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第98回看護師国家試験

午後問題
次の文を読み91~93の問いに答えよ。
 70歳の女性。1人暮らし。肺気腫で在宅療養をしていた。夫とは死別し、長女は隣県に住んでいる。要支援2。介護予防訪問介護を利用していた。咳・痰の症状に加え呼吸困難感が増強したために入院した。今後も自宅での療養を強く希望している。
問 91
入院後、安静を保ち、酸素療法と薬物療法とで症状が軽減した。酸素流量の指示は1L/分、患者は酸素ボンベを引いて歩行可能であるが、ベッドで臥床していることが多い。自宅での日常生活動作の不安を訴えている。
病棟看護師が退院準備として支援するのはどれか。
  1. 可能な限り安静を促す。
  2. 長女との同居を勧める。
  3. 呼吸リハビリテーションを勧める。
  4. ポータブルトイレの使用を勧める。
3
問 92
退院後は自宅でも酸素療法の継続が必要である。
病棟看護師が行う在宅酸素療法の指導で正しいのはどれか。
  1. 入浴時も酸素吸入を継続する。
  2. 台所で火気を使用する場合は換気をする。
  3. 呼吸困難感が増強する時は酸素流量を増やす。
  4. 加湿器の蒸留水の補充は訪問看護師に任せる。
1
問 93
退院にあたり、サービス担当者会議が開催されることとなった。
会議で検討する内容で優先度が低いのはどれか。
  1. 訪問診療
  2. 緊急時の対応
  3. 介護予防訪問介護の利用回数
  4. 介護予防短期入所生活介護の利用時期
4
次の文を読み94~96の問いに答えよ。
 58歳の男性。コンピュータプログラマー。3か月前から右下肢に歩行時の疼痛があり右下肢閉塞性動脈硬化症と診断され、経皮的血管形成術の目的で入院した。
問 94
右大腿動脈からカテーテルを挿入し、右外腸骨動脈閉塞部へのステント留置術が施行された。
ステント留置術施行後の看護で最も重要なのはどれか。
  1. 四肢の他動運動
  2. 両下肢の安静保持
  3. 穿刺部位の止血確認
  4. 膀胱留置カテーテルの抜去
3
問 95
術後経過は良好で抗凝固薬としてワルファリンが処方され、退院が予定された。
退院後の食事で摂取を控えるのはどれか。
  1. わかめ
  2. 納豆
  3. こんにゃく
  4. グレープフルーツ
2
問 96
退院が決まった。仕事中は長時間坐位であり、職場の同僚は喫煙者が多く分煙がなされていない。
日常生活の留意点で適切なのはどれか。
  1. 週に一度は散歩をする。
  2. 過剰に水分を取らないように注意する。
  3. 1日1回は足背動脈に触れて拍動を確認する。
  4. 周囲に喫煙者がいても本人が禁煙すればよい。
3
次の文を読み97~99の問いに答えよ。
 53歳の男性。営業職の会社員。喉頭癌の診断を受けた。医師から、声帯への浸潤と両側の頸部リンパ節転移とがあり、治療法として喉頭全摘術、放射線照射および化学療法があることが説明された。翌週、妻と再度受診し治療方針を決めることとなった。
問 97
患者は妻に伴われ受診し、病状から手術療法を勧められた。「手術で声が出なくなるなんて、どうしたらよいのだろう。仕事はできなくなるし」と不安そうである。妻は「夫は最近ふさぎ込み、よく眠れないようです。がんのことも、今の夫の状態も心配です」と話した。
夫婦への対応で最も適切なのはどれか。
  1. 「この際思い切りも大切ですよ」
  2. 「奥さんはもっとご主人を励ましてください」
  3. 「手術のことはしばらく考えないようにしましょう」
  4. 「補助具で発声できますから前向きに捉えてみましょう」
4
問 98
その後患者は手術に同意し、喉頭全摘術と頸部リンパ節郭清術とが行われた。
手術後の集中治療室での体位と頸部の固定法で適切なのはどれか。
  1. 仰臥位で頸部をまっすぐにする。
  2. 仰臥位で頸部を前屈位にする。
  3. 側臥位で頸部を後屈位にする。
  4. 腹臥位で頸部を横向きに回旋する。
1
問 99
術後10日、瘻孔がないことが確認され食事が開始された。本人と妻は「気管孔が開いたままで食事をすることの注意点を、退院までにしっかり聞いておきたい」と話した。
助言で適切なのはどれか。2つ選べ。
  1. 「汁物はストローで吸うと良いでしょう」
  2. 「飲み込むときに鼻をつまむと鼻への逆流が防げます」
  3. 「麺類は柔らかいので今までと同じように食べられます」
  4. 「匂いがわかりにくくなるので味が異なって感じるかもしれません」
  5. 「飲み込みに時間がかかるので、1日6回の分割食にする必要があります」
24
次の文を読み100~102の問いに答えよ
 65歳の女性。身長157cm、体重56kg。長女夫婦と2人の孫と2階家屋一戸建てに住んでいる。本人の部屋は2階にある。長女夫婦が共働きのため、孫の幼稚園の送迎や世話などで毎日忙しく過ごしている。1か月前の市の健康診査で骨密度の検査を受けたところ精査を勧められ、近医で骨粗鬆症と診断され、ビスホスホネート製剤の内服を開始した。
問 100
骨粗鬆症のタイプで最も考えられるのはどれか。
  1. 特発性
  2. 閉経後
  3. 廃用性
  4. 栄養性
2
問 101
転倒予防のための環境調整で優先度が高いのはどれか。
  1. 玄関の段差にスロープをつける。
  2. 廊下の中央に厚いじゅうたんを敷く。
  3. トイレと風呂場に手すりを設置する。
  4. 階段と廊下に夜間の足元照明を設置する。
4
問 102
骨折リスクを低減するための生活指導で適切なのはどれか。
  1. 幼稚園の送迎を控える。
  2. 服薬を確実に継続する。
  3. 毎日の縄跳びを始める。
  4. 体幹の回旋運動を積極的に行う。
  5. ビタミンAを多く含む食品を積極的に摂取する。
2
次の文を読み103~105の問いに答えよ。
 90歳の男性。1人暮らし。肺癌末期で病状の説明はされている。食欲不振と呼吸困難とで1週前に入院し、酸素2L/分と塩酸モルヒネを投与したが、食事がとれなくなり傾眠状態が続いていた。本日朝、脈拍100/分、血圧80/46mmHg、動脈血酸素飽和度(SpO2)85%となった。
問 103
患者は今回の入院直後に「終末期には何も処置しないでほしい」とリビングウィルを医師に提出している。遠方から駆け付けた弟が「1秒でも長く生かしてもらいたい」と言った。
今後のケア方法の決定で最も優先されるのはどれか。
  1. 弟の意見
  2. 病院の方針
  3. 医師の判断
  4. 本人のリビングウィル
  5. 公正な立場の第三者の判断
4
問 104
弟への対応で適切ではないのはどれか。
  1. 今後の見込みを説明する。
  2. ケアに参加できるよう支援する。
  3. 誰か会わせたい人がいるか尋ねる。
  4. 安静のために静かに見守るよう指導する。
4
問 105
患者の意識が少し戻り「水が飲みたい」と言った。
対応で適切なのはどれか。
  1. 点滴静脈内注射を開始する。
  2. 弟とともに水を口に含ませる。
  3. 看護師が吸引しながら水を飲ませる。
  4. 誤嚥のリスクがあるので水は控えるよう説明する。
2
次の文を読み106~108の問いに答えよ。
 在胎40週、3,100gで出生した新生児。胎児超音波検査で先天性心疾患を疑われていたが、検査の結果、ファロー四徴症と診断された。全身状態が良好であったため、外来通院で経過を観察することとなり1か月で退院した。
問 106
生後5か月になり、ファロー四徴症に伴う症状を呈するようになってきた。
乳児に認められない症状はどれか。
  1. 浮腫
  2. 頻脈
  3. 多呼吸
  4. 哺乳不良
1
問 107
2歳になり児は根治手術を受けることとなった。
手術前に注意すべき症状はどれか。
  1. 乏尿
  2. 起坐呼吸
  3. 頻拍発作
  4. 無酸素発作
4
問 108
根治手術が成功し、その後も外来受診が継続された。ある日母親から「乳歯が虫歯になり抜くことになりました。何か注意することがあれば事前に知りたいのですが」と小児科外来に電話があった。
説明で適切なのはどれか。
  1. 入院による抜歯となる。
  2. 出血が止まりにくい。
  3. 抜歯前に抗菌薬を内服する。
  4. 特別な注意点はない。
3
次の文を読み109~111の問いに答えよ。
 30歳の初産婦。昨日20時に正常分娩した。今朝の観察では、体温37.1℃、脈拍72/分、血圧118/76mmHg。乳房緊満感(-)、乳管開口左右4、5本。子宮底臍高、子宮は硬く触れ、血性悪露中等量、後陣痛がみられる。会陰裂傷の縫合部痛があるが発赤はない。「昨夜は興奮してなかなか眠れなかった」と言う。
問 109
健康状態のアセスメントで適切なのはどれか。
  1. 子宮復古は順調である。
  2. 創部感染徴候がみられる。
  3. 分娩の受け止めに問題がある。
  4. 産褥日数に比べて進行性変化が遅い。
1
問 110
産褥2日。母子同室を開始した。児が欲しがる様子をみせると授乳するが、うまく吸ってくれず児の口がすぐに乳頭からはずれてしまうという。乳房緊満はみられず、乳房の形態はⅡa型、乳頭の形は正常である。
優先して確認すべきことはどれか。
  1. 授乳回数
  2. 児の抱き方
  3. 乳汁分泌状態
  4. 乳頭の傷の有無
2
問 111
産褥3日。分娩後排便が見られない。褥婦は「お腹が張った感じがするが授乳や子どもの世話が忙しくて、ゆっくりトイレに行けない」と言う。
対応で適切なのはどれか。
  1. 安静臥床を勧める。
  2. 母子同室を中止する。
  3. 腹部マッサージを勧める。
  4. 食事摂取量を減らすよう勧める。
3
次の文を読み112~114の問いに答えよ。
 40歳の初産婦。妊娠34週0日。身長157cm、非妊時体重57kg。健康診査時72kg。子宮底長29cm、推定児体重2,100g。血圧128/80mmHg。尿蛋白(-)、尿糖(-)。Hb12.0g/dL、Ht37%。
問 112
健康状態のアセスメントで適切なのはどれか。
  1. 貧血がみられる。
  2. 体重の増加が過剰である。
  3. 妊娠高血圧症候群である。
  4. 子宮内胎児発育遅延のおそれがある。
2
問 113
妊娠36週0日。体重74kg。子宮底長30cm、推定児体重2,250g。血圧142/90mmHg。尿蛋白+、尿糖(-)、浮腫+。尿回数は6回/日程度。「運動不足で体重が増えているような気がします」と言う。
指導で適切なのはどれか。
  1. 妊婦体操を行う。
  2. 塩分摂取を減らす。
  3. 水分摂取を制限する。
  4. 摂取エネルギーは2,500kcal/日とする。
2
問 114
妊娠37週4日。破水し来院した。「病院に着いた頃から陣痛が始まったように感じます」と言う。胎児心拍の最良聴取部位は母体左下腹部。分娩監視装置を装着した結果、陣痛周期6分、胎児心拍基線130bpm、遅発一過性徐脈がみられる。子宮口3cm開大で、淡緑色の羊水流出がみられた。
この状況のアセスメントで適切なのはどれか。2つ選べ。
  1. 早期産である。
  2. 早期破水である。
  3. 分娩第1期である。
  4. 胎児は第2頭位である。
  5. 胎児機能不全(胎児ジストレス)が推測される。
35
次の文を読み115~117の問いに答えよ。
 27歳の女性。職場が製造部門から事務職へ配置換えとなり椅子に座っている時間が増えたため、太るのが心配で食事量を減らしていた。身長163cm、半年前の体重は48kg、現在は38kgまで減少した。自分では体重のコントロールができず、母親に伴われ精神科病院に来院した。2か月間外来で治療を受けたが改善せずさらに1kg減少したため、開放病棟に入院した。
問 115
入院5日。患者は、病棟内では穏やかに過ごし、出された食事も全量摂取していた。体重の増加は認められなかった。
重要な観察項目はどれか。
  1. 発熱の有無
  2. 嘔吐の有無
  3. 母子関係
  4. 運動量
2
問 116
患者は、デイルームで過ごすときは好んで他の痩せた患者と話をして過ごしていた。会話の内容は食物に関することが多かった。
この患者で最も障害されているのはどれか。
  1. コミュニケーションスキル
  2. サーカディアンリズム
  3. ソーシャルサポート
  4. ボディイメージ
4
問 117
入院8日。体重が増加しないため、医師からベッド上安静の指示が出された。食事が運ばれた際、患者は表情を曇らせ涙を流した。
対応で最も適切なのはどれか。
  1. 「心配なことがあったら話してください」
  2. 「何か嫌いな食べ物があるのですか」
  3. 「頑張って食事をしましょう」
  4. 「気分転換してください」
1
次の文を読み118~120の問いに答えよ。
 19歳の男性。大学生。両親と兄の4人家族。1か月前から自室で独語をしながら片脚跳びをしている。母親に注意されると「『これをやめたら人生ゲームに乗り遅れる。やめたらおまえの負けだ』という声が聞こえてくる」と言い、夜間も頻繁に行っていた。母親が早く寝るように言うと、殴りかかろうとしたこともあった。次第に、食事や睡眠がとれなくなり、父親と兄に伴われ精神科病院を受診した。父親と精神保健指定医とに説得され入院の勧めに応じた。
問 118
入院形態はどれか。
  1. 措置入院
  2. 任意入院
  3. 医療保護入院
  4. 緊急措置入院
2
問 119
患者は看護師に「声が聞こえてくると、どうしても片脚跳びをやってしまう」と訴えている。
対応で適切なのはどれか。2つ選べ。
  1. 「声が聞こえるのですね。つらいですね」
  2. 「誰が何と言っていますか。詳しく教えてください」
  3. 「体が心配です。できるだけ休んでください」
  4. 「片脚跳びをやめても何事も起きないから大丈夫ですよ」
  5. 「声が言っていることは間違っていますよ」
13
問 120
消灯後自室(個室)で片脚跳びを続けている患者に声をかけたところ、突然怒りだし、なだめようとするがゴミ箱を蹴るなどの攻撃性がエスカレートしてきた。
対応で適切なのはどれか。
  1. このままだと隔離室入室することになると伝える。
  2. 複数の看護師が病室に出向いて話を聞く。
  3. 興奮を鎮めるためタッチングをする。
  4. 乱暴な振る舞いをしないよう注意する。
2