第95回看護師国家試験
午後問題
次の文を読み〔問題31〕、〔問題32〕、〔問題33〕に答えよ。
5歳の男児。両親との3人家族。交通事故に遭い、遷延性意識障害で5か月間入院した。両親が在宅療養を希望し、介護方法の指導を受けて退院した。現在は経鼻経管栄養を1日3回実施し、排泄は失禁状態でおむつを使用している。口腔内に唾液が貯留するため、吸引を必要としている。父親は会社員で出張が多く、世話は母親が1人で行っている。
5歳の男児。両親との3人家族。交通事故に遭い、遷延性意識障害で5か月間入院した。両親が在宅療養を希望し、介護方法の指導を受けて退院した。現在は経鼻経管栄養を1日3回実施し、排泄は失禁状態でおむつを使用している。口腔内に唾液が貯留するため、吸引を必要としている。父親は会社員で出張が多く、世話は母親が1人で行っている。
問 31
初回の訪問看護で優先度が高い情報はどれか。
- 経済力
- 男児の友人の人数
- 家屋の構造
- 母親の介護技術
4
問 32
最近、唾液量が多く頻繁にむせるようになってきた。児はテレビの画面に反応して開眼することがあるため、母親は児をテレビと向き合う右側臥位にさせていることが多くなった。
最も起こりやすいのはどれか。
最も起こりやすいのはどれか。
- 口内炎
- 肺炎
- 膀胱炎
- 関節炎
2
問 33
母親は「介護に疲れてしまった」と、訪問看護師に繰り返し言った。
母親への提案で最も適切なのはどれか。
母親への提案で最も適切なのはどれか。
- 男児の再入院
- 男児の施設入所
- ホームヘルパーの利用
- 児童相談所の活用
3
次の文を読み〔問題34〕、〔問題35〕、〔問題36〕に答えよ。
Aさん、92歳の男性。高血圧症と両膝関節症。要介護3。室内を這いながら移動し、在宅で生活している。介護者である妻(85歳:要介護1)と2人暮らし。妻は「通帳を盗まれた」「財布がなくなった」などと言うことが多くなったが、身体的には腰痛があるだけで日常の家事は何とかこなしている。若いときから近所との交流は全くない。独身の長男は同敷地内別棟に住んでいるが、生計は別で介護への協力はない。訪問看護サービスを週1回利用することになった。
Aさん、92歳の男性。高血圧症と両膝関節症。要介護3。室内を這いながら移動し、在宅で生活している。介護者である妻(85歳:要介護1)と2人暮らし。妻は「通帳を盗まれた」「財布がなくなった」などと言うことが多くなったが、身体的には腰痛があるだけで日常の家事は何とかこなしている。若いときから近所との交流は全くない。独身の長男は同敷地内別棟に住んでいるが、生計は別で介護への協力はない。訪問看護サービスを週1回利用することになった。
問 34
在宅生活を継続するために、訪問看護師が把握しなければならない情報で優先度が高いのはどれか。
- 長男からの経済的支援
- 介護保険の利用状況
- 通帳と財布の保管場所
- 妻の病状
4
問 35
AさんのADL低下が著しくなったが、妻は「もう少し夫婦2人で自宅で暮らしたい」と希望している。
訪問看護師の対応で適切なのはどれか。
訪問看護師の対応で適切なのはどれか。
- Aさんの機能訓練を積極的に勧める。
- Aさんの施設入所を勧める。
- 妻に趣味を持つように勧める。
- 緊急時の対応について確認する。
4
問 36
妻の介護負担を軽減するために考えられる介護保険サービスで適切なのはどれか。
- 介護タクシー
- 訪問介護
- 配食サービス
- グループホーム
2
次の文を読み〔問題37〕、〔問題38〕、〔問題39〕に答えよ。
22歳の男性。20歳のとき、建築作業中の事故で第5頸髄を損傷し、現在両親と3人暮らし。自宅で母親が介護している。ここ2か月、大半の時間を車椅子に乗車し、朝方までパソコンを操作して過ごしている。食事は不規則でスナック菓子で済ませることが多い。身長170cm、体重75kg。膀胱瘻を造設している。
22歳の男性。20歳のとき、建築作業中の事故で第5頸髄を損傷し、現在両親と3人暮らし。自宅で母親が介護している。ここ2か月、大半の時間を車椅子に乗車し、朝方までパソコンを操作して過ごしている。食事は不規則でスナック菓子で済ませることが多い。身長170cm、体重75kg。膀胱瘻を造設している。
問 37
パソコン操作中は車椅子からずり落ちそうになっていることも多い。褥瘡が最もできやすいのはどれか。
- 後頭部
- 坐骨結節部
- 大転子部
- 大腿後面
2
問 38
1週前から食事摂取量が少ない状態が続いている。尿中に浮遊物が多くなり、膀胱瘻カテーテルの閉塞を起こし、往診医がカテーテルを交換した。感染徴候はない。
訪問看護師の指導で適切なのはどれか。
訪問看護師の指導で適切なのはどれか。
- 水分を多く摂取する。
- 腹部温罨法を行う。
- 臥床時間を長くする。
- 下腹部を用手圧迫する。
1
問 39
訪問看護師は、1日3回家族と一緒に食事することを提案した。
指導の目的で誤っているのはどれか。
指導の目的で誤っているのはどれか。
- 食事内容の改善
- 生活リズムの改善
- 体重の増加
- 家族との交流促進
3
次の文を読み〔問題40〕、〔問題41〕、〔問題42〕に答えよ。
60歳の男性。右主気管支入口部の扁平上皮癌に対する放射線療法施行後、肺炎を起こした。入院時、体温37.2℃、呼吸数20/分、脈拍数86/分、整、血圧124/74mmHg。経皮的動脈血酸素飽和度(SpO292%、右呼吸音が弱く、喘鳴がある。白色粘稠痰を少量ずつ喀出しているが、息を吐き出しにくいと呼吸困難を訴えている。抗菌薬が投与され、鼻腔カニューレでの酸素投与が3L/分で開始された。
60歳の男性。右主気管支入口部の扁平上皮癌に対する放射線療法施行後、肺炎を起こした。入院時、体温37.2℃、呼吸数20/分、脈拍数86/分、整、血圧124/74mmHg。経皮的動脈血酸素飽和度(SpO292%、右呼吸音が弱く、喘鳴がある。白色粘稠痰を少量ずつ喀出しているが、息を吐き出しにくいと呼吸困難を訴えている。抗菌薬が投与され、鼻腔カニューレでの酸素投与が3L/分で開始された。
問 40
息を吐き出しにくい原因で考えられるのはどれか。
- 胸水貯留
- 気道狭窄
- 気胸
- 放射線肺炎
2
問 41
入院時の対応で適切なのはどれか。
- 呼吸回数を増やすよう促す。
- 痰を吸引する。
- 器具による呼吸訓練を勧める。
- 口すぼめ呼吸を指導する。
2
問 42
3日後、病状は改善せず食事もほとんど摂取できないため、輸液が開始され、酸素投与はリザーバーマスク5L/分に変更された。その夜、体温38.8℃、呼吸数30/分、脈拍数128/分、整、血圧88/68mmHg。経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)90%となった。この日の輸液量は1,600mL、尿量は300mL。血液所見は、白血球16,800/µL、CRP18.6mg/dL。声をかけるとようやく返答するが、すぐうとうとしてしまう。
この状況のアセスメントで最も適切なのはどれか。
この状況のアセスメントで最も適切なのはどれか。
- 呼吸筋の疲労
- 心原性ショック
- 敗血症性ショック
- 脱水
3
次の文を読み〔問題43〕、〔問題44〕、〔問題45〕に答えよ。
55歳の男性。営業職、10年前に定期健康診断で高血圧症と高脂血症とを指摘され、薬物治療を続けていた。2年前から階段昇降時に胸部圧迫感を感じていた。
今朝、駅の階段を登ったところ、胸痛と息苦しさとが出現し、労作性狭心症の疑いで入院した。身長170cm、体重84kg、脈拍数84/分、整、血圧162/80mmHg。入院後の12誘導心電図は正常である。血清クレアチンキナーゼ(CK)、AST(GOT)の上昇はみられない。
55歳の男性。営業職、10年前に定期健康診断で高血圧症と高脂血症とを指摘され、薬物治療を続けていた。2年前から階段昇降時に胸部圧迫感を感じていた。
今朝、駅の階段を登ったところ、胸痛と息苦しさとが出現し、労作性狭心症の疑いで入院した。身長170cm、体重84kg、脈拍数84/分、整、血圧162/80mmHg。入院後の12誘導心電図は正常である。血清クレアチンキナーゼ(CK)、AST(GOT)の上昇はみられない。
問 43
入院直後に行われる処置で適切なのはどれか。
- 心電図の持続モニタリング
- 中心静脈圧の測定
- 動脈ラインの確保
- IABP(大動脈内バルーン・パンピング)
1
問 44
翌日の午前中に冠状動脈造影を行うことになった。
- 検査は全身麻酔で行われる。
- 造影で息苦しさが改善される。
- 検査後、穿刺部の圧迫止血が行われる。
- 造影用カテーテルは24時間留置される。
3
問 45
容態は安定し退院が決まった。
退院後の生活指導で適切なのはどれか。
退院後の生活指導で適切なのはどれか。
- 「胸痛が出現したら救急車を呼んでください」
- 「階段の昇降はしないでください」
- 「塩分は1日7g以内を目指してください」
- 「蛋白質は1日30g以内にしてください」
3
次の文を読み〔問題46〕、〔問題47〕、〔問題48〕に答えよ。
64歳の男性。最近仕事上のストレスが続き、疲労感を訴えていた。1~2か月前から食事のつかえ感があり、体重が2か月で10kg減少したため受診した。検査の結果、胸部食道癌と診断された。検査所見は、Hb9.5g/dL、血清総蛋白5.4g/dL、アルブミン2.5g/dL、AST(GOT)24単位/L、尿素窒素18mg/dL、プロトロンビン時間10秒、手術目的で入院した。
64歳の男性。最近仕事上のストレスが続き、疲労感を訴えていた。1~2か月前から食事のつかえ感があり、体重が2か月で10kg減少したため受診した。検査の結果、胸部食道癌と診断された。検査所見は、Hb9.5g/dL、血清総蛋白5.4g/dL、アルブミン2.5g/dL、AST(GOT)24単位/L、尿素窒素18mg/dL、プロトロンビン時間10秒、手術目的で入院した。
問 46
手術前の身体的リスクが最も高いのはどれか。
- 低栄養状態
- 肝機能障害
- 腎機能障害
- 出血傾向
1
問 47
右開胸開腹胸部食道全摘術と胃を用いた食道再建術が行われた。術後、人工呼吸器が装着され、術後2日朝に気管チューブを抜管した。創部痛のため痰の喀出が少なかった。その日の夕方、患者は呼吸困難を訴え、経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)が93%に低下した。右下肺野で肺雑音を聴取したが、胸郭の動きに左右差はなかった。
患者に起こっていると考えられるのはどれか。
患者に起こっていると考えられるのはどれか。
- 右肺気胸
- 食道気管支瘻
- 無気肺
- 縦隔炎
3
問 48
術後14日、五分粥食を摂取しているが、嗄声があり、時々食事中にむせている。
食事指導で適切なのはどれか。
食事指導で適切なのはどれか。
- 水分で流し込みながら食べる。
- 固形物摂取を一時控える。
- 食後は仰臥位で過ごす。
- 一口ずつゆっくり食べる。
4
次の文を読み〔問題49〕、〔問題50〕、〔問題51〕に答えよ。
Aさん、26歳の女性。夫、3歳と生後6か月の子どもとの4人家族で、現在授乳中である。頸部腫大に気付き近医を受診したところ、甲状腺機能亢進症と診断された。
Aさん、26歳の女性。夫、3歳と生後6か月の子どもとの4人家族で、現在授乳中である。頸部腫大に気付き近医を受診したところ、甲状腺機能亢進症と診断された。
問 49
出現している可能性が高いのはどれか。
- 日中の眠気
- 満月様顔貌
- 末端肥大
- 易疲労感
4
問 50
甲状腺アイソトープ(123I)摂取率検査を受けることになった。
検査前の説明で正しいのはどれか。
検査前の説明で正しいのはどれか。
- 検査前後3日間は子どもを抱っこできない。
- 検査中は搾乳によって母乳を続けることができる。
- 検査の1週前から海藻類の摂取を避ける。
- 検査前にヨード剤で含嗽を行う。
3
問 51
3歳の子どもが風邪をひいたのをきっかけに、Aさんも40℃の発熱、頻脈、嘔気、嘔吐、下痢、呼吸困難を起こし、救急車で来院した。意識レベルの低下もみられる。
最も考えられるのはどれか。
最も考えられるのはどれか。
- テタニー
- クリーゼ
- 代謝性アルカローシス
- CO2ナルコーシス
2
次の文を読み〔問題52〕、〔問題53〕、〔問題54〕に答えよ。
28歳の女性。会社員(経理係)。最近手指の関節に痛みを感じるようになったが、腱鞘炎と思い湿布薬やマッサージで様子を見ていた。しかし、徐々に肘関節に痛みとこわばりが出現し、微熱と全身倦怠感もみられるようになった。医師から「関節が少し腫れているようですね。診断のため血液検査をいくつかしましょう」と言われ、外来通院することになった。
28歳の女性。会社員(経理係)。最近手指の関節に痛みを感じるようになったが、腱鞘炎と思い湿布薬やマッサージで様子を見ていた。しかし、徐々に肘関節に痛みとこわばりが出現し、微熱と全身倦怠感もみられるようになった。医師から「関節が少し腫れているようですね。診断のため血液検査をいくつかしましょう」と言われ、外来通院することになった。
問 52
診断に役立つのはどれか。
- C反応性蛋白(CRP)
- αフェトプロテイン(AFP)
- ヒト白血球抗原(HLA)
- ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)
1
問 53
薬物療法でしばらく様子をみることになった。
生活指導で適切なのはどれか。
生活指導で適切なのはどれか。
- 関節を保温する。
- 部屋の湿度を高く保つ。
- 低カルシウム食を心掛ける。
- 寝具は柔らかいマットレスを使用する。
1
問 54
手関節と肘関節の痛みが増強し、食材の買い物が負担になってきた。
荷物の持ち方で適切なのはどれか。
荷物の持ち方で適切なのはどれか。
1. 体の前で抱える | 2. 肩に掛ける |
3. 肘に掛ける | 4. 手で下げる |
2
次の文を読み〔問題55〕、〔問題56〕、〔問題57〕に答えよ。
76歳の女性。夫と2人暮らし。毎朝散歩し、週2回趣味の会に外出していた。散歩中にしりもちをつき、殿部から腰背部にかけて痛みがあったが放置していた。2週前から痛みのため徐々に布団から1人で起き上がれなくなり、夫の介助でトイレに行くが、ふらつくようになった。5日前から、1日中臥床するようになった。市販の弁当と緑茶で食事を済ませていた。
夫の介助で受診し入院した。検査の結果、骨粗鬆症による腰椎圧迫骨折と診断され、鎮痛薬とコルセットが処方された。
76歳の女性。夫と2人暮らし。毎朝散歩し、週2回趣味の会に外出していた。散歩中にしりもちをつき、殿部から腰背部にかけて痛みがあったが放置していた。2週前から痛みのため徐々に布団から1人で起き上がれなくなり、夫の介助でトイレに行くが、ふらつくようになった。5日前から、1日中臥床するようになった。市販の弁当と緑茶で食事を済ませていた。
夫の介助で受診し入院した。検査の結果、骨粗鬆症による腰椎圧迫骨折と診断され、鎮痛薬とコルセットが処方された。
問 55
入院時のアセスメントで最も適切なのはどれか。
- 嚥下困難がある。
- 筋力の低下がある。
- 関節の強直がある。
- 痛みは我慢できる程度である。
2
問 56
コルセットをつけて病室内を歩くようになった。
適切なのはどれか。
適切なのはどれか。
- ゆっくりとした歩行を勧める。
- 痛みが強いときはきつく締め歩行する。
- 腹部を圧迫するので食事の量を控えめにする。
- 就寝中も装着するように勧める。
1
問 57
順調に経過し退院が決まった。
退院時の生活指導で適切なのはどれか。
退院時の生活指導で適切なのはどれか。
- 肉類中心の食事を勧める。
- 布団は軟らかいものを使用する。
- 痛みが消失してもコルセットの使用を継続する。
- 散歩や趣味の会への外出を勧める。
4
次の文を読み〔問題58〕、〔問題59〕、〔問題60〕に答えよ。
78歳の男性。自宅で突然倒れ救急車で来院した。体温36.5℃、呼吸数14/分、脈拍数80/分、血圧180/100mmHg、ジャパン・コーマ・スケールⅢ-100であった。検査の結果、右中大脳動脈領域の脳梗塞と診断され、保存療法を行うことになった。
78歳の男性。自宅で突然倒れ救急車で来院した。体温36.5℃、呼吸数14/分、脈拍数80/分、血圧180/100mmHg、ジャパン・コーマ・スケールⅢ-100であった。検査の結果、右中大脳動脈領域の脳梗塞と診断され、保存療法を行うことになった。
問 58
意識レベルを判断したときの患者の状態はどれか。
- 声かけすると覚醒する。
- 呼びかけを繰り返すと、かろうじて開眼する。
- 痛み刺激で払いのける動作がみられるが、開眼しない。
- 痛み刺激に反応しない。
3
問 59
入院後、意識状態は改善し、車椅子でトイレでの排泄が可能になったころから、左肩関節の熱感と痛みとを訴えはじめた。
対応で適切なのはどれか。
対応で適切なのはどれか。
- 関節可動域訓練を積極的に行う。
- 三角巾で固定する。
- 温罨法を行う。
- ベッド上安静にする。
2
問 60
1か月後歩行可能になったが、身体の片側を壁や扉にぶつけるようになった。廊下で看護師とすれ違っても気付かないことがある。
どのような異常が生じていると考えられるか。
どのような異常が生じていると考えられるか。
- 半側空間無視
- 失行
- 見当識障害
- 記憶障害
1