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第97回看護師国家試験

午後問題
次の文を読み〔問題61〕、〔問題62〕、〔問題63〕に答えよ。
 Aさん、68歳の女性。71歳の夫と長男夫婦、95歳の寝たきりの義母の5人暮らし。3か月前に脳出血を発症し、入院治療を経て自宅に退院した。嚥下障害のため胃瘻を造設し、頻回に口腔内吸引が必要である。排泄はおむつを使用している。Aさんの介護認定は申請中で、介護は主に夫が行う予定である。要介護5の義母の介護は長男の妻が行い、週1回の訪問看護と入浴サービスを利用している。
問 61
義母への訪問の際、夫から「介護する家族が増えてしまったのでどうしたらよいのだろうか」と看護師に相談があった。
家族の介護力を評価するための情報で最も重要なのはどれか。
  1. 夫婦の関係性
  2. 義母の健康状態
  3. 長男の介護意欲
  4. 夫と長男の妻の健康状態
4
問 62
几帳面な夫は介護状況を細かく記録し、疑問点を長男の妻に繰り返し尋ねている。看護師が訪問すると長男の妻は「お義父さんが張り切りすぎて心配」と話し、夫は「嫁は大雑把な性格で取り合ってくれない」と言う。
夫に対する対応で最も適切なのはどれか。
  1. 「息子さんに注意してもらいましょう」
  2. 「介護を頑張りすぎていないか心配です」
  3. 「お嫁さんは忙しいのでいろいろ聞くのはやめましょう」
  4. 「介護記録は大変でしょうから書かなくてよいですよ」
2
問 63
その後、夫は介護に慣れてきたが、疲労を感じ始めている。長男の妻も家事と義母の介護で疲労が目立つようになった。訪問看護師は夫から「妻の介護で自分も疲れてきたが、嫁も体調が良くないようで心配だ。うちは二人も介護しているので大変だ。他に利用できるサービスはないか」と相談を受けた。
利用を勧めるサービスで優先度が高いのはどれか。
  1. 住宅改修
  2. 配食サービス
  3. 義母のショートステイ利用
  4. Aさんへの電動車椅子の貸与
3
次の文を読み〔問題64〕、〔問題65〕、〔問題66〕に答えよ。
 1歳の男児。4日前から鼻汁、咳および発熱が続いている。本日、コプリック斑が認められ発疹も出現したため麻疹と診断された。児は細気管支炎を併発しており、付き添い入院した。1歳6か月のいとこが近所に住んでおり1週前に児と遊んだが、現在は無症状である。
問 64
入院時、母親への説明で適切なのはどれか。
  1. 面会は解熱するまで制限する。
  2. 発疹が消失するまで清拭は控える。
  3. 含嗽して口腔粘膜を保清する。
  4. 個室に入室する。
4
問 65
児の母親は「私が早く病院に連れてこなかったから、子どもの病気を悪くしてしまったんです」と泣きながら看護師に話した。
対応で最も適切なのはどれか。
  1. 「自宅で体を休めてください」
  2. 「お父さんと話してください」
  3. 「どうして受診が遅れたのですか」
  4. 「お母さんのせいではありませんよ」
4
問 66
「うちの子と遊んだいとこは、麻疹の予防接種をしていないのですが、大丈夫でしょうか」と児の母親から相談を受けた。
いとこの状況についてのアセスメントで最も適切なのはどれか。
  1. 潜伏期にあたるので経過観察が必要である。
  2. 直ちに麻疹ワクチンの接種が必要である。
  3. ガンマグロブリンの筋肉注射が必要である。
  4. 現在発症していないので感染していないと考えられる。
1
次の文を読み〔問題67〕、〔問題68〕、〔問題69〕に答えよ。
 2か月の男児。2週前から嘔吐があり頻回になった。昨日、噴水様嘔吐が5回あったため外来を受診し、緊急入院した。体重4,200g。体温35.5℃。眼球結膜に黄染は認めない。上腹部に腫瘤を触知する。血液検査の結果、赤血球540万/µL、白血球10,100/µL、血小板58.6万/µL。Ht 45.0%、アルブミン4.4g/dL、Na 140mEq/L、K 3.5mEq/L、CL 92mEq/L、動脈血pH7.48であった。
問 67
入院時の観察で最も注意する症状はどれか。
  1. 大泉門の陥没
  2. 眼瞼結膜の蒼白
  3. 哺乳力の低下
  4. 胃蠕動の低下
1
問 68
超音波検査および上部消化管造影検査の結果、幽門狭窄が確認された。腹腔鏡下で粘膜外幽門筋切開術を行うことになり胃管が挿入された。胃管は胃内に確実に挿入されているが胃部膨満が軽減しなかった。
対応で最も適切なのはどれか。
  1. 腹部温罨法
  2. 腹部マッサージ
  3. 胃内容物の吸引
  4. 胃内の気泡音の確認
3
問 69
手術後1日から授乳が開始され、経過が順調で手術後3日に退院予定となった。授乳後に嘔吐があったため母親は不安を訴えた。
退院時の説明で最も適切なのはどれか。
  1. 「授乳中も排気させてください」
  2. 「授乳の回数を少なくしてください」
  3. 「粉ミルクを薄めて飲ませてください」
  4. 「授乳後はあおむけで寝かせてください」
1
次の文を読み〔問題70〕、〔問題71〕、〔問題72〕に答えよ。
 11歳の女児。2週前から夜尿が出現していた。本日登校中に倒れ搬送された。特記すべき既往歴はない。体温37.8℃。脈拍数100/分、呼吸数32/分。採血の結果、血糖値600mg/dL、代謝性アシドーシスが認められ、1型糖尿病の疑いで入院した。
問 70
患児に出現する可能性が低いのはどれか。
  1. 倦怠感
  2. 浮腫
  3. 多飲
  4. 多尿
2
問 71
1型糖尿病と診断され、主治医がインスリン自己注射の必要性を児と母親に説明した。患児は「自分で注射するなんてできない」と泣き出した。
対応で最も適切なのはどれか。
  1. 手をとって注射を促す。
  2. できるようになるまで退院できないと話す。
  3. 入院中は親に注射をしてもらうことを提案する。
  4. 自己注射をしている同年代の糖尿病患児と話す機会を作る。
4
問 72
退院に向けて、医師、看護師、養護教諭と家族が話し合い、糖尿病外来での担当看護師を決めた。3週後、血糖値の自己測定とインスリンの自己注射ができるようになり退院した。学校に通い始めたが「4時間目の体育の前に血糖値を自己測定したところ、72mg/dLだった。体育の授業はどうしたらよいか」と養護教諭から担当看護師に電話で相談があった。
助言で最も適切なのはどれか。
  1. そのまま参加する。
  2. 見学する。
  3. 1単位補食後に参加する。
  4. 早退し受診する。
3
次の文を読み〔問題73〕、〔問題74〕、〔問題75〕に答えよ。
 36歳の初産婦。専業主婦。妊娠30週2日。身長160cm、非妊時体重55kg。健康診査時、体重60kg。子宮底長26cm、腹囲80cm。血圧120/76mmHg。尿蛋白(-)。浮腫(-)。Hb 10.5g/dL、Ht 30.0%。胎児心拍数150bpmであった。
問 73
健康状態のアセスメントで適切なのはどれか。
  1. 貧血がみられる。
  2. 胎児心拍が頻脈である。
  3. 体重増加が過剰である。
  4. 子宮底長が週数に比べて小さい。
1
問 74
健康診査後「週末にひとりで友人の家に遊びに行き、一泊する予定です。新幹線で2時間位かかるので指定席を取るつもりです」と言う。
保健指導で適切なのはどれか。
  1. 「取りやめた方がいいでしょう」
  2. 「重い荷物は背負って移動すると楽でしょう」
  3. 「ゆとりのあるスケジュールを計画しましょう」
  4. 「新幹線より高速バスを利用した方がいいでしょう」
3
問 75
妊娠34週2日。健康診査の結果は体重62kg。子宮底長30cm、腹囲84cm。血圧114/82mmHg。尿蛋白(-)、尿糖(-)。浮腫(-)。「食後、胸がムカムカすることがあります。以前より食欲が落ちた気もします」と言う。
保健指導で適切なのはどれか。
  1. 食後は左側臥位で休息する。
  2. 香辛料をきかせた料理を摂取する。
  3. 食べたい物を食べたい時に摂取する。
  4. 一回の食事量を減らし食事回数を増やす。
4
次の文を読み〔問題76〕、〔問題77〕、〔問題78〕に答えよ。
 妊娠39週。体重3,100gで正常に出生した生後12時間の新生児。体温36.8℃。心拍数144/分、呼吸数62/分。呼吸はやや不規則、肺雑音(-)。顔面に点状出血が少量みられる。おむつにはレンガ色のしみがみられる。
問 76
児のアセスメントで最も注目すべき情報はどれか。
  1. 顔面の点状出血
  2. 呼吸数
  3. 呼吸の不規則性
  4. おむつのレンガ色のしみ
2
問 77
日齢3日。体重2,950g。体温37.0℃。心拍数132/分、呼吸数50/分。血清ビリルビン値7mg/dL。排尿6回/日、排便2回/日。児の啼泣に合わせて母乳を与えている。母親から「昼も夜も2時間おきに泣くのでそのたび授乳していますが、これで良いのでしょうか」と相談を受けた。
対応で適切なのはどれか。
  1. 「夜間は粉ミルクを足しましょう」
  2. 「今のような授乳の仕方で良いですよ」
  3. 「糖水を足して授乳回数を減らすと良いでしょう」
  4. 「泣いたら授乳するのではなく3時間ごとにしましょう」
2
問 78
日齢4日。体重2,950g。体温37.2℃。心拍数136/分、呼吸数45/分。頭部から体幹にかけて皮膚の黄染がみられ、血清ビリルビン値10mg/dL。排尿8回/日、排便4回/日。大泉門は平坦である。臍輪部に発赤はないがやや湿潤している。
児のアセスメントで適切なのはどれか。
  1. 正常経過である。
  2. 体重増加不良である。
  3. 臍部に感染兆候がみられる。
  4. 病的黄疸の兆候がみられる。
1
次の文を読み〔問題79〕、〔問題80〕、〔問題81〕に答えよ。
 30歳の経産婦。妊娠41週5日。規則的な陣痛が発来し午前10時に入院した。入院時診察で、子宮底長32cm、腹囲88cm。血圧112/70mmHg。尿蛋白(-)、尿糖(-)。分娩監視装置を装着した結果、4~5分間欠の陣痛がみられ、胎児心拍基線は140bpmであった。午後1時、淡緑色の羊水の流出がみられた。
問 79
この時に確認することで優先度が高いのはどれか。
  1. 排尿時間
  2. 胎児心拍数
  3. 羊水の流出量
  4. 陣痛発作時間
2
問 80
午後2時、体重3,050gの児を分娩した。1分後のアプガースコアは6点で口鼻腔吸引が行われた。5分後のアプガースコアは9点であった。
児に最も起こり得るのはどれか。
  1. 上気道閉塞
  2. 低酸素性虚血性脳症
  3. 胎便吸引症候群(MAS)
  4. 呼吸窮迫症候群(RDS)
3
問 81
生後2時間。腋窩温36.2℃。心拍数125/分、呼吸数56/分。陥没呼吸(-)、呻吟(-)。四肢末端にチアノーゼが軽度みられる。
児に優先して行うケアはどれか。
  1. 沐浴
  2. 保温
  3. 授乳
  4. 酸素投与
2
次の文を読み〔問題82〕、〔問題83〕、〔問題84〕に答えよ。
 58歳の男性。統合失調症。17年前に入院し、現在は開放病棟に入院している。常に幻聴があるが、日常生活に支障はない。病棟では作業療法に参加している以外に活動はせず、決まった患者と決まった場所に座って過ごしている。退院後1人暮らしをする予定の自宅へ週1回の定期的な外泊を繰り返している。
問 82
患者は外泊を定期的に行っているが、今後の治療や新たな活動について話そうとすると「今テレビで私のことを放送しているから待って」と様子がみられる。
患者への対応で最も適切なのはどれか。
  1. 作業所の見学を計画する。
  2. 外伯中の生活について尋ねる。
  3. 幻聴があるので話しかけない。
  4. 1日の活動の時間割を看護師が作成する。
2
問 83
現在の患者は身長169cm、体重63kg。この2か月間で体重が5kg増加した。患者に体重が増えたことを注意しても「別にそんなことはないよ。大丈夫だよ。食べてないよ」と逃げてしまう。
患者の発言の解釈で適切なのはどれか。
  1. 否認
  2. 投影
  3. 同一化
  4. 昇華
1
問 84
血液検査の結果、空腹時血糖120mg/dL、総コレステロール180mg/dL、トリグリセライド230mg/dLであった。患者は1か月前から非定型抗精神病薬の服用を開始している。
今後最も注意すべき観察項目はどれか。
  1. 睡眠
  2. 運動
  3. 血糖値
  4. 血中コレステロール値
3
次の文を読み〔問題85〕、〔問題86〕、〔問題87〕に答えよ。
 35歳の男性。浪費と近所の人に対する暴力のため入院した。20歳代から精神科外来に通院し、気分安定(感情調整)薬が処方されているが、服薬を中断して入退院を繰り返している。入院には同意しているが、看護師に対して大声を出して威嚇し、足で蹴ろうとする。食事と水分は、この5日間ほとんど摂っていない。
問 85
この時点の患者のアセスメントで正しいのはどれか。
  1. 躁状態
  2. 緘黙状態
  3. せん妄状態
  4. 幻覚妄想状態
1
問 86
患者は服薬を勧める看護師に「おまえは俺を廃人にしようとしている。俺をだまそうとしてもそうはいかない」と激しく攻撃したため、患者に必要性を説明した上で抗精神病薬を点滴静脈内注射し、休息を確保することになった。
最も優先される観察項目はどれか。
  1. 排泄
  2. 体重
  3. 発熱
  4. 嘔気
3
問 87
入院後5週が経過し、患者は規則的に気分安定(感情調整)薬の内服を行うようになり、穏やかにスタッフや患者と会話ができるようになった。現在、朝と就寝前の2回、合計4種類の錠剤を自己管理で内服している。ある朝、担当看護師に「薬を飲むと口がピリピリする」と相談があった。
この時の対応で適切なのはどれか。
  1. 「薬をやめてみますか」
  2. 「主治医に言ってください」
  3. 「気にしない方がよいですよ」
  4. 「どの薬を飲むとそうなりますか」
4
次の文を読み〔問題88〕、〔問題89〕、〔問題90〕に答えよ。
 52歳の男性。会社員。9年前にアルコール依存症のために入院し、3か月のアルコール依存症リハビリテーションプログラムを受け退院した。退院後は自助グループに参加しながら順調に断酒を続けていたが、最近の半年間は参加していなかった。5日前から連続飲酒を始め、やめることができずに家族に付き添われて精神科病院を受診した。患者は、医師の説得に応じて2度目の入院をした。
問 88
入院形態はどれか。
  1. 措置入院
  2. 応急入院
  3. 医療保護入院
  4. 任意入院
4
問 89
入院直後から粗大な全身の震え、不眠、多量発汗がみられた。眼振はなかった。前回の入院時には、入院3日に「壁中に虫がはい回っている」と訴え落ち着かない状況であった。
今後の状態で最も予測されるのはどれか。
  1. 肝性脳症
  2. 振戦せん妄
  3. ウェルニッケ脳症
  4. アルコール性認知(痴呆)症
2
問 90
入院10日、患者は自信なさそうに「9年間もやめられたのに、どうしたんだろう。これからどうやってお酒をやめていけばいいのだろう」と看護師に相談した。
この時の対応で適切なのはどれか。
  1. 「なぜ飲酒したのですか」
  2. 「強い断酒の意志を持つとうまくいきます」
  3. 「もう一度自助グループに参加しましょう」
  4. 「退院後すぐ会社復帰すればやめられます」
3