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第95回看護師国家試験

午後問題
次の文を読み〔問題61〕、〔問題62〕、〔問題63〕に答えよ。
 94歳の男性。身長150cm、体重38kg。家族と暮らしている。白内障のため視力低下があるが、食事はこぼしながらも自力で摂取していた。高度難聴のため家族は手掌上の指筆談で意思疎通を図っていた。軽度前立腺肥大があるが、排尿障害はない。
 自宅でトイレへ行こうとしたときに転倒し、動けなくなったため入院した。右大腿骨頸部骨折と診断され、鋼線牽引3kgを開始した。
問 61
家族から牽引中の食事はどのようにするのかと質問があった。
説明で適切なのはどれか。
  1. 「上体は水平のまま、輸液で栄養を補給します」
  2. 「上体を40度ぐらい起こして、鼻からチューブを栄養を補給します」
  3. 「上体を40度ぐらい起こして、介助で食べていただきます」
  4. 「寝たまま体を横に向けた姿勢で、ご自分で食べていただきます」
3
問 62
腰椎麻酔下で内固定法による骨接合術が行われた。術後ブラウン架台上で良肢位がとられた。手術当日の夜、点滴チューブを引っぱりながら「お侍さんが朝から俺の手足を縛って、大きな鐘を鳴らしている」と身体を動かしながら大声で言い続けている。
対応で最も適切なのはどれか。
  1. 今は夜なので静かに眠るよう説明した。
  2. 手足の紐を外したので安心するよう説明した。
  3. 鐘の音は難聴のために聞こえないことを説明した。
  4. 点滴静脈内注射の必要性を説明した。
2
問 63
退院時に大腿骨頸部骨折予防装具(hip protector)を使用することになった。
使用の理由で最も考えにくいのはどれか。
  1. 低体重
  2. 筋力低下
  3. 白内障
  4. 前立腺肥大症
4
次の文を読み〔問題64〕、〔問題65〕、〔問題66〕に答えよ。
在胎39週、3,200gで出生した男児。鎖肛のため小児専門病院に移送された。倒立エックス線撮影で高位鎖肛と診断されたが、他の合併奇形はみられなかった。父親に説明し同意を得て、生後1日に人工肛門造設術が行われた。
問 64
手術は無事終了した。父親は主治医から手術結果と今後の見通しとについて説明を受けたが、その後同席していた看護師に「この子は将来どうなってしまうのでしょう」と不安そうに話しかけた。
対応で適切なのはどれか。
  1. 根治手術が終了したことを話す。
  2. 心配の内容について話し合う。
  3. 人工肛門のケアについて説明する。
  4. 在宅ケアの情報を伝える。
2
問 65
術後1日の看護で適切なのはどれか。
  1. 排尿ごとにガーゼ交換する。
  2. 泣かせないようにする。
  3. 経鼻胃管から十分吸引する。
  4. 全身を抑制する。
3
問 66
術後の経過は良好であった。1週後、産科を退院した母親は父親ともに面会に訪れた。母親は「普通に触っても大丈夫かしら」と看護師に話しかけた。
母親への対応で最初に行うのはどれか。
  1. 手術経過を説明する。
  2. 窓越しに面会してもらう。
  3. 抱っこを勧める。
  4. 人工肛門を見るように促す。
3
次の文を読み〔問題67〕、〔問題68〕、〔問題69〕に答えよ。
 1歳6か月の女児。父親と専業主婦の母親との3人家族である。6日前から発熱と左頸部リンパ節腫脹があり、近医を受診していた。熱が下がらず、体幹に発疹が出現し眼球結膜の充血、いちご舌があり、紹介されて入院した。入院時、体温39.5℃、呼吸数/分、心拍数145/分。川崎病と診断された。
問 67
入院当日、女児は機嫌が悪く泣いており、母親が帰宅しようとすると、さらに激しく泣き叫んだ。
このときの対応で最も適切なのはどれか。
  1. 母親に面会を延長してもらう。
  2. お気に入りの毛布を持ってきてもらう。
  3. 身体を使った遊びや散歩に誘う。
  4. 他児のおもちゃを借りる。
1
問 68
血液検査の結果、白血球15,000/µL、血小板45万/µL、CRP4.8mg/dLであり、γ-グロブリン製剤の点滴静脈内注射が開始された。開始10分後に女児は腹部をかきはじめ、喘鳴と口唇のチアノーゼが出現した。
女児に起こっているのはどれか。
  1. アレルギー反応
  2. けいれん発作
  3. 心筋梗塞
  4. クループ
1
問 69
病日17日の心エコー検査で軽度の冠状動脈瘤の形成が認められた。主治医からの検査結果の説明後、母親は児の将来を悲観し泣きじゃくっている。
対応で最も優先されるのはどれか。
  1. 川崎病のパンフレットを渡す。
  2. 父親と連絡をとるように勧める。
  3. 母親からじっくり話を聞く。
  4. 川崎病の親の会を紹介する。
3
次の文を読み〔問題70〕、〔問題71〕、〔問題72〕に答えよ。
 7歳の男児。10日前に急性扁桃炎に罹患し、近医で治療を受けていた。2日前から食欲が低下し、尿量の減少と眼瞼浮腫とが出現したため、外来を受診した。体温36.7℃、脈拍数72/分、血圧136/86mmHg。尿検査では肉眼的血尿がみられ、尿蛋白(2+)、尿沈渣で赤血球円柱が多数確認され、急性糸球体腎炎と診断された。血液検査の結果、尿素窒素25mg/dL、クレアチニン1.0mg/dL、ストレプトリジンO抗体(ASO)は上昇、補体価(CH50)は低下していた。男児は4人部屋に入院した。
問 70
入院当初の看護で正しいのはどれか。
  1. 食事の制限をしない。
  2. ベッド上安静とする。
  3. 体重測定を週1回行う。
  4. 毎日入浴させる。
2
問 71
起こりにくい合併症はどれか。
  1. 高血圧性脳症
  2. 腎不全
  3. 心不全
  4. 肝不全
4
問 72
入院7日。男児の病状は改善し、ベッド上で飛び跳ねたり、ベッドから飛び降りたりしはじめ、繰り返し注意されている。
対応で適切なのはどれか。
  1. 母親から抑制の許可を得る。
  2. 主治医に厳しく注意してもらう。
  3. 大部屋から個室に移す。
  4. 静かにできる遊びを一緒に考える。
4
次の文を読み〔問題73〕、〔問題74〕、〔問題75〕に答えよ。
 36歳の1回経産婦。第1子は2歳3か月。妊娠38週6日、午前0時40分、15分間欠の規則的な子宮収縮で入院した。午前3時30分に、10分間欠の陣痛となった。その後順調に経過し、午前9時30分に子宮口全開大、9時35分2,898gの男児を出産した。午前9時40分に胎盤を娩出した。その後、分娩台で初回授乳を行い、午前11時40分、子宮底臍下3横指、硬度良好、車椅子で帰室した。
問 73
分娩所要時間はどれか。
  1. 6時間5分
  2. 6時間10分
  3. 8時間55分
  4. 9時間
2
問 74
帰室1時間後、後陣痛の訴えがあった。子宮底臍下2横指、硬度良好、血性悪露が中等量あった。
対応で適切なのはどれか。
  1. 子宮底をマッサージする。
  2. 下腹部の冷罨法を行う。
  3. シムス位を促す。
  4. 再度授乳を行う。
3
問 75
産褥2日。褥婦の乳房はⅢ型。乳頭はやわらかく突出し、乳管開通は左右とも3、4本、乳房の緊満が軽度みられる。昨日から母子同室になった。授乳時「この子は泣いてばかりで、その都度おっぱいを吸わせるが張ってきません。上の子はミルクで育てました。今回は母乳で育てないのですができるか心配です」と看護師に訴えた。
対応で最も適切なのはどれか。
  1. 順調な経過をたどっていることを説明する。
  2. 時間を決めて母乳を与えるように勧める。
  3. ミルクを補充するように勧める。
  4. 泣いたときにおしゃぶりを与えるように勧める。
1
次の文を読み〔問題76〕、〔問題77〕、〔問題78〕に答えよ。
 22歳の初産婦。妊娠40週2日、午前1時30分に陣痛が発来し、会陰切開術後、午後2時15分、吸引分娩で3,400gの女児を出産した。分娩直後から縫合部の痛みを訴えている。出生6時間後、新生児の頭部に骨縫合線を越えない直径5cm大の緊張性のある腫瘤がみられた。
問 76
腫瘤の消失時期はどれか。
  1. 12時間
  2. 2~3日
  3. 1週
  4. 1~2か月
4
問 77
産褥1日。体温37.2℃、脈拍数80/分、血圧104/70mmHg。母子同室が開始された。翌朝「とても疲れました。赤ちゃんが気になってあまり眠れませんでした。傷も痛いし、お小水もすっきりしません」と涙ぐんでいた。
対応で適切なのはどれか。
  1. 「しばらくすれば傷の痛みはよくなります」
  2. 「ひとまず赤ちゃんを預かりましょう」
  3. 「尿を管で取ってすっきりしましょう」
  4. 「慣れるまで頑張りましょう」
2
問 78
生後5日。体重3,160g、体温37.3℃、呼吸数36/分、心拍数130/分。便は黄色泥状で粘液を含み甘酸っぱい臭気がある。皮膚は乾燥し、亀裂と落屑がある。股関節を開排するとクリックサインがある。
生理的な状態を逸脱しているのはどれか。
  1. 体重減少
  2. 便の性状
  3. 皮膚の状態
  4. 股関節の動き
4
次の文を読み〔問題79〕、〔問題80〕、〔問題81〕に答えよ。
 30歳の1回経産婦。身長158cm、非妊時体重50kg。妊娠32週5日の健康診査の結果、子宮底長23cm、腹囲80cm、体重56.5kg、血圧154/98mmHg、下肢浮腫(+)。尿蛋白(±)、尿糖(-)、Hb11.2g/dL。胎児心拍数140/分、推定児体重1,100g。30分のNST(nonstress test)で3回の一過性頻脈がみられた。近くに住む実母に1歳6か月の長男を預けて入院した。
問 79
入院時のアセスメントで適切なのはどれか。
  1. 肥満妊婦
  2. 妊婦貧血
  3. 胎児仮死徴候
  4. 胎児発育遅延徴候
4
問 80
降圧薬の内服が開始された。入院3日、血圧156/96mmHg、下肢浮腫(+)、尿蛋白(+)、尿糖(-)、尿量1,200mLであった。
この妊婦に必要なのはどれか。
  1. 安静の保持
  2. 水分制限
  3. 低蛋白食
  4. 乳房の手当て
1
問 81
入院7日。血圧は142/90mmHgとなった。妊婦は「おなかの赤ちゃんのことも心配ですが、上の子が気がかりなので早く退院したい」と話す。
対応で最も適切なのはどれか。
  1. 長男の話題を避ける。
  2. 母児の生命危機について話す。
  3. 長男の面会を調整する。
  4. 退院を勧める。
3
次の文を読み〔問題82〕、〔問題83〕、〔問題84〕に答えよ。
 32歳の男性。「4月に係長になったが、部下との関係がうまく行かない。やる気はあるのだが、会社に出ると仕事が手につかず、落ち着かなくなる。会社のことを考えると出勤できなくなる日もある。何とかしたい」と訴えて受診した。適応障害と診断され、1か月通院し、精神療法と薬物療法とを受けたが、状態は改善しなかった。主治医の入院治療の提案に応じ、精神科開放病棟に入院した。
問 82
精神保健及び精神障害者福祉に関する法律上の入院形態はどれか。
  1. 措置入院
  2. 医療保護入院
  3. 応急入院
  4. 任意入院
4
問 83
入院後、患者はナースステーションで落ち着いて荷物を整理していた。看護師が入院までの仕事に関する経緯を聞くと突然表情をこわばらせ「ドキドキする。何とかしてほしい」と訴えたので、話を中断して病室に誘導した。
この患者の状態はどれか。
  1. 躁状態
  2. 不安状態
  3. うつ状態
  4. 混迷状態
2
問 84
この日の対応で正しいのはどれか。
  1. 落ち着いたら仕事の話を再開する。
  2. 休息できるよう環境を調整する。
  3. 一般的な日常会話を交わす。
  4. 他の患者との交流を促す。
1. a、b2. a、d3. b、c4. c、d
3
次の文を読み〔問題85〕、〔問題86〕、〔問題87〕に答えよ。
 19歳の女性。身長160cm、体重35kg。交際していた相手から太っていいると言われ、55kgだった体重を1年半で現在の体重まで減量した。月経は停止している。「まだまだ太っているのに、私は意志が弱くてやせられない」と言い、心配する母親に食事を盛り付けた食器を投げてけがをさせるなど暴力行為があるため、精神科病棟に入院した。入院時の血液検査では血清総蛋白6.1g/dL、アルブミン3.2g/dL、Hb9.8g/dLである。
問 85
入院後も自らは食事をしようとせず、看護師が付き添って食事した後にもトイレで嘔吐していた。「太っていても平気な人の気が知れない。あなた、よく恥ずかしくないわね」と看護師を攻撃した。
アセスメントで正しいのはどれか。
  1. 転換性障害がある。
  2. 注意力が障害されている。
  3. 解離性障害ある。
  4. 身体像が障害されている。
4
問 86
入院3日。「生理が止まってお腹が膨らんできた。最近セックスはしていないけど妊娠しているかもしれない」と言う。尿の妊娠反応は陰性であり、下腹部は軽度膨満し、打診で濁音が確認された。入院以降、排便は確認されていない。
腹部が膨らんでいる理由で正しいのはどれか。
  1. 妄想
  2. 腹水
  3. 過食
  4. 便秘
4
問 87
食事を少しずつ食べ始め体重が増加してきた。夜間ナースステーションに来て看護師に「お母さんみたいになりたくないから、子どもを産みたくない。お母さんを見ているとイライラする」などと話すようになった。
このときの対応で適切なのはどれか。
  1. 「お母さんに言いたいことがあるなら伝えますよ」
  2. 「自分の気持ちを表現できるようになりましたね」
  3. 「夜は興奮するから話さないで早く寝ましょう」
  4. 「将来のためにもっとご飯を食べましょう」
2
次の文を読み〔問題88〕、〔問題89〕、〔問題90〕に答えよ。
 48歳の男性。20歳代で統合失調症を発症し、入退院を繰り返している。発症直後から抗精神病薬を服用している。小刻み歩行や手指振戦がみられるが、日常生活は看護師の介助なしでできる。患者の楽しみは食事やおやつであり、用意された食べ物をとられたくないために口に詰め込み、飲み込むように食べている。最近、食事中に激しくむせるようになってきた。
問 88
むせる主な原因はどれか。
  1. 服薬による咽頭反射の低下
  2. 加齢による生理的変化
  3. 貧困妄想による過食
  4. 固形食の咀嚼困難
1
問 89
誤嚥を繰り返し肺炎になったため、主治医が説明を行い、絶飲食になり、点滴静脈内注射が開始された。患者は「何で食べさせないんだ、こうなったのはAのせいだ。俺をだめにするのか。食べないと死んじゃうだろ。お願いだから食べさせて」と同室のA氏に対する攻撃的な言動が出現して落ち着かなくなった。
対応で適切なのはどれか。
  1. 「Aさんはそんなことしませんよ」
  2. 「食べられなくてつらいのですね」
  3. 「肺炎だから食べられないのです」
  4. 「食べなくても死ぬことはありませんよ」
2
問 90
患者の病状が改善し、経口摂取が開始された。食へのこだわりが強い状態は続いている。
看護計画で優先度が高いのはどれか。
  1. 間食を禁止する。
  2. 嚥下状態を観察する。
  3. 食事は自室で1人でとる。
  4. 食事を栄養補助食品にする。
2