家庭訪問時に収集する情報として優先度が高いのはどれか。
  1. 生活史
  2. 家族関係
  3. 経済状況
  4. 通院頻度
  5. 日常生活動作〈ADL〉
5
問 40
Aさんは「退院してから家では普通に過ごしているが、外に出ると疲れがたまる。買い物には行くが、荷物を持って階段を昇るのがつらい」と話した。
保健師がAさんに利用を提案するサービスで適切なのはどれか。
  1. 介護予防ケアマネジメント
  2. 介護予防居宅療養管理指導
  3. 通所リハビリテーション
  4. 地域密着型通所介護
1
問 41
保健師は団地の民生委員から「団地の高齢者は、Aさん以外にも転倒をきっかけに、階段昇降が困難になる高齢者が多い」との相談を受け、集会所で行われている高齢者サロンの場で転倒予防の取り組みを行うこととした。
この取り組みに活用できる事業で適切なのはどれか。
  1. 地域生活支援事業
  2. 日常生活自立支援事業
  3. 在宅医療・介護連携推進事業
  4. 地域リハビリテーション活動支援事業
4
次の文を読み42~44の問いに答えよ。
 Aちゃん(2歳、男児)。出生体重2,800g。先天性疾患により出生直後から呼吸管理、経管栄養が必要であったが、成長とともに状態が安定し、2週後に退院することとなった。現在、呼吸状態は問題ないが、経管栄養は今後も継続して行うため、両親は必要な手技を習得中である。発語は1、2語あり、最近自立歩行を始めたところである。
家族は両親と兄(5歳)である。両親は共働きで、母親は自宅近くでパートタイムの仕事をしており、兄は市の保育所に通っている。退院にあたり、今後の生活について母親から市の障害福祉課に相談があり、担当保健師が家庭訪問を行った。
問 42
Aちゃんが現在利用することが可能なサービスはどれか。2つ選べ。
  1. 日常生活用具給付等事業
  2. 養育支援訪問事業
  3. 児童発達支援事業
  4. 保育所等訪問支援
  5. 児童扶養手当
正答なし
採点除外等の扱いをした問題
1)採点上の取り扱い
採点対象から除外する。
2)理由
選択肢において正解を得ることが困難なため。
問 43
母親は「兄が保育所で毎日とても楽しく過ごしているので、Aにも同じように他の子どもたちと一緒にいろいろな経験をさせたいと思っています。Aを保育所に入所させることはできるでしょうか」と話した。
この母親の思いを支援する上で基盤となる概念として適切なのはどれか。
  1. コミュニティオーガニゼーション
  2. ピアエデュケーション
  3. グローバリゼーション
  4. インクルージョン
4
問 44
保育所への入所を希望している母親に対する保健師の説明で適切なのはどれか。
  1. 「経管栄養を行う看護師の配置を市で検討します」
  2. 「身体障害者手帳を取得していることが必要です」
  3. 「保護者が保育所に付き添うことが必要です」
  4. 「障害児福祉施設の通所が適しています」
1
次の文を読み45~47の問いに答えよ。
 建設業のA社は、毎年ストレスチェックを従業員に実施している。会社全体の健康リスクの評価において、多くの従業員が高ストレスに該当した。A社の保健師が部門ごとに分析したところ、設計部は他の部署より高ストレスの該当者の割合が高かった。
問 45
高ストレスの該当者への保健師の対応で適切なのはどれか。
  1. 医師との面接の案内を送付する。
  2. 職務上の配慮を人事部に提案する。
  3. 該当者を集めてセルフケア研修を開催する。
  4. 管理者に、該当者が記入したストレスチェック票を渡す。
1
問 46
設計部のストレスチェックの集団分析を行った結果、同僚からの支援が少ないことが分かった。
保健師として、設計部に関して優先的に取り組むのはどれか。
  1. 人事課長に結果を報告する。
  2. 産業医による職場巡視を行う。
  3. 設計部管理者から職場の状況について情報収集をする。
  4. 高ストレスの該当者から職場環境改善の要望を募る。
  5. 職場内の人間関係に関するアンケート調査を従業員に実施する。
3
問 47
保健師は、A社全体の集団分析結果を利用して、管理監督者が職場環境改善に積極的に関与する必要があると考えた。
高ストレスの該当者が多いことへの保健師の取り組みとして最も効果的なのはどれか。
  1. 健康相談日を増やす。
  2. 職場巡視の回数を増やす。
  3. 管理監督者への研修を実施する。
  4. 産業保健総合支援センターへ連絡する。
  5. 心の相談窓口の案内ポスターを掲示する。
3
次の文を読み48~50の問いに答えよ。
 Aさん(81歳、女性)。認知症と診断され、症状緩和のための服薬調整を目的として、B病院認知症治療病棟に入院した。入院前から軽い咳嗽はあったが、喘息の既往歴によるものとされていた。入院後2週、39℃台の発熱があり、胸部エックス線写真で肺炎像を認めたので、誤嚥性肺炎の診断のもとに抗菌薬の投与を行った。しかし、解熱しないため、C病院に転院し、喀痰塗抹菌検査陰性、結核菌PCR陽性となり、肺結核と診断されC病院の結核病棟で治療が開始された。診断した医師から保健所に結核発生の届出があった。B病院認知症治療病棟では、4人部屋に入院しており、Aさんの近所に住む長女は2日に1回は面会に来ていた。感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律〈感染症法〉第17条に基づき早期発見のために長女に初回面接を行うことにした。
問 48
自宅でのAさんの結核初期症状で長女への初回面接で確認すべき事項はどれか。
  1. 体温の変化
  2. 体重減少の有無
  3. 倦怠感の訴えの有無
  4. 咳嗽の状態変化の有無
4
問 49
その後、喀痰塗抹菌検査は3回連続で陰性、胸部エックス線写真上も空洞はなかったが培養検査結果は陽性だった。
Aさんの感染性の評価に基づいて行う接触者健康診断の対象者で適切なのはどれか。
  1. 接触者全員
  2. C病院の結核病棟の患者
  3. 接触者で免疫力が低下している人
  4. B病院認知症治療病棟の全ての患者と職員
3
問 50
Aさんは、低感染性の結核であると診断され、接触者健康診断を実施することになった。
最優先に接触者健康診断を行うことが望ましい接触者はどれか。
  1. 長女
  2. B病院で同室者であった入院患者
  3. B病院認知症治療病棟に配膳車を運ぶ栄養課職員
  4. Aさんの自宅へ週1回生活援助に訪れていた訪問介護員
2
次の文を読み51~53の問いに答えよ。
 肥満の既往の有無と大腸癌との関連を検証するための疫学研究を行うこととした。A病院において大腸癌と診断された患者100人を登録した。また、同院で人間ドックを受検し大腸癌が無いことを確認できた100人を選定し登録することとした。次に、これらの対象者の肥満の既往を確認することとした。
問 51
この研究デザインはどれか。
  1. 介入研究
  2. 横断研究
  3. 症例対照研究
  4. 生態学的研究
  5. コホート研究
3
問 52
大腸癌の発症には性別や年齢の影響が知られている。そのためこれらの要因を調整する必要があると考えた。登録された大腸癌患者1人に対して性別および年齢を対応させた人間ドック受検者1人を選定することとした。
この方法はどれか。
  1. 層化
  2. 標準化
  3. 無作為化
  4. マッチング
  5. 多変量解析
4
問 53
大腸癌患者100人と大腸癌が無いことを確認できた人間ドック受検者100人の肥満の既往の調査結果を以下に示す。
問53の画像
肥満の既往ありの肥満の既往なしに対する大腸癌ありのオッズ比を求めよ。
ただし、小数点以下第2位を四捨五入すること。

解答:.
00
11
22
33
44
55
66
77
88
99
13
次の文を読み54、55の問いに答えよ。
 A君(中学1年生)は、母親と養父、最近生まれた妹と4人家族である。学校には休まず通っており、クラスでは無口だが暴力的になることがあった。ある日の朝、A君の顔に片目全体を覆うようなあざがあることに気づいて学級担任や複数の教員が声をかけたところ、A君は「自転車に乗っていてぶつけた」と答えた。昼休みに、掃除当番で保健室にきたA君に、養護教諭がそれとなく「どんなふうにけがをしたの?」と尋ねた。すると、A君は養父からよく殴られることを打ち明けて「このことは誰にも言わないでほしい」と言った。養護教諭は虐待の可能性があると考えて、A君が打ち明けてくれたことを肯定しながらA君の目の周りや心身の状態を観察しつつ、話を聴いた。
問 54
話を聴いた後のA君への養護教諭の対応で、適切なのはどれか。
  1. 殴られていることを母親に話すよう促す。
  2. あざの写真を記録として撮らせてもらう。
  3. 虐待にあたることを告知する。
  4. 学級担任に話すよう勧める。
2
問 55
養護教諭は、A君の状況を校長に伝え、その日の午後に開かれた校内委員会で共有した。これまでのA君の家庭に関する情報を集約した結果、虐待の疑いが強まり、児童相談所に通告することになった。また、養護教諭から母親に電話し、A君の目の周りのあざについて眼科医療機関の受診を勧めた。
翌日、A君は普段通りに登校し学級担任に受診報告があった。その後、養父から学校に電話があり、学級担任に「Aは家の中でケガをしただけだ。なにか家のことを話したのではないか。話した内容を教えるように」と威圧的な態度で要求してきた。
この後、養護教諭や教職員が行う学校の対応で、最も優先されるのはどれか。
  1. A君に眼科受診後の養父の様子を聞く。
  2. 養父の言動を児童相談所と情報共有する。
  3. 目の周りのあざの経過観察を両親に依頼する。
  4. 養父に学校に来てもらいA君の学校生活について話をする。
2
1-30
31-55